永楽帝~大明天下の輝き~ #8 逃れられぬ宿命 あらすじ
朱元璋と違い、拡廓帖木児には頼りになる後継者がいない。
秦王妃・敏敏帖木児は、我らは一族のため結婚する宿命から逃れられないのだと伯雅倫海別に語った。
朱棣は徐家を訪ね、徐妙雲と屏風越しに対面し娶る気はないと話した。
妙雲は屏風を張り倒して朱棣を見ると送り出させた。
口外しないよう妙雲は家人に告げたが、妹の妙錦は太子に訴えた。
太子は朱棣を笞刑50回に処し、自ら執行した。
明の皇子として勝手は許されぬし、この宿命からは逃れられないのだと太子は朱棣に語った。
騒ぎ立てた妙錦を妙雲は禁足にした。
妙雲は増寿に、以下のように語った。
朱棣はこの婚姻の決定権を持たない。そしていくら徐家が箝口令を敷こうと、このことは公になる。そうなれば皇家が対応に乗り出す。穏便に治める方法を残すためにも騒ぎ立てるべきではなかった。騒いだのが増寿だったら、一生周囲から嘲られ仕官するハメになっていた。分を弁えるように。
太子は朱棣に「戦国策」を贈った。
凱旋してきた徐達らを、太子は重臣を従え迎えに行った。
胡惟庸が告発した耿炳文と傅友徳も凱旋してきた。
胡惟庸は、彼らと意味深長な言葉を交わした。
屋敷に帰った徐達は、朱棣と結婚したいか妙雲の意思を尋ねた。
徐達は皇帝に似た気質を持つ朱棣を気に入ったそうだ。
徐達が皇帝皇后夫婦について言及すると、妙雲は自分達には自分たちの在り方があるのだと話した。
徐達は皇帝に拝謁し、巨額の戦費をかけて拡廓帖木児を打ち取れなかったことについて謝罪した。
皇帝は、徐達の中書右丞相の職を解き、兵符を返還させ蟄居させた。
そして淮西の件について話を進めると律令を布告し、21名の侯爵を処分した。
皇帝は徐達に食卓に招いた。
徐達は民から搾取する役人は死罪にすべきだと言って皇帝の決断に賛同した。
皇后は鵞鳥の丸焼きを振る舞い、朱棣と妙雲の結婚に変更がないことを確認した。
李善長は職を辞し、胡惟庸は中書右丞相になった。
涂節も不法を暴いた功績で昇進した。
盛庸は徐達に推薦され、北辺の事情を熟知する人物として太子に抜擢された。
朱棣は盛庸が卑怯な小物だと言って、登用しないよう太子に直談判した。
すると太子は、曹操の「求賢令」を50回写すよう命じた。
皇帝は廃止した検校を錦衣衛と改め復活させる案を太子に相談した。
太子は「密偵を放つのは武則天のやり口」だと言い表情を曇らせた。
しかし皇帝の決意は変わらなかった。
書写を終えた朱棣は太子に面会し、「能力が第一 徳行は不問」という求賢令の趣旨は分かったものの”無能の君子 小人に勝る”と教えられてきたことを語った。
感想
徐達が凱旋してきたことで、朱棣と妙雲の婚礼の日が近い。
そんな中、朱棣は妙雲に破談の申し入れをしました。
いつもは妙雲の行動のどの辺が賢いのか分からないのですが、今回はご本人が解説してくださったので妙雲の賢さを理解できました。
妙雲は破談だなんて言われても、2人で決められることではないことや、このことを秘密にできないことも全部わかったうえで、皇帝が穏便に判断してくれることを待とうと思って箝口令を敷いたそうです。
そうだとすると、朱棣が去ろうとした時、屏風を張り倒して対面したのは何だったのか、疑問が生まれました。
最初あの場面を見た時は、「この完璧な私のどこが気に入らないの?」的な感情かなと思ったのですが、妙雲の話を聞くと、彼女がそんなことを思うはずはないですよね。
そうだとすると、「そんなこと言われても決めるのは皇帝なのに、そんなことも分からないの?将来の私の旦那はそんなに馬鹿なの?」的な怒りでしょうか?
