永楽帝~大明天下の輝き~ #15 疑獄の波紋 あらすじ
允恭は妙雲に、皇帝が朱棣に帰京命令を出したことや、捕縛された北元の間者70余名は全員斬首されたことを話した。
妙雲は都へ帰ることに決めた。
伯雅倫海別は、朱棣が面倒を起こしたのだと気付き、金陵の密偵にどんな些細な異変も報告するよう指示を出した。
北元の密偵の自供を得て、朱棣は開中法を悪用し軍屯の食糧を横領し塩の引換証と交換し暴利を得ている者がいると考え鉄鉉に調べさせた。
これが事実ならば恐ろしい数の官吏が不正に関わっていることになる。
信じがたいと鉄鉉は話した。
帳簿を照合した結果、帳簿通りの在庫があった。
朱棣から報告を受けた太子は、事実なら各省の官吏がことごとく罪に問われることになると皇帝に報告した。
ただし、太子の調査では帳簿に不審な点はない。
これほどの官吏が腐敗しているくらいなら、北元の離間策であってほしいと太子は皇帝に話した。
皇帝は朱棣ほど信じられる者はいないと話すと劉基を呼び戻す詔を出した。
胡惟庸は、朱棣が鳳陽に行ったことを聞きつけ焦り駆けつけた朱亮祖に、証拠をつかんでいるなら鳳陽には行かないはずだとなだめると、劉基を呼び戻したのは淮西派の足並みを乱すためであり、すでに都でも鳳陽でも手は打ってあると話した。
張武は幼なじみから、軍屯を預かる陳愷が塩の引換証を担保に農家から食糧を借りたという話を聞いてきた。
朱棣は錦衣衛を動員し陳愷を捕縛した。
家宅捜索をすると金銀財宝や塩の引換証が出てきた。
陳愷は開中法を悪用し暴利を得たと自白した。
更なる調査を進めようとする朱棣に、鉄鉉はこれで終結するよう意見した。
朱棣の言動に”目的のためなら冤罪もやむなし”の感があることや、証拠もなく捕縛し拷問にかける態度を鉄鉉は諫めた。
朱棣は調査を継続しようと考えたが、太子は調査を切り上げ都に戻るよう命じた。
朱高熾が風邪を引き、妙雲の出立は先延ばしになった。
劉基は、やり方を間違っている朱棣を救うよう姚広孝に話した。
劉基は亡くなった(毒殺?)。
皇帝は嘆き悲しみ、北平にいる允恭と李景隆を都に呼び戻し京軍留守司に入れることと、秦王・晋王の妻子を都に呼び戻すことを命じた。
皇帝が口実を見つけて淮西派と決着をつけるつもりなのだと胡惟庸は気付いた。
妙雲は徐達に、朱棣を北平に戻すよう皇帝に奏請してほしいと頼んだ。
自分と息子のことを考えて欲しいと妙雲が言うと、徐達は そのような奏請に皇帝も太子も応じないし”日夜怠らず1人に仕える”からこそ自分は皇帝から大軍を任されているし、朱棣も太子にそのように仕えるべきだと話した。
徐達と話した妙雲は、快癒していない朱高熾を連れて都に戻ることにした。
朱棣は開中法の件について姚広孝の意見を聞きに行った。
皇帝は朱棣の行動を後押しした。
都に戻った朱棣を太子は呼び出した。
朱棣は鳳陽の7品以上の官吏200名中60余人を捕縛した。
内、証拠があるのは10名のみで残りの者は拷問による自白だけを証拠として処罰された。
太子がやりすぎであると忠告すると、朱棣は皇帝を持ち出した。
感想
どうやら鳳陽の軍屯を塩の引換証と交換し暴利を貪る者達がいると北元の間者の自供を得たようです。
もしそれが本当ならば、鳳陽から北平に食糧が届く間 関わる全ての官吏が汚職に手を染めているということになり、とんでもない大問題らしい。
太子と鉄鉉が調べたところ、帳簿と在庫は一致していました。
なので、北元の間者が明に混乱を引き起こさせるために嘘の自白をしたと思いたいと太子は話していました。
けれど、嘘の自白ではなく、単に胡惟庸が都でも鳳陽でも帳簿と在庫が一致するよう手を回していたということが分かりました。
そのカラクリは、農家から借りた食糧を倉庫に置いておくというもの。これで見かけ上は在庫と帳簿が一致しました。
このカラクリを解くのに張武がいい働きをしてくれました。
小作人をしている幼なじみから話を聞いてきてくれた。そういえば彼は鳳陽で仲間になったんだった!と思い出しました。
陳愷が捕まり、朱棣はまだまだ捕まえるつもり満々です。しかし鉄鉉はこれで終わりにするよう言いました。
朱棣が”冤罪もやむなし”という態度であることや証拠もなく自白だけで捕縛する態度は必ず反感を買い朱棣自身に危険が及ぶから。
現代憲法も自白だけを証拠として裁くことは禁止していますし、もちろん拷問も禁止しています。
鉄鉉の言っていることは現代に通じる考え方で、今では当たり前に享受していることも、歴史の中で人類が戦い続けて勝ち取ったものなのだと言われているみたいで、すごく胸がジーンとしました。思想史にも興味が出ました。
第三十六条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
第三十八条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
② 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
③ 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。日本国憲法 | e-Gov法令検索
朱棣はしかし、錦衣衛のやり方にどっぷり浸かっており、錦衣衛の強硬なやり方を貫きました。
後押ししているのは皇帝だけで、鉄鉉も太子も劉基も姚広孝も妙雲も このままではマズいと考えているみたいです。
劉基が亡くなりました。
読書しながらお茶を飲む劉基。
最後に茶器にピントが合っていました。
そして次の場面は劉基の死を嘆く皇帝。
皇帝「なぜこんな死に方を」
太子「(胡惟庸は)かような拙劣な手段は使わぬはずです」
その後胡惟庸たちは、劉基の死には自分たちは無関係だと話していました。
これらを総合して劉基は毒殺されたのかなと考えました。
劉基の死を嘆く皇帝は、呼ぶつもりなかったのに側近を呼んでしまいました。
「うせろ」と側近を下がらせてから皇帝の顔にカメラが寄ります。
一瞬戸惑っているような表情。
ここは、皇帝がそろそろ寄る年波に勝てなくなってきたということ=代替わりが近い事を示唆しているのかなと思いましたが、このような形で描かれたことにハッとしました。
こういうのがしょっちゅうなんですもの
なぜ開いたのか分からない冷蔵庫。
なぜ来たのか分からない部屋。
なにを調べようとしたのか分からないグーグルトップページ。
毎日そんな感じです。
朱元璋さんは建国の皇帝で尋常ではない方だから、こういう経験が少ないのでしょう。
羨ましいです!
妙雲と徐達のやり取り、徐達の”日夜怠らず1人に仕える”話には痺れました。
理想の武士の姿みたいなものを見せられているみたいで、いちいちこのおじさまはかっこいいなぁと。
そして徐達によれば、朱棣が今こういう状況になっているのも皇帝の計算通りのようです。
朱棣が鳳陽の上級官吏200名中60名を捕縛したという話を聞き、鳳陽の下っ端役人の気持ちになってしまいました。
現場は回っているんでしょうか?大混乱じゃないですか?
姚広孝が何か企んでいる偉い人らしいということも判明。
物語にものすごく引き込まれています!