星漢燦爛(せいかんさんらん)#51 それぞれの区切り あらすじ
皇帝(文帝)は、今まで気づかなかったことを霍無傷に詫び 抱きしめ 労いの言葉をかけた。
自分の罪は許されないので死を望むが、愛する人に累が及ばぬようしてほしい と霍無傷は皇帝に頼んだ。
本人の望み通り処分するよう、左御史中丞は皇帝に進言した。
怒る皇帝は左御史中丞を蹴り飛ばし、越妃が止めに入った。
父の敵を討った霍無傷の行動には酌量の余地があると越妃は訴え、皇帝も同意した。
左御史中丞は、女子が政治に口出しするのかと非難し、越妃にも蹴り飛ばされた。
凌益が敵と通じた証拠はあるのかと、なおも左御史中丞は霍無傷を非難した。
すると袁善見が証拠を持って現れた。
淳于氏が汝陽王妃に贈った神像の中には彭坤と凌益の書簡が入っており、そこには彼らが帝と呼応していたことが示されていた。
左御史中丞は、凌不疑が太子の虎符を使い軍を動員した罪を訴えた。
三皇子が到着し、左家が帝の残党に大金で抱き込まれていることを突き止めたと、皇帝に訴えた。
帝の残党とは、田家酒楼の田朔で、彼は帝の内侍だった。
雍王や小越侯も田朔に唆され悪事に手を染めたのだった。
皇帝は左御史中丞を厳しく拷問するよう命じた。
三皇子は田家酒楼に捜査に入ったが、すでに田朔は逃げた後だった。
皇帝は三皇子と霍無傷を呼び、なぜ太子の虎符を使ったのか問いただした。
三皇子は2人が結託していたことを認め、博愛で 正しく賞罰しない太子は国を担える器ではないと主張した。
霍無傷は、太子の側に仕えた数月で東宮の全てを掌握できたことを話し、そんな太子が即位すればすぐに政治を乗っ取れる、太子に国は担えないと話した。
皇后が現れ、城陽侯府に行った時、程少商(四娘子)を捨てる決心をしていたのかと霍無傷に尋ねた。
霍無傷は「はい」と答え悔いもないと言った。
全て聞いていた四娘子が現れた。
復讐を捨てられない中、四娘子や程家を思ってのことだということは分かっている。けれど、四娘子という人間のことを分かっていたのか、と四娘子は霍無傷に尋ねた。
四娘子は皇帝と皇后に縁談を白紙にしてほしいと願い出た。
捨てたら許さないと伝えたはずだから有言実行する、四娘子は霍無傷にそう言った。
皇后は太子と共に自分も廃してほしいと言って、皇帝に皇后の玉璽を差し出した。
なぜ廃后にする必要があるのか、皇帝は皇后に尋ねた。
皇后は越妃が皇后にならなければ三皇子の立太子が承服されづらいからだ、国のためだと言った。
皇帝は承服しなかった。
廃太子にされれば太子は非難されるかもしれないが、皇后が廃后になるのと一緒に太子も廃太子になれば、太子は非難されることはない。
母として子のために何かしてやりたいのだと皇后は訴えた。
非のない皇后を廃することはできないと皇帝は言った。
数十年、越妃と皇帝が笑いあう姿を見るたび常に嫉妬と恨みに駆られていたと皇后は告白した。
少しでも夫婦の情があるならこれ以上苦しめないで欲しい、ただの宣神諳として生きたい、長秋宮に軟禁してほしい、皇后は訴えた。
皇帝は玉璽を受け取った。
凌家は取り潰され、凌益の三兄弟は斬首になった。
皇后は廃后になり太子は東海王に降格になった。
霍無傷は凌不疑の分も生きると言って、霍不疑と名を変え、北西で7年駐留すると申し出た。
今日、霍不疑は出立する。
四娘子に会いたいと伝言が届いた。
四娘子は代わりに見送って欲しいと言って、少宮に巾着を託した。
四娘子はすっかり落ち着いて以前の四娘子とは別人のようだった。
そんな四娘子の姿を見ながら簫元漪は、騒ぎを起こす方が安心できると思った。
長秋宮に行くという四娘子を簫元漪は止めた。
今や長秋宮は冷宮同然だからだ。
そんな時だから側にいるのだと四娘子は言った。
孤城に救援に行く際自分を置いていった両親の気持がやっとわかった、忠孝は二つ全うできないと理解できたとも言った。
霍不疑は四娘子が来るのを待っていた。
すると少宮がやってきて、巾着を投げ、縁が切れた以上強引に求めないで欲しいと言った。
もう会うことは無いという四娘子の言葉を少宮は伝えた。
霍不疑が巾着を開けると、中にはかつて四娘子に渡した屋敷の印章が入っていた。
