私は覚せい剤を日常的に使用し、抜け出せなくなっていた。それは生半可なものではなかった。
約15年前、地元を離れ、俺は一人もがいていた。
金のためなら何でもやってやると、いろんなことに手を染めていた。
孤独を埋め、金を手に入れるには、覚せい剤はうってつけのものであった。
日に日に薬が身近な存在になっていき、最終的には大量の覚せい剤がある生活を送っていた。
初めて大量の覚せい剤を目にした時は、気持ちが高ぶり、震えた。
末端ではあるが、俺は覚せい剤に染まっていった。
世の中にはこんなにも覚せい剤が蔓延しているんだと、驚きもした。
それから、量や頻度が飛躍的に増えた。
それはとどまることを知らず、覚せい剤において限界というものはないんだと知った。
1回に打つ量が増えていき、切れ目になれば追い打ちをする。
一日3回打ち込み、1か月の使用量はとんでもない量になっていった。
それからしばらくして
大量の覚せい剤を打っていた影響で、聞こえるはずのない声が聞こえるようになり始めた。
次第に幻聴は増えていき、24時間、365日聞こえ続けるようになっていった。
いつしか、幻聴と現実の区別がつかなくなっていた。
気づけば、売人仲間も距離を置くようになっていた。
立派なシャブ中になっていた。
自分で自分を否定しながら、覚せい剤を打ち続けていた。
最初の逮捕の時に、麻取りが窓ガラスを割り、突撃してきたときには、両腕の血管は注射痕でいっぱいだった。
それからは覚せい剤を断ち切ろうとしても、薬が体に染みついていて、やめることができなかった。
幻聴が聞こえても混乱し、聞こえなくなっても混乱していた。
気づけばまた逮捕され、2度の刑務所へ行くことになる。
精神病院のベッドの上で、この先の人生を考えていた。
最後にもう一回だけ、覚せい剤を断ち切るためにやることをやろう。
心の中に芽生えた、いつしか同じように苦しんでいる人を救う側になりたい。
それが現実になることになる。
2度の刑期を終え、今微力ながらもそういった活動の手伝いをして生活を送っている。
少しはまともになったんだろうか。
まだ狂った頭の中は完全には戻ることはないが、そういった生活を日々続けている。