【要注意】TPPは形を変えた「年次改革要望書」&ビン・ラディン声明 | My Aim Is True

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半年ほど前、僕は記事の中で、TPPについて、「簡単に言うと、貿易自由化の協定で、FTAのようなものです」と書き、「日本の農業が壊滅する!」と騒ぎ立てるほど深刻なものなのか!?と楽観的に記したことがあったと思います。

もちろん、その後、少しずつ情報を得て、コメント欄でしたが、すぐに「TPPは単なる自由貿易協定のようなものではないそうです」と訂正はした記憶がありますが、もう一度、ここで改めて基本的なことを記しておこうかと思います。


TPPを単なる自由貿易協定と捉えて、安易に締結してはいけない!!


[産経新聞5月19日 主張]

【TPP 復興に構造改革は不可欠】

<政府は当面の政策運営方針をまとめた「政策推進指針」の中で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加への判断を先送りした。当初6月をめどに判断する方針だったが、東日本大震災と東京電力福島原子力発電所の事故対応を優先させたとしている。

しかし、TPP交渉への参加先送りは日本企業の輸出競争力を弱め、日本経済の成長に大きなマイナスとなる。大震災からの復旧・復興を急がねばならない今だからこそ、TPP参加を通じた構造改革が不可欠だ。政府はむしろ、従来以上に交渉への積極参加を急ぐ必要がある

震災では多くの電機や自動車メーカーの関連部品工場が被災し、生産が一時停止した。これに電力不足が加わり、企業が海外へと工場を移転する空洞化を懸念する声もある。日本経済の原動力となっている製造業の危機的な状況を踏まえれば、TPP先送りの判断はありえない。

日本の1次産業の国際競争力を強化する観点からもTPPは不可欠だ。津波で壊滅的な打撃を受けた農家や漁業者への手厚い支援が必要なことはいうまでもない。だが、そのことと1次産業の体質強化は分けて考えるべきだ。

被災した農家や漁業者らの大量廃業回避のため、「復興特区」の指定で規制を大胆に緩和し、企業化を進めるなどの構想も浮上している。要は現状の追認ではなく、生き残るための知恵と工夫をいかに出すかだ。TPPはそのきっかけにもなるはずだ。

今回の大震災を機に、もともと国内に根強かったTPP反対論が勢いを増しているが、長期的視点に立てば、農業はじめ1次産業の競争力強化は避けて通れない。そのことを政府は、改めて肝に銘じなければならないだろう。

TPPは米国や豪州など9カ国が11月の決着をめざして交渉を加速させている。与謝野馨経済財政担当相は「それまでには対応を決めなければならない」と述べているが、閣内の意思統一は図られていない。大震災を理由とした交渉参加の遅れに各国がいつまでも寛容であるとは言えまい。

TPPは安全保障の面でも重要だ。実質的な日米自由貿易協定(FTA)であり、日米同盟の強化にもつながる。交渉参加への遅れは、その意味でも取り返しがつかない結果を生みかねない。>


今日の産経新聞の社説です。

文中にあるとおり、「実質的な日米自由貿易協定(FTA)」という捉え方は半年ほど前に最初にTPPについて触れた僕と同じ捉え方をしていますが、産経新聞はこの期に及んでもまだ同じ認識のようです(?)。

しかし、最近、本屋で様々なTPP関連の本を読めばわかるように、単なるFTAではありません。

また、産経新聞はテレビを含む他のメディア同様に、「工業製品の輸出力アップ」「輸入される農産物に対する日本の農業の強化」という非常に単純な見方をしていますが、大変な間違いです。

産経新聞と言えば、一応、保守系とされていて、大部分の記事に対して、僕は一定の信頼を置いています。

「産経新聞が一番まとも」と。

これまで「アメリカに媚びすぎだ」という批判はあっても、安全保障上、あるいは単なる反米左翼に対する警戒という観点から、ある程度までは仕方ないという思いもありましたが、今回の社説は許されないと思います。

