児童養護施設の一日も書いておこう。
たぶん、誰もが想像する通りだけれど。
朝、それぞれの起床時間に起こす。
高校生とかは、自立も視野に入っているし、もう大きいから、頼まれたら起こす。
携帯とか目覚ましとかで、自分で起きている。遅刻しそうになったら起こしていた。
起きたら顔をあらって、着替えして、朝ごはん。歯磨き。登校。
女子は髪をどうやって結ぶとかも、リクエストがあれば一緒にやる。
登校できない子や、体調不良の子がいたら、無理させずに休むことを許可していた。
もちろん、行く気があるけどグダグダ言いたいだけの子は、冗談まじえて聞いてあげた後頑張れーって送り出すし、少し厳しくした方が頑張れる子にはそうするけれど、本当に苦しい子には本人の意思を尊重する。
高校生の場合、休んだ結果、単位が足りなくなったら退学になること、退学になったら施設にいられなくなることは伝えておく。
でも、どうしても学校に行けなくて、退所になってしまう子は出てきてしまう。
残念だけれど、どうにもしてあげられない。
その話は、またゆっくり書きたい。
夕方。学校から帰宅すると、手洗い、うがい。
私のグループでは、宿題をしながらおやつを食べていいことになっていたので、すぐに宿題を広げておやつ。宿題をやりさえすればよいので、どっちかが先でもOK。
宿題をするときは、なるべく職員がついていて、みんなで一緒に勉強した。
終わったら自由時間。テレビを見たり、庭で遊んだり。思い思いに過ごす。
幼児、小学生は夕食前にお風呂。中高生は、夕食後にお風呂。
夕ご飯。
夕食後は自由時間。
それぞれ楽しく過ごす。とはいえ、本当は喧嘩も多い。
幼児は8時、小学生は9時、中高生は22時に就寝。
(でも睡眠が必要な子は、もっと早く就寝)
高校生は、ほとんど自室で過ごしていたな。
携帯を持っている子が多いし、思春期だからね。小学生たちと遊ばないし、大人ともべたべたしたがらない。
だから、小学生が寝た後は、中学生とのおしゃべりタイムだった。
土日は、全部自由時間。
食べたいものを職員が作るから、食事も子供からのリクエストで決める。
普段は栄養士さんが献立を作ってくれてるけど、土日は子供が食べたいものを食べられる。
マクドナルドとかの外食は、希望があれば、月に1回食べる。お金をためてやりくりしていた。
外で食べることはあまりなかったけど、マクドナルドやケンタッキー、お寿司なんかは、買ってきて施設で食べた。ハンバーガーだけ買って、ポテトは施設であげて、ペットボトルでジュースを買うとか、倹約するけど楽しめるように工夫して。
でも食べ盛りの男子のグループは、量の少ない外食より肉をおなかいっぱい食べたい!!ってことで、たくさんの肉料理を出したりしていた。鍋いっぱいの肉料理と、炊飯器限界のお米が驚くほど一瞬で、おなかの中に吸い込まれていった。
土日は公園とか、お店をブラブラしたいとか、そんなリクエストも叶えた。
お小遣いが少しだけあるので、それで子ども達は好きなものを買える。
小学生は数百円、中学生でも1000円あったかな?そんな額だけれど。
なぜお小遣いが少ないかというと、貯金に回しているから。
この子たちが、施設を出た時に、家に帰れないかもしれない。
住む家を自分で探さなければいけないかもしれない。
その時に、お金が必要になる。だから、今は厳しいけれど、貯金を作っていた。
ちなみに洋服や、学用品は、施設からそれ用のお金がでる。
パジャマも靴も眼鏡も。
簡単には買いかえられないけれど、恥ずかしい思いをさせないように、ボロくなる前には買い換えていた。
必要な物は、すべて施設で揃えられるので、生活に困ることはない。
土日に自転車に乗りたいというのでサイクリングに行ったり、
電車が観たいというのでお散歩したり。
映画館ごっこで、カーテンを閉めて、DVD鑑賞したり。
夏休みや冬休みも同じ。出かけたり、ダラダラしたり。
長期休みは「帰省」と言われる、家に戻る子もいる。
家に帰るのを、子供はやっぱりとても楽しみにしている。喜んで帰っていく。
そうなると、長期休みを施設で過ごす子は少なくなる。
帰る家がない子もいて、帰っていく子を見送るのは寂しい思いではあるが、
そのぶん職員と濃密な時間を過ごせるので、お互い大事にする。職員もゆっくり手をかけて時間をかけてあげられるので、気持ちにゆとりがある。他児がいない静かな時間もいいモノなので、職員も子供も、なんだか一緒にまったりして、のんびりする。「親子」とはいかなくても、「親戚の子ども」くらいの感覚になったりして、お互い気を遣わずにリラックスしていた。
お正月も、施設で迎える子達もいる。
12月31日だけは、何時まででも起きていていいルールがあるから、子供は嬉しそうだった。
施設だからという不幸がないように、職員はみんな気を配っていた。
他人との共同生活は、やっぱり喧嘩が多いし、ルールがあるから窮屈だし。かわいそうなところはたくさんあるけれど、それでもいい所とと思えるように、居心地のいい居場所になるように、笑いや、温かさや、優しさを持ち寄って、工夫していた。