星漢燦爛(せいかんさんらん)#45 行き場なき志 あらすじ

 

 

 

 

楼犇ロウ・ベン顔忠イエン・ジョンと旧友であることを認めた。

顔忠イエン・ジョンの残した詫び状については、家族を盾に脅され精銅を渡そうとしたが、馬栄マー・ロンによって一族は葬られたのだろうと楼犇ロウ・ベンは推理した。

 

伝えていないのに、楼犇ロウ・ベン顔忠イエン・ジョン一族が亡くなったことを知っていた。

四娘子しじょうしは反応しようとしたが、凌不疑リン・ブーイーに止められ思いとどまった。

凌不疑リン・ブーイーは、今回の功績で楼犇ロウ・ベンは必ず出世するだろうと祝福を述べた。

 

楼犇ロウ・ベンと別れた四娘子しじょうし凌不疑リン・ブーイーは、黒幕は楼犇ロウ・ベンだろうと確認し合った。

程始チョン・シーの行方も楼犇ロウ・ベンは知っているはずだ。

四娘子しじょうし楼犇ロウ・ベンに問いただそうとしたが、凌不疑リン・ブーイー馬栄マー・ロンが残したはずの証拠を捜すのが先だと説得した。

 

万萋萋ワン・チーチーは男装姿で、牢の頌児ソンアルに会いに来た。

万松柏ワン・ソンバイに頼んで看守に賂をおくり入れてもらったのだ。

 

婿入りの話を無かったことにしようとする頌児ソンアルに、万萋萋ワン・チーチーは口づけをした。

男装を解いた万萋萋ワン・チーチーは、今夜から2人は夫婦である、頌児ソンアルが亡くなったら寡婦のまま一生再嫁しない、断られたら出家すると言って頌児ソンアルに決断を迫った。

 

チョン老夫人は万萋萋ワン・チーチーの姿に心打たれ頌児ソンアルの婿入りに賛成した。

簫元漪シャオ・ユエンイーチョン老夫人に従うと言い、2人は笑いあった。

 

ロウ家では楼犇ロウ・ベンの功績をたたえる祝宴が開かれていた。

楼縭ロウ・リーは、楼犇ロウ・ベン延姫イエンジーに贈った鏡を賓客に見せ自慢していた。

楼犇ロウ・ベンは自ら鏡を磨き10種の字体で「兼葭けんか」という詩を刻んだそうだ。

四娘子しじょうしはその鏡を見せてもらった。

 

そこに凌不疑リン・ブーイー袁善見ユエン・シャンジエンが軍を率いてやって来た。

勅命により顔忠イエン・ジョン一家殺害事件の被疑者を捕らえに来たのだ。

 

楼犇ロウ・ベン馬栄マー・ロンと結託すると、家族と精銅を託すよう顔忠イエン・ジョンを唆し皆殺しにした。

罪は程始チョン・シーになすり付け、関わった者の口を封じた。

これが凌不疑リン・ブーイーの調べ上げた事件の全容だ。

 

楼犇ロウ・ベン顔忠イエン・ジョンを唆す書簡の処分を馬栄マー・ロンに委ねていた。

しかし馬栄マー・ロンは万が一に備え書簡を処分せず銅牛どうぎゅう県に隠していた。

凌不疑リン・ブーイーは証拠として、楼犇ロウ・ベンが書いただろう この書簡を提出した。

 

楼犇ロウ・ベンは、自分の筆跡と異なると主張した。

四娘子しじょうしは、楼犇ロウ・ベンが10種の文体を使い分けることができることを、鏡を提出し主張した。

すると楼犇ロウ・ベンは自分の罪を認めた。

 

虐げられ続けたロウ家二房のため、何より自分の志のためだったと楼犇ロウ・ベンは語った。

数十年早く生まれたかったという楼犇ロウ・ベンに、凌不疑リン・ブーイーは もしそうなっていたら大業を成しえただろうと声をかけた。

 

凌不疑リン・ブーイーは幾度も楼犇ロウ・ベンを推挙したが、そのたびにロウ太傅は太子を 謙虚を装い説得し楼犇ロウ・ベンを起用しなかった。

楼犇ロウ・ベンはその恨みを語った。

 

程始チョン・シーはどこにいるのかと四娘子しじょうしが尋ねると、楼犇ロウ・ベン四娘子しじょうし1人を部屋に連れて行き自ら製作した”十四州きょう域全図”を贈ると言った。

楼犇ロウ・ベンが製作したこの堪輿かんよ図は、皇帝に贈れば生きる道が生まれるほどの宝だ。

 

楼犇ロウ・ベン堪輿かんよ図に気を取られている四娘子しじょうしを人質にして凌不疑リン・ブーイーの前に出た。

四娘子しじょうしを解放し程始チョン・シーの行方を話せば皇帝に酌量を嘆願すると凌不疑リン・ブーイーは説得したが、楼犇ロウ・ベンは笑い飛ばし鬱屈した胸の内を語った。

 