それ故、僕より詳しい人も多いと思いますが、当ブログにおいても微弱ながら、少しでも多くの人に知ってもらうために念のために記しておこうと思いました。


今日の記事タイトルどおり、「TPPは形を変えた『年次改革要望書』」として警戒しなくてはいけません。

「年次改革要望書」とは1993年の宮沢首相&クリントン大統領との間において、「日米お互いに変えて欲しいところを話し合いましょう」ということになり、その後は日本の要求なんてまともに聞かずに、アメリカの要求だけを強圧的に押し付けてきた要望書のことである。

90年代から始まりましたが、一番、記憶が鮮明に残っている人も多いと思うのは、言うまでもなく、小泉純一郎の「構造改革!」で、その嵐のような日本のアメリカ化計画は、この「年次改革要望書」の要望通りに推し進められました。

この辺に関しては、以前、あまり濃い内容ではありませんが、記事にしたことがありました(【参照】「『拒否できない日本(関岡英之著)』を読んで 後編 」)

ただ、最近、すっかりこのアメリカからの「年次改革要望書」が広く知れ渡り(国会審議でも話題になるほどでした)、完全に警戒されるようになったためか、民主党政権後は廃止されたそうだ。


実は僕は上述の記事の中で、こんなことも書いています。


「アメリカの狡猾さ、恐ろしさをまざまざと思い知らされます。

正直、今回のサブプライムを発端とする、金融危機が起きて、アメリカが力を失ったことが良かったとすら思えるほどです(もちろん、転んでもただで起きるような国ではありませんが)。」


そうです。すっかり警戒されるようになった「年次改革要望書」はもう廃止して、TPPという名で「平成の開国!」「バスに乗り遅れるな!」のスローガンで、一見、「単なる自由貿易協定」と思わせて、そこにかつて「年次改革要望書」時代に実現不十分だった改革を協定によって認めさせるという毒薬です。


ちなみに、TPPに関して、僕が読んだ本は、


「国家の存亡~『平成の開国』が日本を亡ぼす~(関岡英之著)」

「恐るべきTPPの正体~アメリカの陰謀を暴く~(浜田和幸著)」


です。


まだ改革が不十分」だとアメリカが改革&規制緩和を要求している分野では、まず、医療&薬品分野があります。

例えば、「日本は新しく開発された薬を申請して、それが承認されるまで時間がかかり過ぎる。もっと早く承認しろ!(特許が切れる前にできるだけ儲けたいんだ!)」という要望があります。

ちなみに新薬の承認は厚労省所管の独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)が行っていますが、言うまでもなく、新薬の安全性などを審査した上で承認するのです。

それを無理やり早く承認してしまっては、後になって薬害などの大問題に繋がりません。

これは安易に認めるわけにはいきませんが、さすがに「国民生活第一!」と言っていた民主党左翼政権である。

蓮舫が率いる「規制仕分け」において、「PMDAがジャイアンのように製薬会社をイジめている!!」と繰り返し批判し、現在の「希少疾患や重篤な疾患向けの薬が優先的に審査される」内規に対して、「もっと売れる薬を優先的に審査するようにできないのか?」と迫ったそうである…。


もう一度、言っておきますと、「年次改革要望書」及び、その後継版であるTPPは、アメリカ企業&アメリカ人がもっと日本で金儲けしやすいように、日本の構造を変えろという要求です。分野によっては、アメリカのような国になれ、というものも含まれます。

そのようなものを推し進めていきますと、例えば、医療においても、アメリカのように「金持ちは高額な医療費を払って高度な医療を受けられるが、一般の人はまともに医療も受けられない」ような社会に変貌してしまうでしょう。

ちなみに司法分野でも、ISD条項と呼ばれる「投資家が国家を訴えることができる」ようになる条項もあるそうである。

どこに訴えるのかと言えば、「世界銀行傘下のICSIDなどの国際仲裁委員会」であり、数名の仲裁人が判定を下しますが、審理は一切非公開で、判定は強制力を持ち、不服な場合でも上訴することもできないそうである。そして、判定基準は「被告とされた国の政策の必然性や妥当性ではなく、『投資家が損害を被ったか否か』というただ一点だ」そうである。

