一夜明けて、そんな気持ちになる。
奇跡?いや偶然でしょ。
再会した二人。
お互いの瞳を覗き込む。
彼の視線を受け止めたのは、初めてかもしれない。
以前、芝居で向き合った時は、怖くてすごい距離を取っていた。
3mか。5mか。
見つめ合う、お互いがひと目で惹かれあうシーンを演じた時に、彼は周りに言った。
「ね。時間が止まるでしょ?二人だと何かが動き出す感じがするでしょ?」
正直、私は何にも感じなかった。
彼の視線を受け止められなかったのだ。
怖くて、怖くて。
昨晩のあの瞬間。
身体に染み入っていく感覚。
恋でも欲望でもない、不思議な感覚。
ただ単に心地良さしかない。
ただ見つめあっていられればそれでいい。
いや、彼が生きてさえいてくれたら。
どこで何してようが、どんな女と付き合おうが、どんな女と結婚しようが、正直、どうでもいい、と思う。
なんだ、これ。笑。