夏が近づくと怖い話が読みたくなる病が発症します。

 

今回はオススメホラーとして人気の高い一冊をご紹介。その名も「ナキメサマ」です。

 

一般的に〇〇サマというネーミングは危険。ほぼ神様系だし、祟りや呪いがつきもの。こちらも予想を裏切ることなく、古くから村に伝わるヤバイ神様系のお話です。

 

だって見てくださいよ、この表紙。

 

 

花嫁衣装ってホラーの定番じゃありません?なんか目から出血しているしヤバイの確定です。

 

この時点で、あぁナキメサマって泣いている目のことねー!と、わかります。泣いている花嫁とかワケアリすぎて読む前からドキドキ。さて、その中身はいかに?!

 

 

<あらすじ>

二転三転する結末に、読者の支持No.1!!! 圧倒的恐怖のデビュー作

高校時代の初恋の相手・小夜子のルームメイトが、突然自宅に訪ねてきた。音信不通になった小夜子を一緒に探して欲しいと言われ、倉坂尚人は彼女の故郷、北海道・稲守村に向かう。しかし彼女はとある儀式の巫女に選ばれすぐには会えないと言う。しばらく村に滞在することになった尚人達は、神社を徘徊する異様な人影と遭遇。更に人間業とは思えぬほど破壊された死体が次々と発見され……。大どんでん返しの最恐ホラー、誕生!

 

 

これはホラー×ミステリー×恋愛小説なのかしら??個人的には恋愛色が濃く見えて、想像していたよりホラーではありませんでした。

 

ストーリーは北海道にある小さな村にまつわる因習を調査すべく、ホラー小説家とオカルト雑誌のライターが駆け回る・・・のではなく

 

高校時代の元カノ・小夜子の安否を心配する尚人が、小夜子の友人に誘われて小夜子の祖父の家へ訪れるといったもの。二人が別れたのは6年前とのことですが、なぜにそんな年月が経っても未練タラタラなんじゃいとツッコミたくなる気持ちを抑えて読んでみてくださいね。ラストに大どんでん返しがあります。

 

私はこの部分がどうしても引っかかってモヤモヤとしながら読んでしまったのですが、ラストを知ってようやくしっくり。おかげさまでずっと尚人に対し、なんなんコイツ!と、イライラしていました。

 

で、最初に書いた小説家とライターのコンビについてですが、彼らは尚人と友人が小夜子の祖父宅に訪問後、遅れて村にやって来ます。このコンビが登場するまでは、なかなか物語の全貌がつかめず、あまり怖くありません。

 

なので、このコンビが出てきたら物語が本格的に動き出すと思ってください

 

それとナキメサマは超クレイジーです。あちこち腐れているし、奇声あげまくりだし、出血しまくりだし、目ん玉抉られているしでグロ系女子なんです。

 

いや、こんなヤバイのが存在する村から出たほうがよくない?村人よく住んでるなぁ。

 

ナキメサマ誕生の背景はそんなに珍しいものではなく、よくあるパターンです。しかし、全体的な展開が目まぐるしく、生きている人間模様の方が複雑という感じ。村人たちは狂っているし、小夜子も何だかよくわからない子だし、尚人はクズだし、登場人物すべてに腹が立ってしまいます(そう思うように書いてある?)

 

全員イヤな奴!特に主人公無理!という点においては、もはやジャンルとしてはイヤミスに近いのかもしれません。(人間の怖さよりもグロさやバイオレンスさがメインになっているので気分が下がります)

 

私は毎回こういった因習系の小説を読むと、モデルになった地域はないのか検索する癖があります。その結果、本書にある「稲守村」は見つかりませんでしたが、「稲盛村」というのは他県に存在していました。しかし、物語にあるようなホラー要素は確認できず。

 

本書に登場するホラー小説家が民俗学ホラーにめちゃくちゃ詳しいのと、推理力に優れすぎているのもあり、本編よりも彼の口から語られるオカルト話に興味がいってしまった私。この人存在感強いな~と思っていたら、その後、彼中心でシリーズ化されていることを知り、妙に納得。だから主人公が魅力なし設定でも問題なかったのかしら?一度きりのキャラだし

 

そんな部分も含め、怖いというよりは意外性を楽しむ小説でした。

 

私の心臓に毛が生えているせいか定かではありませんが、表紙のイメージほど怖くありません。むしろあっさり読めてしまうこと間違いなし。

 

人間の人間らしい感情こそが醜さを生んでしまう。これは化け物の共通点ですね。生きているときから、負の感情は始まっているんでしょうね・・・。時々ココロを浄化しないと私たちも村人や尚人みたいなイヤなヤツになってしまう可能性あり?

 

恋愛関係のもつれには、くれぐれもお気をつけくださいませ、というお話でした(?)

 

 

この作品から得た教訓

行くなと言われたところには行かない