こちらは以前ご紹介した津田信三さんの幽霊屋敷怪談シリーズの第2弾になります。

 

↓前回は第3弾をご紹介しました

 

レビューの順序が逆じゃない?と言われそうですが、それぞれが独立したお話なので、基本的にどこから読んでもOKです。また、三津田信三さんの本は頻繁に過去作品の話が文中に出て来るので、コアのファンでないと「なんの話をしているんだろう?」となるおそれがあります。しかしそれは幽霊屋敷怪談シリーズと限らず、どの作品から読んでも同じことなので、結局どこから読んでも問題ないかと思われます。別の言い方をすると、入り口はどの本でも良くて、何冊か読んでいくうちに色々と繋がってくるので問題なしということです!

 

 

で、今からレビューする「わざと忌み家を建てて棲む」は、曰くのある家や部屋を一軒にまとめて立て直し、そこで暮らすとどうなるか?という実験記録を綴ったものになります。なんてことをしているんだ!祟られるでしょ!とツッコミたくなる1冊ですが、勇気のある方は以下のレビューをご覧ください。

 

 

<あらすじ>

人死があった部屋や家を1箇所にまとめた「烏合邸」と呼ばれる不気味な建物。烏合邸はかつて八真嶺という謎の人物が建てたものらしいのですが、その詳細は不明。しかも八真嶺はその家に住んで、心霊現象を記録してくれる人を募集していたとか。

 

ある日、筆者は友人の三間坂から、「なぜか怪異に絡む話が自分の下に集まってしまうという伯母」から妙な話を聞かされたと相談されます。それは伯母の家に川谷妻華という女性がやって来て、「烏合邸に関する資料があれば見せて欲しい」と言われ、2通の手紙を渡されたという内容でした。

 

2通の手紙はどちらも大工の棟梁が八真嶺宛に送った書簡で、どうも烏合邸を建てるという異様な注文への抗議が書かれていたようです。しかしなぜ女性が伯母にそんなお願いをしてきたのかというと、実は三間坂のオカルト好きの祖父が生前、八真嶺宛に送った手紙も彼女は持っていて、それで何か知っていることはないかと訪ねたそうです。

 

しかし、伯母も三間坂も女性の話には心当たりがありません。仕方なく資料を探すにも時間がかかるので後日連絡すると女性に伝えたところ、「またお訪ねいたします」と断られてしまいます。いきなり来られても迷惑なので日時を指定したところ、「私は大丈夫ですが、そちらが無理ではありませんか」と、妙な答え方をされてしまい・・・。

 

 

<恐怖ポイント>

今回の要注意人物は、まさにこの川谷妻華という謎の女性です。見知らぬ女性が突然訪ねて来て、烏合邸の話をしてくるなんておかしいですよね。しかも三間坂のお祖父さんがオカルトマニアで、おそらく烏合邸についても調べていて、何か資料を持っていることまで知っているなんて怪しすぎます。また驚くことに、三間坂の伯母は川谷のことを年齢不詳で何歳にでも見え、しばらく話したのに容姿や服装も全然覚えていないと混乱していました。微かに残っている彼女に対するイメージは「洋梨」ということだけ。「八真嶺と縁のある関係」とにおわせながらも、烏合邸について調べる矛盾。一体この女性は何者なのでしょう?

 

 

以下はその後、三間坂がお祖父さんのオカルト蔵から見つけた烏合邸に関する資料になります。かなり意味不明なものばかりですがどうぞ。

 

 

黒い部屋 ある母と子の日記

こちらは烏合邸の中の「黒い部屋」と呼ばれる家に入居することになった母と子の日記録です。この親子は八真嶺から莫大なお金を貰えるかわりに、このヤバイ家に住むことを決めた、つまりそれだけ金銭的に困っている人たちなんです。母も子もこの家に来てからは不可解な出来事が続き、特に子供のほうは気が滅入っているのですが、それでも住み続けていて―。

 

