ちょっと思っていたのとは違ったかなぁ。

 

『「不安症」でもだいじょうぶ 不安にならない、なくすという目標は間違いです』というタイトルに引きつけられて、手に取ってみましたが、読んでびっくり。本書は不安症の人ではなく、不安症の家族を持つ人向けの本でした。不安症の本人が精神科を受診しないかぎり精神科医や(家族は)無力ということから、本なら何かの役に立つのではないかと作られたのが、この本なのだそうです。ちょっと勘違いからのスタートでしたが、少しだけレビューしたいと思います。

 

 

 

 

まず、不安と表現する状態には複数の感情が関係しています。主に「恐怖」「嫌悪」「焦燥感」「後悔」「憂うつ」「悲しみ(哀しみ)」「絶望・失望」の7つに分類できます。今の状態を一つの感情で説明できる場合もあれば、複数の感情が入り混じった複雑な感情を抱くこともあります。

 

私たちはこれらすべての感情を「不安」と表現しがちですが、実はまったくの別物で、それぞれに特徴があります。たとえば、私のストレスの原因は「怒り」にあると思っていたのですが、7つの感情をよく読んでみると、それは「嫌悪感」だったことに気づきました。確かにどちらもイライラすることには変わりませんが、「怒り」が怒る対象に接近して謝罪を求めたり、罰を与えようとするのに対し、「嫌悪感」はむしろ嫌悪対象から離れたい、視界に入ってほしくないという違いがあります。

 

こうしてみると「怒り」はアクティブな感情で、「嫌悪感」はそれよりも守りに入った感情であることがわかり、だからこそ「不安」になるのだろうと思いました。私のストレスは「怒り」ではなく「嫌悪感」だからこそ、不安になって緊張してしまうのだな、と。喧嘩相手となら会ってもお腹は痛くならないけれど、関わりたくない相手と遭遇するかもしれない危険性を考えると変な汗が出てきます。

 

こうやって自分の感じる不安を分析することはとても大切。また、不安症とそれ以外の病気の違いをきちんと区別することも大切になってきます。特に不安と抑うつは異なるので、間違わないよう注意したいところです。

 

不安は興奮している状態なので、不安を訴える人はあちこちの相談窓口に電話したり、ドクターショッピングに行ったりと、多動になります。一方、うつは行動が抑制されている状態なので、今の状態を変えようとする気力自体を失っています。さらに不安になっている人は、先のことに必死になっていて、未来について「もしかして・・・かも」とばかり考えています。一方、うつの人は、過去の取り返しのつかないことを反すうし、悔やみます。何より最大の違いは、うつ病の症状には波があるのに対し、不安症の不安は安定しています。もちろん、うつ病と不安症を合併していることも珍しくありません。

 

ちなみに誰でも不安になるのは当たり前なので、不安になる=不安症ではありませんのでご注意を。不安になることが不安になってしまったり、不安で他のことが何も手につかない状態になったら、不安症や他の病気を疑ってみてください。

 

 

感想

読んでいると、私自身は大の虫嫌い・大の病院嫌いなので、「極限性恐怖症」というものに当てはまっていると思いました。病院なんて悪いところを放置しすぎて怒られるくらい苦手です。基本はネットで症状を調べまくって、一番効く市販薬を飲んでおわり。なので昔から医者にガンガン要望を伝えられる人をカッコイイと思っていたのですが、あれはあれで「不安症」の一種だったのですね。

 

私は高いところも苦手で、子どもの頃からひとりだけハシゴや木に登れませんでした。美容院も苦手で髪を自分で切っちゃったり。本当に苦手やできないが多すぎて困っています。これもまた遺伝的なものが関係しているらしいです。

 

個人的に気になるのは、「強迫症」とまではいかないけれど、「鍵かけたっけな」「水とめたっけな」と気になって確認することが多いこと。手洗いの頻度や、お風呂に入るまでベッドで寝たくないなど結構スレスレのラインにいる自覚はあります。ただ、人間はストレスがないことにも不安を抱えてしまうらしく、色んなことを知っている人ほど不安になりやすいこともわかっています。

 

本書から学んだ対処法のひとつで参考にしたいのが、「不安にならない」という目標を持たないことです。これは「イライラしない」とか「落ち込まない」などの「しない」ことを目標にするのではなく、「〇〇する」という目標にするという方法です。

 

たとえばダイエットするときに、「間食をしない」ではなく、「野菜をたくさん食べる」といった肯定文にするのです。「~したくない」の反対は、「~したい」なので、ポジティブに不安と付き合っていけたらと思いました。

 

最後に不安症の人が身近にいる人へのアドバイス。それはズバリ、相手のネガティブな言葉にはスルーする、です。「今日は買い物に行ったら、レジの人が感じ悪くて・・」と言われたら、後半の部分には触れず、「買い物に行ったんだ。調子悪くても外出できたんだね!」というように相手が変化したポジティブな部分にだけ触れるのがいいとのこと。これが共依存にもならないベストな方法らしいので、困っている人は試してみてください。

 

自分をどうにかできるのは、自分だけ。自分を変えられるのは、自分だけ。

 

結局はこれですね。

 

尚、不安度が重症な人は本書ではなく、病院を受診してください。

 

 

以上、『「不安症」でもだいじょうぶ』のレビューでした!

 

 

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