いかにもアメリカ人が好みそうなことです。いかに楽をして日本という国家から金を巻き上げるかという点においては実に効果的でしょう。莫大な賠償金請求がなされそうです。


農業においては、「安い農産物が輸入されると価格競争に晒された日本の農家がぶっ潰れる!」ということはよく耳にするでしょう。

しかし、浜田和幸氏は別の点で警鐘を鳴らしています。

それは「農地売買」「残留農薬」「遺伝子組み換え種子(作物)」規制緩和です。



「遺伝子組み換え種子」について記すと、その分野において、アメリカのモンサント社が世界シェア90%だそうで、強力除草剤「ラウンドアップ」と、同剤に耐性を持つ「遺伝子組み換え種子」のセット売りで展開しているそうだ。
おまけにただでさえ「遺伝子組み換え種子」の健康被害が問題視されているのに、この「ラウンドアップ」も猛毒性も問題視されているそうです。
インドでは「穀物の収穫量が飛躍的に伸びる魔法の種子」という宣伝文句に踊らされて多くの農民が、「遺伝子組み換え種子」に乗り換えたそうですが…。

実は「遺伝子組み換え種子」は遺伝子操作して、一度しか実をつけないようにしているそうなのだ。
つまり、毎年、種子を買い続けなければならない…。
もちろん、「ラウンドアップ」も購入し、さらに化学肥料も大量に必要なのだそうだ。
そんなわけで、インドでは2008年から2009年にかけて、12万5000人の農民が自殺に追い込まれたそうです。
そして、次に狙われているのがブラジルです。
ブラジル政界への強力なロビー活動によって、徐々に規制緩和を実現しつつあるようです。

ちなみに、関岡英之氏は「農地売買」の規制緩和による、アメリカの最終的な狙いをこう読む(その過程はここでは割愛します)。

<稲作を放棄して畑作に特化する。これはまさに「お前たちは米を作るな穀物はすべて米国から買え。お前たちは商品作物だけ作っていれば良いのだ」という米国の世界戦略と整合する。その行き着く果ては、主食を宗主国に完全に依存する従属国の惨めな姿である>

しかも、その畑作も「遺伝子組み換え種子」で行えってことですか?
主食は宗主国に依存し、商品作物は宗主国の種子に依存し、それらの供給をストップされたら餓死するしかない生殺与奪の権を完全に握られます
そもそも、国防という安全保障政策においても、既に日本はその権をアメリカに握られているっていうのに、正真正銘の奴隷になれってことでしょう。

さて、上述の「米国の世界戦略」とは何か。
浜田和幸氏の著書から抜粋します。

<アメリカ国防総省傘下にある国防大学がまとめた報告書によれば、アグリビジネス(農業関連ビジネス)はアメリカにとって中東における石油と同じくらい重要な戦略資源となった。アメリカが世界唯一の超大国として君臨し続けるためには、農業、食料といった戦略的武器を最大限に生かす必要があると謳われている>

日本の金融分野を規制緩和して、日本の金融機関を安価で買い漁っていった禿げ鷹ファンドですら可愛く思えるくらいです。

あと、話は一気に変わりますが、ビン・ラディンが生前に録音した(とされる)音源が公表されました。
そこで、ビン・ラディンは、「チュニジアから革命の光が差してきた。国に平穏をもたらし、人々を幸せにするものだ」と述べています。
ただ、ちょっと疑問があります。
東日本大震災などがあって、これらについて深く調べたことがないのですが、これら中東諸国で起きた「革命」の動きというのは、欧米諸国(キリスト教圏)でいうところの民主化を要求するような「革命」であるように捉えていたからです。
であるならば、イスラム原理主義者であるはずのビン・ラディンらしからぬ発言と思ってしまうのです。
というのも、民主化というのは、理想的なイスラム社会というより、理想的なキリスト社会であるようにも思うからです。