施設で働いていた時に参加した虐待についてのオンライン研修会で、
深い優しさと熱意に、思わず涙がこぼれてしまった。
杉山春さんという、ルポライターさんの講演だった。
虐待され、死に至ってしまった事件についての本を書かれている。
本を読んだことはなかったけれど、それらの事件は記憶にあった。
虐待についての研修会って、一体どんな話をするんだろうかと思っていた。
虐待をする母親が悪いと、世間では言われがちだ。
じゃあその母親はどんな生い立ちで、どうしてそうなってしまったのか。
それを丁寧に見てみれば、母親こそ、支援が必要であったのだ、という話だった。
杉山さんの、世界を見るまなざしが、とても優しかった。
命を落とした子ども達をどうにかできなかったのかという強い憤りの気持ちと同時に、母親の苦しみに共感し、母親を取り巻くおかしな環境への憤り、「悪い母親だ」と短絡的に結論を出す世間への憤りが伝わってきた。私たちの考えの浅さ、支援の無さ、人間関係のつながりの弱さ、薄情さ・・・。そんな見て見ぬふりをされてしまう全てを言葉にして訴えかける姿は、根底に、子どもへの愛だけでなく、苦しむ母親への愛、親子で連鎖していく苦しみへの理解があった。
この方自身はとても静かな穏やかな話し方をする方で、だからこそ、心の奥底にある激しく強い思いと優しさがじーんと伝わった。
とても愛がある方だと思った。