ピアノは「弾く」ものであって、「叩く」ものではない。
ピアニストの中村紘子もそう言っています。
同じピアノでも、クラシックでは弾き、ジャズでは叩く、そんな弾き方のニュアンスの違いもあるでしょうか。
ピアノは打楽器に位置付けられますが、それぞれに似合う弾き方もあるのでしょう。
弾く、叩く、それは鍵盤のこと。
 

今日はさらに鍵盤以外についても関係した話題です。
純粋に王道の優雅なクラシックを愛する人には煙たく感じる内容になるかも知れません。ご容赦を!

 

ピーター・ベンス (Peter Bence)




1991年生まれのハンガリー出身のピアニスト、作曲家です。
7歳で、モーツァルトとショパンの音楽に影響を受けた、最初のオリジナル曲を完成したと言われています。
11歳で初期の作曲を収録したソロピアノアルバムも発表しました。
彼は、教師や仲間たちから音楽の神童とみなされ、小学校在学中にすでにデブレツェン・リスト音楽大学に入学が認められていたとか・・・
10代の頃、映画音楽、特にジョン・ウィリアムズの音楽に大きな興味を示し始めました。
特に映画「スター・ウォーズ」の音楽に魅了されたといいます。
それが彼に新しい世界を開き、音楽的に自分自身をさらに探求するきっかけになったようです。

ハンガリーでクラシックピアノと作曲の訓練を受けた後、
アメリカのマサチューセッツ州ボストンのバークリー音楽大学で、映画音楽とピアノの専攻として研究を続けました。
そこで、あらゆるジャンルの音楽を取り入れる試みをしたのです。


The Awesome Piano
Peter のオリジナル曲です。
ピアノを叩く音を見事に曲に取り込んでいます。

 





ピアノの速弾きを得意とします。
2012年1月、彼は1分間に765回のピアノキーヒットに成功し「1分間に最も多くピアノの鍵盤を叩いた」 ギネス世界記録を達成しました。

(その記録は2017年3月まで保持されました)

ユニークなピアノアレンジを試み、ピアノの演奏方法に革命をもたらしました。
クラシック音楽とポピュラー音楽の境界を打ち破った、エッジの効いたパーカッシブで表現力豊かな演奏スタイルでセンセーショナルな成功を収めています。
ピアノを全く新しいレベルに引き上げ、楽器をフルオーケストラに変え、世界中の若い世代と古い世代のミュージシャンや音楽愛好家の両方にインスピレーションを与えています。
ピアノによる音をエフェクターなどで加工し、凝ったサウンドを演出しているのが特徴です。

彼が最大の影響を受けたのはマイケル・ジャクソンだったといいます。

バークリー在学中にYouTubeに動画をアップロードし始め、2015年にマイケルジャクソンの「Bad」をアレンジして急速に有名になり、わずか数日でなんと1,000万回の再生回数を集めました。

現在、Facebook と YouTube を合わせた累計ビデオ再生回数は 5 億回を超えています。
 

鍵盤を叩きつける様子にすごい情熱性を感じます。
ピアノを叩く、ピアノの弦を指で弾く、マルチ・トラック・レコーダー、ルーパー ペダルの駆使・・・

彼の演奏スタイルは「ピアノの扱い方が荒っぽすぎる」と批判する声もありますが、彼の奏でるメロディは斬新で画期的なんですね、とにかくダイナミックなのです。
多彩で熱のこもった演奏に魅了されます。


Time

映画『INCEPTION』からのカバー曲。作曲 Hans Zimmer

 

 




AFRICA
アメリカのロックバンド TOTO のヒット曲。

 





Cheap Thrills
オーストラリアの歌手 Sia の曲。
身体全体でリズムを刻みながら演奏するスタイルが特徴です。

 





Dispacito
プエルトリコの歌手 Luis Fonsi のヒット曲。

 




以上、ピーター・ベンスでした。

以下は関心のある方だけお読みください。参考として記載しました。
 

 

驚きのピアノの扱い方          


こんなピアノ演奏があった!

 

 

ジョン・ケージ (John Cage)
「18回目の春を迎えた素晴らしい未亡人」

ジョン・ケージはアメリカの音楽家、作曲家です。
ピアノの伴奏がなんと鍵盤の蓋を閉めて、その蓋そのものを叩いて太鼓のような響きを出して声楽を伴奏しています。

 

 

 


ジョン・ケージについて、もっと有名なものが次です。

ジョン・ケージ (John Cage)
「4分33秒」
曲の演奏時間である4分33秒、演奏者は全く楽器を演奏せず、最後まで沈黙を通します。
ピアノ演奏のものもありますが (ピアノから離れてしまいますが)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏でどうぞ。

 

 

 

 


キース・エマーソン (Keith Emerson)
1970年代に活躍したイギリスのプログレッシブ・ロック・バンド ELPのメンバーです。
当時まだ開発されて間もないシンセサイザーを世界に知らしめた功績が高く評価されています。

舞台上でピアノをひっくり返したり、ナイフを突き刺したり・・・
過激なステージングを行ったことから「オルガン(キーボード)のジミ・ヘンドリックス」と形容されることも。

 

 




山下洋輔

「ピアノ炎上2008」
山下洋輔は日本のジャズピアニスト、作曲家です。
1973年、燃えるピアノを演奏し「炎上ピアノを弾く男」として名が広まりました。
35年ぶりに「ピアノ炎上2008」を決行したのが次の映像です。