三娘子は四娘子に、やけになって一生を棒に振らないで欲しい、四娘子を大切にする夫はきっと見つかると声をかけた。
四娘子は、夫が欲しいと思えば探すし、望まなくても良い と言うと別れの挨拶をし、馬車に乗り込んだ。
馬車を見送りながら、四娘子は長秋宮から戻らない気なのだと簫元漪は気付いた。
簫元漪は急いで四娘子を追いかけた。
門の向こうにいる四娘子に、簫元漪は”行ってはダメだ、自分が謝るから”と叫んだ。
感想
皇帝も越妃も凌不疑が凌不疑ではなく霍無傷だと知った時から、許す気満々でした。
それに対して左御史中丞は霍無傷を生かしてはおかないという立場でした。
左御史中丞は皇帝と越妃に蹴り飛ばされても諦めず、凌益が敵と通じていた証拠を求めました。
袁善見が淳于氏の神像の中からゲットした証拠を持ってきましたが、あれは四娘子が見つけ出したもののはず。
以前の四娘子だったら自分で証拠を持ってあの場に乗り込んだでしょうが、今回は袁善見に託しました。
凌不疑とは別れることを決意しているからなんでしょうね。
だから霍無傷の命を助けることになる証拠を自分がみつけたと知られたくないのでしょう。
四娘子の見つけた証拠で、凌益が悪だと証明されてしまいましたが、それでも左御史中丞は諦めず虎符を使って軍を動員した罪を問いました。
そこにやってきた三皇子によって、びっくりな事実が!
なんと、左御史中丞は帝の残党と通じていた!
霍無傷の罪を執拗に問うのも、戦神霍無傷がいなくなれば巻き返しを図りやすくなるから。
てっきり37話で凌不疑(当時)に拷問された仕返しだと思ってましたよね。
いままでの話ではそんな感じでしたので、そのまま信じていました。
ただ、左将軍まで一緒になって敵視するのはなぜなんだろう、とはちょっと思っていました。
一族が皆仲良しの時代だからなんだろうな、と勝手に納得してましたが、まさかこんな理由があったとは。
田朔も、ごくごくたまにしか出てこないのに、名前が表示されていたので何かのキーパーソンなんだろうなぁとは思っていましたが、凌不疑の放った密偵くらいに思っており、まさか帝の残党だとは思いもしませんでした。
32話で小越侯が田家酒楼で密談をしていた時、その場に田朔もいたので、「なんで番頭さんが密談に加わってるの?」と思いつつ、凌不疑の密偵かな、なんて(笑)
実際の所は、雍王も小越侯も田朔に操られ国の害になることを行っていたわけですから、本当の黒幕だったんですね。
たぶん、田朔の初登場は6話の灯会の時でした。
でも6話ではまだ名前は出てこず田家酒楼の番頭としか名乗っていませんでした。
こんな重要な人だとは思ってませんでした。
肖世子も田家酒楼に来てましたし、小越侯も来てました。
確かに悪い人たちは田家酒楼という場所に来てました。
そういうことだったんですね。
7話では、肖世子の羽振りがここのところ良かったという話もでてきていました。
兵器横流しで得たお金もあるでしょうが、田朔からのお金もあったんでしょうね。
左御史中丞にも大金を渡していたということですが、そのお金の出元はどこなのか、気になります。
彼1人が商売で成功したお金とは思えないので、帝の残党はまだまだたくさん残っているんでしょうか。
四娘子に頼まれた皇后が霍無傷に四娘子を捨てるつもりだったのか尋ね、「はい」と答えた霍無傷を四娘子は許さないことに決めました。
「でもあなたは私を分かっていた?」という四娘子のセリフが印象的でした。
霍無傷は四娘子のために四娘子を捨てたけれど、四娘子にとってはそんなのは四娘子のためでもなんでもなくて、ただ捨てられたという事実が残るだけなのでしょう。
そのことに凌不疑は気付けるはずで、四娘子が助かるために捨てられることを望まないと分かっていながらあえてした。
四娘子が望まないことをあえてしたことが許せないのだと思いました。
前回、四娘子は凌不疑(霍無傷)との別れを決意し皇后に話しました。
その時、皇后は「余もあなたのように勇敢に答えを求めるべきね」と心の中で言っていました。そ
んな皇后が、廃后にしてほしいと皇帝に訴えました。