あるいは、「自分の意思ではどうにもならないことなのに、それでも娶らないと宣言せずにはいられないほど嫌われてるの?」という感情でしょうか。
分かりませんが、でもあの一瞬は妙雲の年相応な感情の爆発みたいなものを見られて少しうれしかったです。
ところで妙雲を見た朱棣は一体どう思ったでしょうか?
女学者として有名なだけでなく綺麗でスタイルも良い子に娶らないなんて言って後悔しているでしょうか?
そもそも、なぜ朱棣は結婚したくないのでしょうか。
乙女思考では伯雅倫海別にラブだからと考えたいですが多分違っています。
朱棣は最初から妙雲を娶らないと言っていたので。
俗な人間である私は、何人でも(?)奥さんを作れるんだから、とりあえずもらっとけばいいんじゃないの?と思ってしまうのですが、間違っているでしょうか。
もらえるものはもらっとけ精神は危険でしょうか。
結局、朱棣は笞刑に処され死にかけました。
弟を思って顔をゆがませながら鞭打つ太子の姿。
お兄ちゃんにあんな顔させないであげて―。なにか結婚したくない深い事情があるなら話しなさい。
徐達と共に耿炳文も帰ってきました。
前回、胡惟庸が告発したところによれば、耿炳文は「不法に下女を囲ってい」るそう。
藍玉のことを耿炳文が隠していたのは似た者同士だったからなのだと、腑に落ちました。
耿炳文・傅友徳VS胡惟庸の会話の場面、面白かったです。
凱旋してきた2人はたぶん「下手打ったけど、許してくれるんですよね」的なことを言っていて、胡惟庸は「そうとは限らない」的なことを言っていたのだと思います。
こういう裏のある会話、わくわくします。
前回、北元で決着がついた戦い。
最後恐らく拡廓の陣地に火が放たれて彼らは撤退していきました。
あれがどんな戦いだったのか分からないまま、明が勝ったことだけを受け止めていました。
そうしたら今回、李文忠があの戦いの解説講義らしきことをしてくれていたので、見返してきました。
7話の該当シーン。
まず、北元軍が明の兵站(食料を管理)を襲いました。
徐達は、兵站に応援を送るよう命じました。
すると将兵たちは、大営を守れなくなると言って大反対しました。
けれど命令だと言われ、応援に向かいました。
北元軍は応援の軍が到着するとすぐに逃げて行きました。
傅友徳は「だまされた」と言いました。
そして拡廓帖木児の陣地が焼かれ彼らは撤退。
今回の李景隆のセリフ「(徐達は)真意を隠すのがうまい。わざと弱みを見せて褒章に悩む陛下を救う一方で皆の不満をかわした」のあとに、李文忠は北元での戦の話をし、机上の空論を弄ぶ者にならないよう息子に忠告しました。
なので、ここでの話(皇帝が淮西の件を処分した際の徐達の立ち回り)と前回の戦はリンクしているのだと思われます。
李景隆は、徐達が兵站に援軍を送ってわざと大営を空け隙を作り、攻めようと陣地を空けた北元軍の陣地に徐達の命を受けた者が火を放った戦いだったと考えた。
それに対して李文忠は、徐達は本当に兵站を守るため援軍を送り(食糧が断たれれば完敗)、情勢を見て負けない策を取ったのだと語りました。
なんとなく伝わってきたのは、戦は1人でするものではなく刻一刻と情勢が変化しているから、策を弄してもその通りになるとは限らず瞬時の判断が必要だということでしょうか?
とりあえず、7話でよく分からなかった場面やセリフに解説が入り、少しだけわかった気になれました。(多分わかってない。)
皇帝は錦衣衛という密偵集団(?)を作ることにしたそうです。
密告社会を想像してしまい、なんだか不安な気分になりました。
始まった時は、朱棣と妙雲の結婚までに、こんなにすったもんだがあるとは思っていなかったので、嬉しい誤算です。
どうやって2人が後世に語られるような仲になるのか、興味津々で見守っています。