彼の妹は頭がよくずっとナンバーワンだった。

わたしの行ってた小中学は田舎で人数が少なかったが、わたしのいとこが同級生にいていつも1番で、運動も勉強も音楽も何をやっても成績が1番という人は、どんな頭の構造をしているのか特殊な存在のように思った。


彼の妹は、わたしたちより数倍も人数の多い数百人いる学校で、そこでずっと1番だといいうからすごい。
いつも人より一点でも多くとるのは大変なことだ。


彼は自分のことを
「だめなお兄ちゃん」
と言っている。


妹には頭があがらない。
妹の頼まれごとは断らない。

彼は大病して妹が病院に通って世話をしてくれて、その後仕事をやめたので、現在は妹が建てた家に間借りしている。

彼は話すのが得意じゃないが、最近は妹と話しをしているようだ。

さて、彼の妹はやはり県内で1番の高校へ入った。

中学生のころ母親とケンカして男の子の家にずっと泊まっていた子なので、
高校時代はどうか知らないが、

なんと高二で中退したらしい。
その後、となりの市の看護学校へ転入した。

高二くらいって暇なんだよね、こんなことしていてもしょうがないから働きたい、と思うんだよ。
わかるわ。

でも、普通高校って将来好きなことを探すために
まんべんなく教えてくれるとからまだ知らないことがたくさんあると思う。

3年生では進路がきまるから高2で中退したのか、そこは頭いいからどう思ったのかわからない。


さて、その後、彼の妹は、
北海道の建築の専門学校へ入った。

職歴は市内で不動産会社やアパレルの営業に務めてわりと転々としている。

やめた理由というのも驚きで、
たとえば業績の悪い部門を書類上ではあるけれど
業績アップさせたりした。
男性社員が首をくくるほど悩んでいるものを
あっさり逆転させるほど実力がある。
それで、「あなたのために部門を作ってあげる、」という方向へいくので、要りませんと言ってやめるという。

度々そういうことになり、
最近は勤めた会社で、男性社員から嫉妬され
ストーカーにあうので
お兄ちゃんに家にいてちょうだいと
いう感じで、

もう嫌なので会社をやめて自分で起業した。

それまで何度か自分で会社をつくっていて、
今度は彼の名前をかりて立ち上げたが、
コロナ禍で頓挫した。

それから勤めていた会社の会長に気に入られ
バックアップされ会社を作ることになった。

優秀な社員を引き抜きスタッフにし、それまでの顔見知りの取引業者もあつめ、ひとつのビルを建ててもらい開業した。
現在は、業績がよくすごく忙しいそうだ。

わたしの女友達が羨ましがって、
自分もできると嫉妬してた。

勘違いもほどほどにしてほしい。
仕事能力ではとても足元に及ばない。
プライドや自己評価の高さだけで
会社経営はできない。

それに、女友達は、彼の妹は
会長の愛人だと思っているが
自分がそうだから人もそう見えるらしいが、
浅はかな一時の遊び相手に会社をたてさせるわけがない。うまいことやったと思い込む人間の浅はかさ。
それも大きな勘違い。


彼の妹は、
頭ががよいだけではない。

怒らない
威張らない
腰がひくい
派手じゃない

「全然社長らしくないよ」
と彼は笑っている。


他人の生き方は参考になり
勇気をもらったりする。

でももって生まれたものは変えられない。

自分は自分の思うとおり生きればいいんだと思う。