二房夫人も延姫イエンジー楼垚ロウ・ヤオも、官職になどつかなくても生きていさえすればいいと言って四娘子しじょうしの解放を求めた。

 

楼犇ロウ・ベン四娘子しじょうしを解放すると自ら命を絶った。

延姫イエンジー楼犇ロウ・ベンの亡骸にすがり、泣きながら身ごもったことを話した。

 

楼犇ロウ・ベンの言葉を心の中で繰り返した四娘子しじょうしは、程始チョン・シー銅牛どうぎゅう県の鉱山に監禁されているのだと思い至り…?

 

 

 

 

感想

 

解決編でした。

凌不疑リン・ブーイーが事件の全容を語り、楼犇ロウ・ベンが証拠に対して「筆跡が違う」と逃げたところに四娘子しじょうしが決定打である鏡を見せつける!

名探偵夫妻のあっぱれな共同作業を見せていただきました。

 

楼犇ロウ・ベンは知らないはずなのに顔忠イエン・ジョン一家が天国に召されていることをうっかり話してしまい、四娘子しじょうし凌不疑リン・ブーイー楼犇ロウ・ベンが黒幕であると確信しました。

 

四娘子しじょうし程始チョン・シーの行方を楼犇ロウ・ベンに尋ねようとしましたが、凌不疑リン・ブーイーは証拠を見つけるのが先だと説得を。

程始チョン・シーは大丈夫なの?生きてるの?と心配していましたが、凌不疑リン・ブーイーにはこの時すでに程始チョン・シーが生きている確信があったから後回しにしたのかな、と後になって思いました。

 

楼犇ロウ・ベンの計画は程始チョン・シーに全ての罪をなすりつけるというものだったので、程始チョン・シーは生きていないとマズいんでしょうね。

だから程始チョン・シーはどこかで生かされている。

そう確信し、凌不疑リン・ブーイー馬栄マー・ロンが残しただろう証拠の捜索を優先したのでしょう。

 

万萋萋ワン・チーチーは賂を使い牢にいる頌児ソンアルに会いに来ました。

向かい合った牢の向こう側に男子である頌児ソンアル少宮シャオゴンが、こちら側にはチョン老夫人と簫元漪シャオ・ユエンイー程姎チョン・ヤン三娘子さんじょうし)が入っています。

万萋萋ワン・チーチー頌児ソンアルのやり取りは、家族みんなに公開されました(笑)。

 

万萋萋ワン・チーチーはいつも派手な衣装ですが、男装姿の飾らない姿の美しさに度肝を抜かれました。

髪をほどいてからもすてきだった。

飾らなくてもこんなに美しい人だったんだ、とその美しさに改めて魅了され見とれてしまいました。

 

頌児ソンアルのことが大好きというのが真っ直ぐに伝わってきました。

35話で「入り婿なんてそんな縁談はお断りよ」と言っていたチョン老夫人が翻意するのも納得でした。

 

簫元漪シャオ・ユエンイーは、”今まで対立していたのはお互いにチョン家の子女のことを考えてのことだったのだと気付きました。これからは君姑くんこに従い何事も乗り越えます。”みたいなことを言ってチョン老夫人と和解していました。

こっちはどうでしょう!?

 

嫌疑をかけられ牢に入れられ、気丈な簫元漪シャオ・ユエンイーも気弱になると思います。

そんな時に万萋萋ワン・チーチーが自分の保身は一切考えず愛を貫くために牢にやってきて、頌児ソンアルと愛を誓った。

そんなハートウォーミングな場面を見せられたわけです。

この状況で心がほだされているだけなのではないか、とちょっとだけ疑っていますてへぺろ

 

今回黒幕が明らかになり、程始チョン・シーが見つかり帰ってきてチョン家の容疑が晴れれば、またこの2人はチョン家名物嫁姑争いをするのではないかと、ちょっとだけ期待しています(笑)

 

今回の楼犇ロウ・ベンの功績は ロウ太傅も無視できないものだったようで、ロウ家では宴席が開かれました。

楼縭ロウ・リー楼犇ロウ・ベンのことを兄と呼び自慢し、楼犇ロウ・ベン延姫イエンジーに贈った鏡を見せびらかしました。

今まで一度もこんなことしたことなかったのに。

 

楼縭ロウ・リーが見せびらかした鏡が、楼犇ロウ・ベンの首を絞めることになるとは、この時の楼縭ロウ・リーは知らなかったのです。

 

鏡により「筆跡が違う」と言い逃れられなくなった楼犇ロウ・ベンは、罪を認めました。

そして今までのロウ太傅に対する恨みを語りました。

 

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(追記)

