チニュニュChinyunyu ~ザンビアのローカルクリニックへ~(11/14 ザンビア) | MY LIFE AS A PIG

MY LIFE AS A PIG

山と農業と旅を愛するAkihisaのブログです。
高崎高校→北海道大学農学部→銀行員(札幌・鹿児島・福岡・US)→旅人(日本縦断・世界一周)→大分大学医学部(編入)→明日は何処…
大分朝読書コミュニティBunDoku主宰/NPO法人NICE GWCコーディネーター/財務経営アドバイザー

今日は朝から、チニュニュChinyunyuの田舎のクリニックへ。
MY LIFE AS A PIG


大きな地図で見る
(田舎過ぎて地名ではgoogle mapが出ないのですが、ルサカからT4 roadを2時間ほど東に進んだ辺りなので、だいたいこの辺「-15.257689,29.074402」 ← かなり適当にピンを指してます…)


朝7時にルサカのシティマーケットに向かって、ココから各地に出るミニバスが集まっているのですが、どのバスがどこ行きかは書いていないので(笑)、適当に聞き込みをしてChinyunyuを通過するらしいミニバスに乗車。
ただしお客さんが一杯になるまで出発しないので、30分くらい車内で待ってからようやく出発しました。
片道20,000クワチャ=320円ナリ。

2時間くらいで通過するらしいChinyunyuの降り口がわからなくてちょっと不安もありましたが、まぁ中南米と違って英語の通じる国だし何とかなるでしょうとお気楽スタート。

結局隣りに座って英語の本を読んでた知的な青年に

「ChinyunyuのPolice Stationに差し掛かったら教えて!」

とお願いしたら、彼がミニバスの人にもニャンジャ語で伝えてくれて、無事降りるコトができました。
なんと!ザンビア人みんなやさしい!!

Chinyunyuは、電気・水道が通っていない、アフリカらしい暮らしが味わえる田舎です。
そんな僻地にも当然協力隊員は派遣されているわけで、ココには公衆衛生分野で、日本で看護師経験のある隊員(ゆかちんさん)が派遣されています。
MY LIFE AS A PIG

MY LIFE AS A PIG

MY LIFE AS A PIG

クリニックでは、クリニカルオフィサーClinical officer(※)1人と看護師3人が働いていて、Chinyunyuの周辺地域の人口13,000人ほどをカバーしています。

8:00~12:30と14:00~16:00が診察時間で、今の時期は30人/日程度、雨期に入ってマラリアが流行し出すと100人/日を超える患者さんが訪問されるそうです。

MY LIFE AS A PIG

そして近隣とは言え車を持ってない人ばっかりだし、一軒一軒の家々はだいぶ離れているので、30kmくらい歩いて来る人も多数。
さらに朝イチで来ても、ココのクリニカルオフィサーはアル中なので(そしてたぶん私より若い)、朝は来てないコトがあったり、昼から飲みに出てしまうコトもあったり。
結果として患者さんは丸一日待たされたり、代わりに看護師が診察して処方箋を書いて薬を出したりするコトも多々あるそうです。

あ、あとペニシリン注射くらいなら看護師も待たずに掃除のおばちゃんがやっちゃうそうww

MY LIFE AS A PIG

MY LIFE AS A PIG
世界中から医療物資の支援は来ているので、医薬品は比較的充実しているようでした。
ちょうど訪問した時が物資が到着してすぐだったというコトもありますが、一通り必要なモノは全部揃ってる感じ。
特に薬とか、使い捨ての簡易検査キットとかは山のようにありました。

また、アメリカのマラリアプロジェクトの支援も入っていて、そちらのプロジェクトのメンバーはこのクリニックの一室を間借りしながら、周辺の村々を巡回してマラリアの簡易検査を実施したりしているそうです。


さらにアフリカは、10人に1人がエイズとか、6人に1人がエイズとか言われていますが、ココもだいたいそれくらいの割合のイメージのようです。
2週間に1回ART dayがあって、周辺地域のエイズ患者さんたちにエイズの薬を処方するとともにクリニックスタッフがカウンセリングをしています。

MY LIFE AS A PIG
このキャビネットのカルテは、すべてエイズ患者さんたちの経過フォロー。
1万人強の人口で、これだけの数…。

日本では患者数が少なく現実味が薄くて、でも怖い病気と捉えられているエイズですが、多剤併用療法HAARTのプロトコルが定まって予後が改善された今、アフリカの現地では

「別にエイズになっても、寿命を終えるまでは薬で抑えられるんだから良いでしょ?どうせ薬代もタダだし」

という慢性疾患のような感覚になってる気配がありますね。
(ザンビアは公立病院での医療費はすべて無料なのです。私立病院は有料で、良い医者は給料の良いルサカの私立病院に行くので、お金持ちはルサカの私立病院に行きますが…)

で、それが国の財政をどんどん逼迫させてると…。
ただし政府にしても、「エイズについては先進国からの支援があるから良いか」という気持ちも裏にはあるかもしれません…。
いや、そんなコトはさすがにないか?うーん、ちゃんと調べないとわからないコトばっかりですね。


あと今日は妊婦健診があったのですが、妊婦健診では必ず1回は旦那さん同行して、エイズ検査をするそうです。
MY LIFE AS A PIG
(エイズの簡易検査キット)

そして妊婦さんは、出産の時にも結局30kmとかの道のりを歩いてくる必要があるので、病院に向かってる途中で道端で出産しちゃったり、あるいはそもそも自宅で産んじゃったりというコトも普通にあるようです。
MY LIFE AS A PIG
(クリニックの分娩室)

うーん。
日本でイメージする医師不足とか、そういう次元をやっぱりアフリカは軽やかに超えてしまってるんですよね。

…どうにもまだ見聞きしたコトが自分の中で消化不良なので、歯切れの悪いコメントしかできませんが、
もう少し時間をかけて、ザンビアの、そしてアフリカの医療事情と今後について、しっかりと自分なりの理解をしていきたいデス。


MY LIFE AS A PIG
(ゆかちんさん家にあった本)



補足:クリニカルオフィサー Clinical officer

あえて訳せば、「準医師」とでもいうのでしょうか。
特に東アフリカ・南アフリカ地域に多い、医師に準ずる医療者の資格で、国によって違うかもしれませんが、おおよそ大学4年間のコースで資格が取れます。
(参考:Wikipedia:Clinical Officer

なお、ザンビアでは、正規の医師はザンビア大学のみで教育されているそうです。
で、医学部は7年コースで年間60人くらいしか卒業せず、しかも卒業後大部分の医師は海外流出してしまうので、国内に残る医師はほんの一握りだそう。
そして残った医師も基本的には都市部の大きな病院に勤めてしまうので、地域の診療所で働くのは主にこのクリニカルオフィサーのようです。