本が好きなのに、なぜか不定期にやってくる「本が読めなくなる病」。今回は、そんなときにたまたま読んだ一冊をご紹介します。

 

 

 

結論から言うと、(当時)この本自体を読むのがもうダメでした(笑)

 

おそらくこの本は、まさに現在進行形で「本を読めなくなった人」が読んでいると思うので、読めなくても当たり前っちゃ当たり前でしょうけれど、一応そんな人のために大きな字でページ数も少なく書いてあるのにダメでした。

 

なぜでしょう。この前読んだ長編小説はノンストップでがっついて読めたのに・・。私の場合、短いほどダメになる。

 

まぁそれは置いておくとして、さっそくわかったことだけでもレビューしておきます。

 

 

・読むべき本との出会いを焦らずに「待つ」

これはわかります。おそらく私の場合、本を読みすぎて、読む前から書いてあることが何となくわかってしまうこと。あぁ真新しい発見が全然ないや~と思うと、もうつまんなくなってしまいます。既視感のある文章に出会ったら、そこは思い切って読まなくてもいいのかなぁと。

 

 

・「読む」と「書く」は呼吸の関係。よく吸う(読む)ためには、よく吐く(書く)ことが重要

 

 

・読書とは、文字を追うだけでなく、文字を扉にして、その奥にある見えないコトバに出会うこと

 

 

・見えていることではなく、観えてくることを大切にする。よく見えていないことに大きな不安を抱かなくてもよい

 

 

・本を読めなくなっているというのは、新しい読書の次元が開けるという人生からの合図

 

 

・知性の働きによって出会いを確かめるだけでなく、「肌感覚」を信じて本を選んでみる

 

 

他にも色々あったのですが、内容が重複しているようにも思えたので、一応コレだけ抜き出しました。

 

 

自分用メモ

本を読むこと以外の「体験」が、かえって本との交わりを深めることになる。読書で大切なのは「肌感覚」。外国ではわからない言葉に「あたま」の意識が向くのではなく、景色や空気を「肌」で感じる場合が多い。情報を気にしない分、情報以外のものを読み取ろうとする、この感覚こそが読書にも大事になってくる。目的を持って「見る」のと、目的を持たずに「観る」ことの違い。後者は同じ「みる」でも「みえてくる」と言った方が正しい。だから「人生観」は「人生見」ではなく、「人生観」と表記する。読書も同じように調べるのではなく、「観えてくる」ことを大切にして読めばいい。そうした言葉の中にあるみえないコトバを読むことが読書の醍醐味である。

 

 

まぁ結果、無理して読まなくてもいいんだよ~ということでした。

 

私は多読とか速読を目指しているわけではないので、面白いと思える本が読めれば何でもいいです。

 

問題は読みたくないなと思っても、隙間時間ができると「何か読みたいな」と思ってしまうこと(笑)残念ながら、もう読書は癖なんです。そして一度読み始めると、最後まで読み切らないと「なんか気持ち悪い」こと。だから「あ、これ苦手だな」という本でも、変なルールに縛られて長期戦に陥ってしまうのです。そして今度こそはアタリ本を引くぞーと意気込んで、同じことを繰り返すみたいな。むしろ何となく選んだ本の方が面白かったりするのは本当だなぁと本書を読んで改めて実感しました。

 

で、自分がどんな本を求めているのかを知る方法として、「書く」という作業が大事というのはナルホドと思いました。

 

読めないからこそ、書くことが大事なんだとか。人は文章を書くと必ず自分のおもいがいかに言葉にならないかを経験します。でもそれが体感されてくることによって、言葉への接し方が変わってきます。つまり読むとは、言葉になったことだけを理解するのではなく、言葉になり得ないものを感じてみようとすることなんです。

 

「読む人と書く人が同時に働くとき、人は読むだけの人の眼には見えない、新しい意味を感じ始める」という筆者の言葉には、ヒジョーに納得しました。

 

あとこれは自己流の技なんですが、読めないときはあえて図書館に行き、ボロボロの本を借りて来るということです。これにはある程度の確信がありまして。おそらく綺麗な本よりは、ボロボロな本の方が面白いんだろうなぁと。コツはベストセラーや誰でも知っている人気本は避けることです。あえてマイナーな、でもなぜか読み込まれている本を選びます。そういう本とは結構な確率で相性が良いのです。

 

ちなみにこの技は書店や古本屋では使えません。図書館だからこそできる技です。古くないのにボロボロなやつは特に面白いかもしれません。短期間で読まれまくったわけですからね(笑)オススメですよ。

 

「読書を楽しんでいる人たちの多くは、自分の読みが、不完全であることを受け容れているのです」

 

これは本書にある一文なんですが、めちゃくちゃ共感します。面白くないと思ってしまう本=今の自分には読めない本であり、読むタイミングによって感想は全然違ってくるんですよね。でもそれが本の楽しさ。面白かった本が楽しめなくなった、前は理解できなかったけれど今は響く。そんな感想を持った日は、自分自身が一歩成長した証拠なんでしょうね。

 

ということは・・・!!

 

今の私が前ほど本を読めなくなっている理由、それは、自分自身が変わったことに気づかず前の自分が好みそうな本を無意識に読んでいるからでは??

 

それなら、これからは好みから近すぎず遠すぎないジャンルの本を選んでみたらどうだろう??

 

実際にこの前「はじめまして」な作家さんの本を読んでみたのですが、すっかりハマってしまいまして。その作家さんは何となく私が好きな別の作家さんと似ていると直感して読んだので、見事大当たりした感じです。雰囲気は似ていてもジャンルが普段の私が読まないものだったので、とても新鮮でした。

 

今までは「共感」できる本の方が気持ち良く読めるので、ついついそういった本を選びがちでしたが、これからは「は?ちょっと何やってんの?」くらい引いて、呆れてしまうような本を読むことで、「こんな人もいるのか、こんな考えもあるのか」と思いたいですね。そうすることで、もっと楽に生きていいんだなと、自分を甘やかせることができるかもしれない。

 

と、そんなことを考えながら読んだ一冊でした。