チェルミー図書ファイル200

 

 

画像:www.e-yakusou.com

 

 

 

今回ご紹介するのは、吉行あぐりさんの「梅桃が実るとき」です。こちらはご存知の方も多いと思いますが、NHKの朝の連続テレビ小説「あぐり」の題材となった吉行あぐりさんのエッセイになります。

 

小学生の頃「あぐり」にハマっていた私。2021年にはBSで再放送されています。

 

本書の内容は、あぐりが十五歳でエイスケさんと結婚した話から、長男淳之介の誕生、美容師になるために山野先生に弟子入りした話、エイスケの死、戦中の話、次女和子から見た母親の姿、そして再婚し生涯美容師として活躍するといった話まで盛りだくさん。

 

本書は昭和六十年に出版されたものなので、実際には「生涯」ではないのですが(あぐりさんは長生きされているので、ここから先も元気モリモリでした)、人生の多くが綴られているといった感じが正しいのかもしれません。

 

昭和六十年・・私まだ生まれてないや(笑)当時ドラマの内容が昔のことだとはわかっていたものの、エッセイ自体も生まれる前のものとは知りませんでした。これを知ったときはプチ衝撃でしたね。

 

しかも、あぐりとエイスケさんは何だかんだで仲良しだと思っていたのですが、実際は結構ドライな関係で驚きました。あぐりもちょっと天然入った感じの人かと勝手に思っていたのですが、「変わったことが好きな人」「変わっていることをしている自分が好きな人」といった感じでした。

 

また、当時では働く女性がレア種として、母親業は大丈夫なの?と散々言われてきたと思われるあぐりですが、彼女なりの愛情表現があって、実はとても母性溢れる人だということがわかりました。(それでも平気で姉妹や娘をブサイクとか言っちゃうのは毒舌だと思いましたが・・)

 

しかし長男も次女も父の血を引いてか(?)作家になり、芥川賞受賞とは凄いですよね。実はあぐりから見て、一番作家になりそうな素質があったのは次女和子さんだったそうです。なので、和子さんが女優になり、上と下が作家になったのが不思議なんだとか。確かに本書では吉行和子さんが書かれたページが収録されているのですが、文才のある一家なんだなーというのがよくわかります。

 

ただ。

 

あぐりは、「文才はエイスケさんの遺伝」とおっしゃっていますが、私はあぐり自身にも相当その力があるように思えます。なぜなら、このエッセイ自体がめちゃくちゃ読みやすいからです。あぐりは趣味が読書で、もうそれしか趣味がないってくらい本好きなんですよ。父に似ても、母に似ても、文才には恵まれたんじゃないのかなーと思います。もちろん、子どもたち本人の力が一番大きいのは当たり前ですが。

 

エッセイは美容師としての奮闘がメインかと思いきや、子どものことが中心になっているのもホッコリしましたね。ドラマ以上に苦労された人生でしたが、どんな困難にもスーパーポジティブで乗り越えていくあぐりの強靭な精神に憧れてしまいました。ホント、強心臓なんですよ。モットーは「気にしない」って感じで、先を見すぎず直進していくから凄い。

 

そんなあぐりが自分より強いと思う実家のお母さんとは一体・・・(笑)でもこのお母さんのおかげで、あぐりがポジティブ&アクティブな子に育っていったのは間違いないでしょう。まさに理想のお母さんです。

 

落ち込んだとき、年を重ねたときに読むとパワーを貰える一冊なので、元気が欲しい方はぜひ読んでみてください!

 

 

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↓歴代朝ドラの中で一番好きです!

 

 

以上「梅桃が実るとき」のレビューでした!