拝読したところ、「リブログは自由に」との趣旨のもと執筆していらっしゃる先生のブログ記事ですので、リブログ致します。
個人教室にせよ、大手音楽教室にせよ、義務教育ではない習い事に於いて、通っている生徒本人の傷病理由や転居・死亡など、特別な事情を除き、必ず生徒が「辞める」と云う現象が起こります。
これは、学校教育法で制定するところの後期中等教育(「中学校高学年」を指すのではない)や高等教育(「高校」を指すのではない)機関が、最低修業年限を定め、大抵の入学者が期限と過不足ないタイミングで卒業する事を目的として設立されている概念とは全く異なります。
リブログ記事内にて、教材研究や演奏、保護者対応に言及されていますが、もう一歩踏み込み、生徒が辞めた後についてお考えの先生はどれほどいらっしゃるのでしょうか。
既にセミナー等でお話されているのでしたら恐縮ですが、少し思う事が有りますので、記載致します。
これについては、先生側も生徒側も、「辞める」事を「中退」と捉えているのか、「卒業」(巣立ち)と捉えているのか、それぞれの捉え方の問題が関与してくると私は考えています。
勿論、芸事の世界には終わりが無く、どこまで到達すればピアノについて「卒業した」と云う節目は無いのですが、辞める理由が先生の人格への不満であったり、入会前お伝えしていた事項と大幅に相違が生じた結果だったりと云う、所謂仲違い状態でのお別れであるのか、ピアノについては充分学んだから満足したと云う状態でのお別れであるのか、前者と後者では意味合いが全く異なります。
進学塾や資格試験取得予備校に於いては、目的とする試験に合格した時が「辞める」時です。
1年間に1回試験が実施される資格試験取得予備校に所属している浪人生の受講生が全員「辞める」事は、その予備校がほぼ正常に機能している事を示しています。
受講生たちは、当然、1年間で「辞める」事を目的として入会します。
習い事の場合、高等教育のように最低修業年限が定められていないため、「辞める」時期を決めるのは生徒側なのです。
生徒が未成年の場合、実際に先生のレッスン(レクチャー)を受けていない保護者の方がその判断に大きく関与するため、「辞める」事を決断させる決定的要素は何か、複合的要因の中に「レッスン内容への不満」が含まれていないか、詳しく探る必要が有るのではないでしょうか。
生徒本人や保護者に、何らかの不満を抱えさせたまま「辞める」事例を量産すると、個人教室の場合、ネットよりも早く近隣の噂になるのは火を見るよりも明らかです。
10年後、教室・会社を存続するつもりであれば、辞めた人と偶然街ですれ違っても自分から堂々と声をかけられる関係性を築く事ができたか、新規募集前に今一度お考えいただきたいです。
スタッフを雇っている場合も同様、自分と金銭的・社会的な正式な関係が途切れた後、お互い気まずい思いをせずに済む「別れ方」をしているのか。
恋愛と同様、気を惹いて交際まで辿り着くのは簡単、維持している間に関係が拗れ、別れ際に警察沙汰・民事訴訟などに至っては、交際した人数の分「負債」を抱える事になります。
過去の教え子たちに対して、「わが教室出身者」、「卒業生」と云う認識を持っているのか、それとも、「落伍者」、「脱落者」、「逃げ癖がある者」と云う認識を持っているのか。
新規募集とは、入会する生徒のことを、「巣立たせる」、「卒業させる」ための行為なのか、それとも、「引き留める」、「辞めさせない」ための行為なのか。
月謝滞納や器物損壊など、日本社会の平均的常識の観点から見て、強制退会措置をとられてほぼ当然だと判断された人物を除き、「わが教室出身者」と呼べる教え子の数(真の卒業生の数)と、入会者数、お問い合わせ数、などの相関を再認識する事をお勧め致します。