
そんな昔から親友のお日さまだけは、ゴーヤくんの働きに感心しています。
暑がっている人さまたちを、少しでも助けたいと必死になっているゴーヤくんの姿を、お空から見ています。
「えらいね~ゴーヤくん!夏が終わるまで、今年もがんばって!」
と、応援さえしているのでした。
だから、人さまに理解されなくとも、感謝されなくとも、大丈夫なのです。
真夏になると、ゴーヤくんの葉っぱの手のひらは大きく大きく開いて、陰を作ります。
つるを長く長く伸ばしては、上へ上へと背伸びします。
やがて、緑のカーテンを完成させて、人さまへすずしい陰として広げていきます。
人さまを害する虫だって寄せ付けません。
人さまにたいする男らしい心意気があふれているのです。
そんな気持ちだけでいっぱいなので、他の野菜の仲間たちから「顔がブサイク」と、からかわれたり笑われても、平気です。
人さまからも「ブツブツ顔の苦いやつ!」と思われても平気なのです。
自分の強い愛の気持ちに自信があるのですから、何を言われても誤解されても、ぜんぜん気にせずに、どんどん大きくなっていくのでした。
夏の忙しいゴーヤくんには、自分の外見など気にしている暇などありません。
じつは、ゴーヤくんの体である実が「ゴツゴツ」なのは、こうしてお日さまの「ジリッジリッ!」から、人さまを守てあげよう~!としているからなのでした。
毎日、朝から夜まで岩のように「盾(たて)」となり、炎のような熱にたえるために恐竜みたいに固くしているのです。
でも、もっともっと・・ゴーヤくんは、男前で心意気がすごいのです。
ゴーヤくんの苦い実には、ビタミンCがいっぱい詰まっているので、人さまたちが食べると・・・なんと!夏の間中ずっと元気でいられるのです。
味は苦いけど、その心は甘く優しいゴーヤくんなのです。
「人さまたちが、元気に夏をすごせるように!」
と、いつも祈りをこめたブツブツの実なのでした。
強くて元気で幸せなゴーヤくんは、大きな心から出る大きな声で歌いまくっているのです。
親友のお日さまは、うれしそうな笑顔で、そんなゴーヤくんを見守っています。
夏の空に、今日も歌声が響き渡ります。
♪~♪
どーや ゴーヤ 食べてみい
バカにしないで ぼくの顔
ブサイクなんて 言わせない
和名じゃ つるレイシさ 麗し姿
だから日本が 好きなのさ
ぼくはグリーンの エコカーテン
南から やって来たぼく チョイにがい
それが あんたら 元気にするぜ
ビタミンC だけじゃない
栄養だって まんまん点
三大病だって 寄せつけない
自信があるぜ 男前
惜しまず 実るぜ がんばるぜ
食べる あんたの 笑顔が見たい
どんどん 増やすぜ 粋なぼく
いけめんゴーヤの 心意気
どーや ゴーヤ 食べてみい
♪~♪
(ゴーヤの編・完)次回は「かしこいピーマンはリッチマン」です。
拙著童話【野菜の歌声 】より抜粋


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