実はこの家は火事にあって一部丸焦げになって壊れかけているんです・・。しかしこの親子には普通の家に見えているんですね。なので周囲の人間は親子を気味悪がっていて近寄らないようにしているのですが、彼らにはその意味がわかりません。そもそもこんな家、もとから憑りつかれている人しか住むことはできませんよね。

 

 

白い部屋 作家志望者の手記

こちらは烏合邸の中の「白い部屋」に入居することになった作家志望の男性の手記になります。心霊レベルでいったらこちらの家のほうが高いのは確実ですね。家に白い人が訪ねて来たり、夜中に家の中を黒いものが徘徊したり・・。男性もなんだかこの家以外に行くところがなくて、ワケありっぽいし・・。男性はこの家にかつて住んでいた者と何か共通するものがあり、憑りつかれているという話だと思ったのですが、実際は答えがないのでよくわかりません。

 

 

赤い医院 某女子大生の録音

こちらは筆者たちにも詳細がわからない録音テープなんですが、どうやら烏合邸の中にある赤い医院に潜入し、リポートしているようなんですね。ただ、この話を読む前には注意事項が書かれています。それは少しでも不審に感じられるメールや電話や訪問には応じないこと、本を閉じること。万が一それに応答してしまったときは、必ずその場から逃げること。らしいです。なので、ここではレビューしません!※川谷妻華らしき人が登場します

 

 

青い邸宅 超心理学者の記録

こちらは超心理学者の女性が八真嶺から烏合邸の青い邸宅を科学的に検証するよう依頼されときの記録になります。様々な調査機器を使って各部屋を調べるのですが、その際に霊感のあるアシスタントの男の子が「ここを撮ったほうがいい」と教えてくれます。しかしこの男の子は最初から怪しいし、ちょっと名前で色々とネタバレしていて最も創作チックでした。ちょっと急に最後だけやりすぎて、リアル感を失って残念。

 

※結局これら資料に書いてある心霊現象の正体は不明のまま終わっていました。また、本書には資料の他にも筆者と三間坂さんによる資料の考察や、この件を追っている際ふたりに起きた謎の現象についても触れてあります

 

 

<まとめ>

今回は読むのが難しかったです。家の話だからか、構造が複雑だからかはわかりませんが、建物内部の解説にほとんどページがさかれていて、しかもおバカな私にはそれが理解できず大苦戦。古い家の専門用語とかもサッパリで(厠くらいは知っていいますが)、怖さよりも難しさが勝ってしまいました。勉強します。できれば見取り図が欲しかった!!

 

結論がなくて、謎を残したままっていうのは私もいいと思うけれど、いつもの三津田さんの推理が聞きたかったなぁ。いつも以上に謎が多くて、しかも最終的にはえ?結局烏合邸って存在しなかったの?存在するの?というまさかのパターンだったのでかなり困惑しています。

 

それに三津田さんが烏合邸を調べているときに、ずっと川谷妻華らしき人物に狙われていたのはなぜ?よくわからないけれど、すべての記録の中に実は川谷妻華がいるような気がするのは私だけですかー?彼女は何がしたかったの?

 

もう私の中で過去イチ謎なんです。

 

ただ、実際私がこの本を読んで言えるのは、例の「赤い医院」を読む前の注意事項あるじゃないですか。あれ、読んですぐに家の電話が鳴ったんですよ(きちんと実在する人からでしたが)

 

不思議なことに私は、「少しでも不審に感じられるメールや電話や訪問には応じないこと」という文章を見たときに、(あ、そろそろあの人から電話がくる時期かもな)と頭の中で思ったんですね。そしたら、その後本当に、5分以内くらいにその人から電話が来て、びっくりしました。

 

別に怖くはないんですけどね。偶然だとは思いますが、何なんでしょうね。

 

読んでいる本人が意味不明なので、レビューも意味不明になってしまいましたが、読んだ方で推理できる方はぜひ考察レビューを残してください!(最後はまとまりなくてすみません!)

 

以上、「わざと忌み家を建てて棲む」のレビューでした!