本書は2020年に公開された映画「461個のおべんとう」の脚本をもとに小説化した1冊になります。イノッチ(井ノ原快彦)がパパ役でみっちー(道枝駿佑)が息子役だった美味しそうな映画らしいのですが、私は未視聴なので、ここでは映画とは変更点のある小説版のレビューをどこら辺が変更されているのかわからないままやっていきたいと思います(笑)

 

 

あらすじ

ザックリ言うと、シングルファザーになったミュージシャンの父さんが高校生になった息子に3年間お弁当を作ってあげるという物語です。それだけだと、どこかで聞いたことのある内容ですが、この親子が一味違うのは、実は息子の虹輝が親の離婚騒動のせいで高校受験に失敗し、浪人をしているところなんです。そんなこともあり、虹輝は同級生とは1年遅れで高校へ通うことになったのですが、いざ入学となるとやはり気まずい。すると父さんがこう言います。「俺が3年間休まずお弁当を作るから、虹輝も3年間休まず通え」と。しかし、両親の離婚原因は父さんが仕事優先で家庭を顧みなかったことでした。そんな父さんに毎日お弁当を作るなどという約束を果てせるわけがないじゃないか。そう思った虹輝は父さんの決意がいつまで続くか受けて立つことに。この時の虹輝はまさか父さんのお弁当がこれからの高校生を素敵なものに変えてくれるなど考えもしませんでした。

 

レビュー

自ら同級生にバリアを張って孤立する虹輝ですが、父さんの豪華飯に吸い寄せられてきたクラスメイトと仲良くなり、一安心。と思いきや、虹輝は自分の気持ちを抑え込んでしまう性格で、実は誰にも心を開いていませんでした。過去を辿ると、両親の離婚時でさえ何故ふたりが離れてしまうのか聞くことすらできず、モヤモヤを抱えたまま現在に至ります。

 

息子にちゃんと説明しないなんて無責任な両親!と言いたいところですが、親からすると自分たちはずっと上手くいっていなくて、とうとう離婚するだけといった感じ。その長い経緯を見ていた息子には、ずっと我慢させてごめんねと、むしろ理解してくれていると思い込んでいたんですね。しかし虹輝からすると突然の離婚だったわけです。ん~難しい。

 

虹輝にはずっと心のモヤモヤ、まぁ本音ってやつですね。それを吐き出すことが必要でした。自分の気持ちを伝える。ただそれだけのことですが、それがなかなかできないから困っているわけで。

 

悩みはそれだけではありません。高校受験を失敗している虹輝にとって、大学受験こそは失敗できないプレッシャーがあります。それなのに進路のこととなると将来の夢など微塵もなく、どうしていいかわかりません。自分には何もないのに父さんは名の知れたミュージシャンという事実も虹輝を苦しめました。

 

もどかしいですが、こんなとき父さんには息子を見守ることしかできないんだなぁと。読んでいてそう思いましたね。高校生相手にはもう下手なアドバイスなど効果はなくて、親はほんの少しのアシストしかできない。何があっても父さんはお前のことを信じているよ、というサインを送るだけ。それがこの親子にとっては461個のお弁当だったんですね。

 

虹輝が八つ当たりしたときも、お弁当の具に文句を言ったときも、ダイエットのためにお弁当を捨ててしまったときも、父さんは決して怒らずに次の日もお弁当を用意してくれました。遠方にライブに行くときも早起きしてお弁当を作り、次の日も早くに帰宅してまたお弁当を用意してくれました。新しいお弁当箱や調理器具を買って、おかずの種類を増やして、色々と工夫を凝らしてもくれました。虹輝はそのどれにも感謝などせず、喜びもせず、興味も示さず、ついには約束を破って学校も休んでしまいました。

 

それでも父さんは虹輝を責めず、ひたすらお弁当を作り続けました。お弁当は父さんにとって、息子を受け止め、信じている合図だったから。くう~ベタだけどなかなかいい話。しかもTOKYO No. 1 SOUL SETの渡辺俊美さんの実話だと知ったらなおさら。息子さんの悩む姿が人間くさくて魅力的。登場するお弁当はどれもおいしそうで、私も食べたくなりました。ちょっと飯テロ要素があるので、満腹になってから読むといいかもしれません。

 

 

おまけ

今回私が読んだ作品は以下になります。

 

 

 

そしてこちらが映画版のDVDとBlu-rayになります。

 

 

 

で、こちらが原作となったエッセイになりますね。

 

 

 

最後に映画の予告映像を。ここに出てくるお弁当がどれもおいしそうなんです!それに道枝くんの顔面キレイ。ぜひご覧ください!

 

 

ネットで検索すると「461個のおべんとう」のレシピが色々と出てくるので、お料理の参考にもなる物語かと思います。今回私がレビューした本自体はとても読みやすいので、本嫌いのお子さんでも軽々読めるかと。朝読書に本が必要だけど、活字無理~ってときにはオススメです。

 

以上、「461個のおべんとう」のレビューでした!

 

 

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