■ 日本人というブランド | シンディの働く若者指南!至難?!

シンディの働く若者指南!至難?!

日系、外資など企業で20ウン年間奮闘し、本人、知人の経験から学んだ指南を紹介していきます。実生活では不屈の妖怪課長ですが、ブログではやさしいキャリアコンサルタントとして、シンディが送るメッセージで少しでも悩める若者が元気になってくれるとうれしいです。

「日本人で、英語ができて、専門分野もあっていいわね。うらやましいわ。」

仕事仲間の韓国女性に、こう言われたことがあります。
韓国にも、国際的な企業や産業もあるし、暮らしやすい国なのに、日本人とそんなに違わないのにと思いました。彼女の言葉のニュアンスから伝わってきたことは、“社会では日本人だと言うだけで有利。更に英語と専門を身に付ければ、かなり強みになる”という印象でした。

わたしたちは、日頃、日本人として産まれたことに感謝しているでしょうか?
私自信もそうですが、日常はあまり意識せず、日本人同士の中で比べて、一喜一憂するものですよね。しかし、これだけ世の中がグローバル化して、企業の戦うフィールドが世界である以上、私達もグローバルな視点を持つべきなのです。

1990年代の終りごろから、台東するアジア市場への企業の注目が高まり、アジア諸国で現地の人達と仕事をする機会が増えました。業務でお会いするアジア顧客企業、自社のグループ企業の従業員は、皆ある程度裕福な家庭で育ち、学歴も高く、母国語に加えて、英語か日本語のどちらかは話す人達でした。同世代でも、皆、日本人よりしっかりしていて国際的な印象を受けました。

当時、企業で数年働いている台湾女性たちが、英語を流暢に話すのを聴いて、どこで身に付けたのか尋ねると、ほとんどが大学卒業後に英国、米国、カナダなどの語学学校や大学院に留学していました。母国で大学を卒業し、専門分野を深め、更に留学して語学や専門を高める。そうしなければ、一流企業には入社できないと言うのです。いまでこそ、100年に一度の経済危機で日本でも就職は難しくなっていますが、通常なら、世界に名だたる日本の一流企業が多くあり、それほど特別な専門がなくても、英語が出来なくても、就職できるチャンスはあります。

自国には、強い産業や企業がなかったり、産業や企業が十分に成長していなかったりする国々では、諸外国の製造や販売拠点を誘致して外資を集めて経済発展しなくてはなりません。台湾やタイ、最近は変化して来ていますが少し前の中国などで、高収入やチャンスを得てステップアップはするには、外資系で働くことは必須です。その為には、社会人としてのスタート時点から、英語も国際的感覚を身についていなければならないのです。

一方、日本は先進国として欧米と肩を並べ、経済的にも発展し、世界レベルの産業、企業、技術を所有する国です。同じ日本人ばかりで、文化も言葉もよく理解できる自分の国の企業で、質の高い職を得るチャンスが多くあるわけです。同じ成功を手に入れるのに、日本人はまるで、最初から下駄を履かしてもらっているようなものです。

以前、北米でトヨタ自動車の現地法人で働くアメリカ人女性に出会いました。彼女は、“北米トヨタで働けてうれしい。福利厚生もよいし、とても満足している。”と、嬉しそうに話してくれました。アメリカ人が日本企業で誇りをもって働いていることを目の当りにして、トヨタ自動車とは関係ない私でも、日本人としてとても誇らしく感じたものです。

日本に日本人として生まれただけで、私たちは、日本の産業、企業、ひいては国の発展のおかげで、目に見えない恩恵をたくさん得ているのです。これは私たちが生まれてから死ぬまで、お墓に入ってもかわらないブランドです。このブランド力を十分活かしきるのも、活かしきれないのも、各個人の価値観と行動次第です。

日々、狭い世界だけで物事を判断したり不運を嘆いたりせず、“日本人というブランド”を客観的に見て、他国から羨ましがられるようなそのブランド力に気づいて感謝しつつも、多いに利用していきたいものです。日本人みんなが、世界視野をもち、他のアジア諸国の人々のように逞しく、かつ独立心を持てば、日本の自殺者数も減少させられるのではないかと願うばかりです。