「めん鶏サキの悲劇」(後編) | 春夏秋冬~自然と共に生きる幸せ♪

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ある日の午後、 サキだけが鶏かごに入れられました。
他の六羽が話しています。
「コッコー!サキさんは私たちの為に がんばったから・・
きっと特別のごちそうを頂くことになるのかも しれないわねコッコ!」
「サキさんがいないとちょっと困るけど・・ 何とかなるわねコッコー!」
「私は、このエサでもかまわないわ。
とにかくタマゴを産む事に励むわコッコー!」。

めん鶏のサキはというと、かごの中にいても 仲間の六羽を心配しています。
『わたしがいないと、彼女達は・・十分の数だけ タマゴを産めないかもしれない・・ そう、きっとタマゴの数が足りなくって 飼い主のご家族に迷惑をかけるわ。
ああ!草の中に隠れるように産んだりしないかしら コケーッ』
心配の種は尽きません。
考える事といったら・・そればかりです。
サキは自分なしでは、 仲間のめん鶏がタマゴを産む事さえできないのだ と思っているのです。

夕方になりました。
飼い主である家族の父親がサキの入ったかごを家の裏に 運び去りました。
秋の夕暮れ、 山里の一軒農家の家族の夕食です。
楽しそうな家族五人の会話が鶏小屋に聞こえてきます。
鶏小屋の六羽のめん鶏は何も見えませんコケッコー!。

闇の中で、耳を傾けましたコッコ、コッコ。
会話はこうです。
「ねぇ、お父さん・・この肉は柔らかいですねぇ」 と、お母さん。
「僕、このローストチキン!すごくおいしいや」
「私も、ローストチキン!大好き・・」
子供たちの嬉しそうな声です。
「これなら、私の歯でも食べられるよ・・」 と、おばあちゃんの声です。
「よかった!よかった!皆おいしそうで・・。
このめん鶏は、まだ若いくせにちっとも タマゴを産もうとしないで・・
他のめん鶏を追いかけてばかりいるんでね。
仕方がないから今日のごちそうだよ。
母さんの料理の腕前もなかなかだねぇ」 とお父さんです。

六羽のめん鶏は驚きましたコケコケッコッコー!
そうです! めん鶏『サキ』は、食べられてしまったのです!
あんなに飼い主のために、がんばって気を遣い、 細かい指示をコッコと与えて仲間がしっかりタマゴを コケッ!と産むようにと、助けたつもりなのに。
悲劇が生じたのです!
かわいそうな『サキ』・・コッコー!
ただ一つ、めん鶏の ほんとうの務めは仲間におせっかいする事ではなく、 タマゴをコケッ!と産み落とす事だったのです。
そんな大事な事を忘れていた為に食べられちゃった可哀そうなサキでした、と。
シクシク~コケッコッコー!
(完)

拙著【プチ童話館】より抜粋。

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