Scene 1 | MY LIFE AS A PIG

MY LIFE AS A PIG

山と農業と旅を愛するAkihisaのブログです。
高崎高校→北海道大学農学部→銀行員(札幌・鹿児島・福岡・US)→旅人(日本縦断・世界一周)→大分大学医学部(編入)→明日は何処…
大分朝読書コミュニティBunDoku主宰/NPO法人NICE GWCコーディネーター/財務経営アドバイザー

(半分現実で半分フィクションの模糊なテキストたち)


「やほーひさしぶりー」
「うわっ、めっちゃひさしぶりじゃん!どしたん?」
「いや、iPhoneの連絡先整理してたら名前出てきたから何となく電話してみた」
「あーね、ときどきあるねそーゆーこと。なに心境の変化でもあって?」
「いやふと部屋を全力で掃除したくなるような衝動的な感じで整理してみただけですすいませんつまらなくて」
「あーね」
「で、最近の子育てはどうだい?」
「楽しいよー。色々大変なことはあるけど、総じて楽しい。あんたも早く子どもつくんなよ」
「まー相手が必要なことだからねー。わたしだって10年以内には結婚したいし子どもほしいよ?」
「あんたそれ3年前にも言ってたよ…」
「あれ?そだっけ?じゃあ7年後…はさすがに無理かも…」
「そこ弱気になるんだ!7年もあるじゃん!攻めなよ!!」
「そうはおっしゃいますけれどもー」
「まぁ好きにしたらいいけどね。わたしには関係ないしね」
「おぉ、いいねその突き放す感じ。懐かしくてむずむずするわ」
「そりゃどーも」
「ねー最近人生のゴールってどこに定めてる?」
「うわ出たね突然。ちょっと待って旦那帰ってくる前に食事の支度しながら話すから」
「はいはいよー。わたしもごはんつくる」

「…えっとね、結論から言うと、子どもが生まれてから全部が子ども中心に変わったね」
「ふむふむ」
「だから今はこの子のことしか考えてないかな。あとまぁシアワセな家庭ってやつ?」
「ほほー」
「自分事も秘めてはいるけどね、でもそれはちょっと脇に置いて、目の前の最重要課題に鋭意取組み中ということだよ」
「なるほどねー。そっか、いいね、ちゃんと生きてるって感じする」
「あんただってやりたいことやって生きてるじゃん?」
「わたしのばあいはナントイイマスカ…」
「自由だよね」
「うん、自由すぎるよね」
「でも今更変える気ないんだし、そーやって生きてくんでしょ?」
「うん、良くわかってらっしゃる」
「そりゃね、10年以上の付き合いだからね」
「そだね、あなたとは付き合ってもないのに旦那よりも一緒にいた時間が長かった自信があるものね」
「さすがに今は旦那が更新したと思うけどね」
「それはなにより」
「どーもどーも」
「とりあえず元気にシアワセな家庭目掛けて邁進していることがわかったのでよかったです」
「あらありがと。ほどほどにやってるわ」
「相変わらずそこはかとない雑談でしたが、ほわっとしてちょっと元気をもらいましたありがとうございます」
「ん、ちょっと元気ないなとは気付いてた」
「あら、そう?」
「でも自分から言わないからあえて聞かなかった」
「じゃあなんで今言ったん?」
「元気もらいましたがフラグに聞こえたから」
「あらまー」
「ま、いいよあんたはそのまま好きに生きたらきっとそのうちいいことあるよ」
「そんな投げやりな励ましの言葉までいただきどーも」
「お礼は出世払いでもらうからいいよ」
「かなわんね」
「そう?」
「うん。そんな励まし方も久々に聞いた」
「別に励ましてるつもりはないよ」
「じゃーまーそーゆーことにしとく」
「相手の腹の内が透けて見えるのも考えものだね」
「長い付き合いだからね。仕方ないんじゃん?」
「そーゆーもんなのかね」
「人の恋愛にコメントしつつ、自分たちの恋愛についてはお互いあんまり話さなかった二人なんだけどね」
「だからきっと冷静に相手のコメントの裏を読めるんだよね」
「確かにね」
「あとお互いの恋愛についてあんまり話さなかったのが男女の友情の秘訣なんじゃない?」
「うーん、少なくともうちらにとってはそうかもね。一般化はわからんわ」
「ま、そーかもね」
「そもそも会話から恋愛ネタが欠如した友情ってけっこう人生の大事なパーツ取りこぼしてる関係じゃない?」
「なるほど。でもまぁ様々な友情の形があるということだと思うわ」
「確かにそだね。この関係が薄いとは思わないしね」
「そうだそうだ」
「いつまでもこんな薄くもなく深みにもはまらない関係を共有いただきありがとうございます」
「なんもなんも、お互い様でどーも」
「ではでは、またそのうち会いましょう」
「はいよー。別にいつでも電話かけてきたらいいよ。下手な理由考える必要もないから。んでどうしようもなくなったら飛行機で飛んできな」
「おぉ、さんくすさんくす。相変わらず良いやつだねあなたは」
「まーね」
「んじゃ旦那にもよろしく」
「はいよー、じゃーまたね」