『獣の奏者』や『鹿の王』そして『精霊の守り人』の守り人シリーズの著者
上橋菜穂子さんの最新作『香君』上下巻読み切りました(^O^)
最新作と言っても、ほぼ二年前の2022年3月に出版されたのですが
文庫になったら読もうかな、と思っていたのです
でも先日図書館に返却に行った時に
「すぐに貸出できますコーナー」に、上下巻の二冊が揃って並んでいたのです(^O^)/
それですぐ手続きして、借りてきました(1/17)
同時に、予約して準備が出来ていた3冊と併せて5冊借りてきたのですが
当然返却期限も同じ2月1日
読み終える都度一冊ずつ返却して
先週末の土曜日にも4冊目の「香君」上巻を返してきたのですが
残る「香君」下巻を2月1日までに読み切れるか少し心配だったので
上巻を読み終えた段階で
延長できるかWEBで確認したら次の予約は入っていなかったので
返却期限を延長して2月10日にしてもらいました
そうは言っても、出来るだけ早くお返しするに越したことはないので
昨日は、他のご用もなかったので、下巻を読み切りました
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遥か昔、神郷からもたらされたという奇跡の稲、オアレ稲。ウマール人はこの稲をもちいて帝国を作り上げた。この奇跡の稲をもたらし、香りで万象を知るという活神〈香君〉の庇護のもと、帝国は発展を続けてきたが、あるとき、オアレ稲に虫害が発生してしまう。
時を同じくして、ひとりの少女が帝都にやってきた。人並外れた嗅覚をもつ少女アイシャは、やがて、オアレ稲に秘められた謎と向き合っていくことになる。
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お話のはじめの方で、たわわに実ったオアレ稲の平原の描写が出てきます
これまでの稲よりもおいしくて、収量もあり、(海岸近く以外は)どこでも育ち
人口拡大そして帝国反映に寄与した
”救いの稲”
でもこのオアレ稲は、他の植物を駆逐し、更には土さえも変えてしまう
この地に改めて他の作物を育てようとした時
土をごっそりと入れ替えなければ、他の作物を育てることは出来ない・・・
ここを読み進めていった時に、すぐに頭に浮かんできたのが
(強力な除草剤で)雑草などひとつも生えていない
そしてその強力な除草剤に対して耐性のある(遺伝子組み換え)トウモロコシ畑
が広がるアメリカの大平原(>_<)
そして、読み進めるにしたがって
(他の作物が育てられなくなるのは分かっていても)
経済効率でオアレ稲しか栽培していかないことに対する恐怖と不安
わたしは「わたしの宗教観」のときにも書きましたが
一神教の”この神しか信じてはいけない”という狭義の恐ろしさより
”あれもこれも一木一草すべて神”という八百万の神の世界に安心感を覚えます
「しか」ではなく「も」の世界で生きていこうとしています
そして、一神教の教えだったり
(何も考えずに)念仏だけを唱えていれば極楽浄土に行けるというのではなく
自ら想い、悩み、そして求める(動く)
また日々の暮らしの中に溶け込んでの表裏一体の求道
その根底には、自分で考えることが出来て判断できる自立した人が居ます
そのためには知識を持ち、その知識を得ようとする意識
「香君」の終わりで
「でも、私は私であることをやめることはできません。
私に出来るのは、掛値なしの、ありのままの私で、人々と向き合うことだけです」
「・・・・それで、旅を」
「はい」
うなずいてから、アイシャは、
「旅をしているのは、別の理由もあるのですけれど」
と、言った
「別の理由?」
「私、自分が知り得たことを、多くの人に伝えておきたいのです
・・・・みんなが自分で判断できるように
自分の行動が何に繋がり、どんな結果をもたらすのか、想像できるように」
~
「知識さえあれば、辺境の農夫たちだって、
自分たちの未来を、自分たちで救えたかもしれない」
「香君」を読み終えて
改めて”わたしは私を生きる”しかないし
これしか許さないではなく、あれもこれもの多様性を意識することを気に留め
知らないからいいのではなく、知ろうとしないことが悪なんだろうと思います
”考えることが、わたしの生きがい”なんだから・・・
なかなか大変ですが(^O^;)
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