見返していたら、17話にも銅鏡の話が出てきていました。

楼垚ロウ・ヤオの母は四娘子しじょうしに自分が嫁いできた時に持参した玉佩ぎょくはい(?)を証しの品として渡しました。

すると、ロウ家大坊夫人が”その品は延姫イエンジーに渡すと思ってたのに二房夫人は四娘子しじょうしの方が好きなのね”と嫌味を言いました。

 

それに対して四娘子しじょうしは、延姫イエンジーには銅鏡がありますもんね、と とりなしました。

楼犇ロウ・ベンの遊歴先で2人は出会い、装飾品を持たなかった楼犇ロウ・ベン延姫イエンジーに銅鏡を作って贈ったそうです。

この時すでに、同郷の裏には異なる字体で詩が彫られているという情報も語られていました!

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前回、楼犇ロウ・ベンのしたことでロウ家の人達にも累が及ぶのではないかと心配しましたが、ロウ太傅は余裕の表情でした。

宣言通り 楼犇ロウ・ベンは家族を巻き込まないよう計算して この計画を立てていたんですね。

 

ハー家はよう王の乱の時 国に殉じており、何昭君ハー・ジャオジュンとその弟は凌不疑リン・ブーイーと同じような立場です。

国に殉じた英雄の忘れ形見。

だから何昭君ハー・ジャオジュンと結婚した楼垚ロウ・ヤオロウ家の人々はかなりのことがあっても安全なんでしょうね。

 

楼犇ロウ・ベンの不幸は、自分を抑えつけるロウ太傅が「太傅たいふ」という地位にあったことだったんだと今回気付きました。

太傅たいふはざっくり言うと天子の師だそうです。太子の幼いころからの教育係。

 

 

そしてどうやら人事権は太子が持っているらしい。

そういえば、今はスン氏となってしまった太子妃の従兄孫勝スン・ション(超無能)も太子が登用して凌不疑リン・ブーイーはじめ色々な人が引きずりおろそうとしてました。

 

人事権を握る太子を言いくるめられるロウ太傅は、絶対に楼犇ロウ・ベンを阻む。

しびれを切らした楼犇ロウ・ベンがこのような最終手段に出てしまったのも仕方ないと思いつつ、でも他に手はなかったのかなぁと思ってしまいます。

 

かなりの人物が亡くなってしまったわけですから、国家的損失ですよね。

そして国家的損失に当たるくらいの人の活躍する場を奪い続けたロウ太傅の罪は 重いと思いました。

個人的には、この人だけには累が及んでもいいんじゃない?と思いました。

 

程始チョン・シーの居場所を四娘子しじょうしから尋ねられた楼犇ロウ・ベンは、地図を贈りヒントを語り、でもストレートには言わない。

 

四娘子しじょうしはあの堪輿かんよ図を皇帝に贈れば命は助かると言っていましたし、凌不疑リン・ブーイーも嘆願すると言っていました。

でも楼犇ロウ・ベンとしては事が露見した以上 生き恥をさらさない覚悟だったようです。

四娘子しじょうしを人質に取ったのも、自分で自分の始末をつけるための時間を稼ぐためだったんでしょうね。

ああでもしないと、凌不疑リン・ブーイーの連れてきた軍に連行されてしまいます。

 

なんでよ?

なんで生きないの!

 

例え牢の中にいても、楼犇ロウ・ベンになら意見を求めに来る人がたくさんいたりするんじゃないでしょうか?

そしてそんな楼犇ロウ・ベンはいつか解放されて、そして塾を開きそこで学んだ子供たちが楼犇ロウ・ベンの志を受け継ぎ国の大事を成す。

そんな、吉田松陰的な人になれたかもしれないのに。

 

残念でなりません。

本当にもったいない。

延姫イエンジーのお腹に忘れ形見がいたのだけが唯一の救いです。

 

楼犇ロウ・ベンの亡骸にすがっていた延姫イエンジー四娘子しじょうしを見つめ続けていたのは、あれは何ですか?

「この女のせいで夫はこんなことに…」なんて思ってないですよね?

犯罪を犯したのは楼犇ロウ・ベンなので、探偵を恨むのは筋違いですよ?

 

恨むならロウ太傅を恨んでくださいね?

あれはなに?ちょっと怖い。

延姫イエンジーの顔は怖くなかったですが、あの場面が長く映されていた、という事実が怖かったです。

この夫婦が愛し合っていたのはヒシヒシと伝わってきました。

愛は美しいまま持っていて欲しいです。

 

楼犇ロウ・ベンのヒントを頼りに四娘子しじょうしが導き出した程始チョン・シーの居場所は、銅牛どうぎゅう県の鉱山だそうです。

生きている確信があるから凌不疑リン・ブーイー程始チョン・シーを後回しにしたのだと信じています。

程始チョン・シー、生きていてくださいね。