理由は3段構えでした。
1つ目は越妃が皇后になれば三皇子の立太子もスムーズに進むという「国のため」、2つ目は太子が廃太子にされて非難を受けないよう自分が廃后となることで非難の的になるという「子のため」、3つ目はただの宣神諳として生きたいからという「自分のため」。
話に出てきた呂雉は劉邦の皇后で、則天武后と西太后と共に中国三大悪女の1人だそうです。
霍成君は宣帝の皇后だそうです。
先に別の皇后がいたのですが、霍成君の母親がその皇后を亡き者として霍成君が皇后になったらしいです。
嫉妬したという話の流れで2人の名前がでてきたので、2人とも嫉妬に駆られて何かをした悪い人なのかな、と思ってしまいましたが、wikipediaをちょろっと読んだ感じそういうことではなく悪い女性(皇后)の代名詞みたいな人のようです。
ただの宣神諳として生きたいと言った皇后でしたが、でも皇后だったということもあり長秋宮で軟禁される生活を送ることになる。
結局はただの宣神諳としてなんて生きられないんじゃないかな、とちょっと悲しくなりました。
皇后でなくなることで肩の荷はおりたでしょうか。
皇后が少しでも幸せに生きられることをお祈りしております。
別人のように落ち着いてしまった四娘子は、凌不疑からの会いたいという伝言にも応じず、長秋宮に行くことにしました。
三娘子によれば、簫元漪も体が悪いらしい。
簫元漪に尽くすことは孝(親に対する奉仕)の道で、皇后に尽くすことは忠(主君に対する忠誠)の道。
両者は両立しない場面がある。
今回両親のそばにいることよりも皇后のそばにいることを選んだ四娘子は、自分が15年前置いて行かれたのも、両親が忠の道を取ったからだと気付きました。
ツンデレなのですが、デレているところを決して四娘子に見せようとしなかった簫元漪が、ついに四娘子に向かって自分が謝ると叫びました。
四娘子も両親を理解できるようになっています。
次回のタイトルが、「歳月を経て」というものですが、これはもしかしたら「歳月を経て四娘子と簫元漪は理解し合えるようになりました」という話だったりしますか?
今回を見るまでは、「歳月を経て霍不疑と四娘子の愛が再燃します」という話だと思っていたのですがっ!?
どうなんでしょうか。
霍不疑と名前を変えた霍無傷ですが、”体の弱い阿狸のために丈夫な息子に用意した名前を霍翀は阿狸にあげたのだ”と崔祐は46話で話していました。
霍無傷のために霍翀が最初に用意した名前は霍不疑だったわけですから、歳月を経て父親が最初に用意した名前に戻ったということですね。
そこには仲の良かった凌不疑への想いも込められているということで、良い改名だと思いました。
41話で凌不疑から渡された屋敷の印章を、四娘子は返しました。
41話は、寿春に出征する凌不疑を見送る回でした。
四娘子は鴛鴦の鎧を届けるため軍営に乗り込み、そこで凌不疑と将来住む家について計画をたてたりしてたんですよね。
あの頃は相思相愛だった2人が、まさかこうなるとは思ってもみませんでした。
41話と言えば、あの時「おや?」と思うことがあったのを思い出しました。
将来の家のことを語り合って感極まった四娘子は凌不疑に自ら口づけし、「ご両親と違い私たちは不幸な伴侶にはならない」と言ったんです。
それに対して凌不疑は「不幸は伴侶ではない」と言いました。
あの時は、意味が分かりませんでした。
凌益と霍君華が凌不疑の両親だと思っていて、だから2人のことを凌不疑は不幸ではないと言っていたのかな、と。
でも今思えば、あれは霍無傷の本当の両親のことだったんじゃないかな、と思いました。
13話で凌不疑は「私も舅父(ここでは霍翀のこと)のように愛する人を娶りたい」と言っていました。
なので霍翀とその妻は愛し合っていたんじゃないでしょうか。
だから2人は不幸ではないとあの時凌不疑は言ったのかなぁと。
7年北西に行ってしまうらしいですが、これから四娘子と霍不疑は7年離れ離れに?
7年後といえば、四娘子は22歳。凌不疑は28歳。
って計算して、四娘子がまだ15歳なことにやっぱり驚いてしまいました。
中3か高1ですよね。
大人すぎるっ!!