現在俺は更生施設の職員として働いている。

この施設には様々な問題を抱えた人達が生活している。

 

薬物依存症やアルコール依存症、窃盗症、性犯罪、放火など多岐にわたる。

 

生活している人間の中には、問題の他に、精神疾患や発達障害を抱えた人達も多くいる。

そういった人間が集まって生活しているのだから、自ずと問題が発生する。

 

朝の5時から住人同士のトラブルが起こったり、深夜に救急車で運ばれるなど日常茶飯事だ。

 

 

こういう施設で働いていると、やりがいをもって、問題と向き合い、毎日が大変だけど充実しているなど思われるが、実際はとても精神的負担が大きく、ストレスがかかる。

 

自分自身が問題の当事者であったから、理解して向き合おうとはするが、実際は本人が真剣に考え、自身やその問題と向き合う気がないと状況は改善しないし、問題は平行線をたどり良くなってはいかない。

 

 

実際、殴りかかられたりもするし、金を抜かれたこともある。

問題を起こすだけ起こして飛ぶ人間もいたり、何のために時間と労力を使って本人と向き合おうとしているのか分からなくなることも多い。

 

 

人から認められたことが少ない人らが集まり、承認欲求を満たすために、人を攻撃したり、足をひっぱたりする。

刑務所でもこういう光景は見られるが、刑務所ほど厳しい縦の社会になっていないため、無法地帯のようなことになることもある。

 

施設では病院に入院させることはできても、それは治療のためであって、懲罰ではない。

 

社会の中での懲罰にあたるようなものは警察に捕まり、刑務所へ行くことであるが、自立して社会生活を送ることをご両親も望んでいる中で、刑務所へ行くことはできるだけ避けなきゃいけないことでもある。

 

 

覚醒剤の後遺症を抱えながら、ひねくれた人達が集まる中で生活するのは、とても大変で労力がいることだが、利用者も自分のことでいっぱいいっぱいで、他人のことなどに考えをよせる余裕もない。

 

 

ただ、自分の利益などを抜きにして、時間を使い、向き合った時にその相手の心が少し変わることもある。

 

 

毎日ひとつひとつの積み重ねが大切だと日々思うが、薬物に染まっていた時のような、明日のことさえ考えなかった生活をふと思う出すことがある。

 

もうあの頃に戻ることはないと信じているが、まだ頭からこびりついて離れない記憶は残っている。