[朝日新聞10月14日]
【厚労相方針 前政権の「子育て応援手当」】
【支給開始を前に停止】
[記事リード部]
「長妻厚生相は13日、09年度補正予算に盛り込まれた『子育て応援特別手当』(1254億円)を停止する方針を固めた。補正予算の削減額を上積みする狙いで、14日に関係閣僚に伝え、正式に決定する。ただ、地方自治体は12月支給開始に向けて準備を進めており、急な方針転換に混乱は避けられない状況だ」
※子育て応援特別手当・・・3~5歳児に3万6千円の支給(一度きり)。
本末転倒ですね(笑)。
「少子化対策」「子育て支援」「景気対策(?)」として、「子ども手当」をマニフェストの目玉にしていた民主党のやることとは思えません。
麻生政権は景気刺激策として補正予算を組みましたが、民主党は恣意的に「これは無駄」「あれも無駄」と自らの政策実現のために「無駄」を削減して、景気を鈍化させようとしています。ケインズ的には、こうした財政出動は「政府が穴を掘って、穴を埋めるだけでも無駄ではない」にも関わらずです。
挙句には「子育て応援」すら無駄とは・・・。
選挙前に民主党は高らかに宣言すべきだったんじゃないでしょうか。
「麻生自民党の無駄遣いは酷い! 子育てを応援するという無駄なことをしている!」と。
[記事]
「市町村議会では、手当支給に向けて補正予算を可決。すでに事務作業の外部委託などを進めている市町村もあり、至急停止により、委託を決めた業者との解約が迫られることになる。すでに一部では申請の受付も始まっている」
なるほど、子育て応援特別手当には、単に子育てを応援するだけでなく、そうした業者に対する景気刺激策にもなっていたわけですね。
でも、民主党は「無駄」だ、と。
何でもかんでも「無駄」として削減して、公約実現の財源を確保しようとしていますが・・・。
[朝日新聞10月14日]
【子ども手当 財源 自治体・企業も】
【厚労相検討 「全額国費」を修正】
おいおい!!
これだけ恣意的に「無駄」を削減しても、公約の目玉の財源確保もできないのか!?
おまけに初年度の「子ども手当」は半額支給なのだが・・・。
[記事]
「長妻厚生相は13日、鳩山政権の目玉政策である『子ども手当』の財源について、地方自治体や企業にも負担を求める方向で検討に入った。(略)
マニフェストでは全額国費を想定しているが、軌道修正を図ることになる。(略)
少子化対策全体の予算を確保するためにも、『子ども手当』に全額国費をつぎ込むのではなく、現行の『児童手当』のように自治体や企業にも負担してもらうべきだとの意見が、政府内に強まったためだ。
ただ、『子ども手当』の規模は、所得制限がある『児童手当』の数倍に膨らむ。自治体や企業の負担が重くなれば反発が強まり、来年の通常国会への法案提出に向けた制度づくりの難航は確実な状況だ」
日頃、我々に散々、民主党のマニフェスト原理主義ぶりを批判されているにも関わらず(今日の産経新聞の1面コラムも葛西敬之氏の「マニフェスト政治への懸念」でした)、肝心なところで公約を破るのか。
そして、記事で、「自治体や企業にも負担してもらうべきだとの意見が、政府内に強まったため」と書かれていますが、今日14日に原口総務相は次のように発言しています。
原口総務相:「地方負担なんて、あり得るわけがないので、それは、とんでもないことです。マニフェストで『全額国費』だから」
それに対して、長妻厚労相の発言は歯切れが悪い。
長妻厚労相:「基本的には我々も(財源は)『国費』ということを言っていたので、そうなるように私も担当責任者として全力で努力する。足を運ぶのであれば、どこにでも足を運んで説明して、実現に向けて努力していくという立場です」
それにしても、民主党は本年度限りの補正予算の「無駄」を無理矢理に削減していますが、本予算の「無駄」にはどうして切り込まないんでしょうかね?
民主党の「無駄」基準からすれば、本予算から膨大な「無駄」が削減できそうですが、そうしないがために、今のところ予算要求は過去最大の90兆円超になる見通しです。税収が減るのが必至なのに、過去最大の予算要求ですか・・・。
まあ、本予算を切り込むには時間がなかったんだとは思いますけどね。
あと、結局、「子ども手当」の所得制限はやらないんですかね。
さて、最初の「子育て応援手当」の急な停止に対して、
原口総務相:「現場を無視した議論というのはないわけですよ。そこのご理解なくして、自分たちの事情が変わったから、変えますよということだけでは納得がいかない。上から目線で、後は付いてくればいいということでは無理ですね」
ははは(笑)。
それがこれまでの民主党の政権運営では!?
それにしても、昨今の「安売り合戦」にはウンザリします。
デフレ・スパイラルの蟻地獄にハマるだけです。しかも、イオンなど大型チェーン店が進出していく地域ほど、熾烈な価格競争を強いられるようで、「囚人のジレンマ」にハマッていくようです。
もちろん、消費者サイドとして、安売りは歓迎すべきことが全くないわけではありませんが、198円の弁当なんて逆に食べたくないです。
政府紙幣でも発行して、健全なインフレ路線を敷いてもらえないでしょうか?