行ってみれば行ってみたで温かい人情に出会えたりします。
それでもやっぱり高いですけどね、敷居は。
だからこそ守られるのがブランドというものかもしれません。
新橋通りは昔ながらの風情を今にも残すステキな通り。
タイムスリップしたかのような不思議な感覚に見舞われます。
今夜のお店はこちらの「八咫(やた)」さん。
とある方からすごく美味しいお店だと聞かされていて、ずっと行ってみたかったんです。
なかなか普段はこられないですから、気を引き締めて襟を正していただきます。
それでは八咫さんのお食事スタートです!
11月だったもので、「霜月コース」というのをいただきました。
こちらは「炙り貝柱・法蓮草・舞茸・ブロッコリーの胡麻酢掛け」
のっけからしてこの大きな貝柱が食べ応え十分の満足感。
季節の野菜たちも胡麻の風味の効いたタレによって、よりイキイキと存在感が増します。
この日のお酒は麦焼酎をいただきまいた。水割り。
5対5ぐらいで割る方がお酒の味わいもわかっていいですね。
この水割り用のお水って四万十川の水を使っているのですって。
なんだかイタリアンレストランみたいでいいですね。
さてこの八咫さん、先ほどの入り口ののれんをくぐってお店に入るとそこは土間のような空間。
灯りがすごく暗くて急には店員さんのお顔もはっきりしなくらい。
靴を脱いで小上がりをあがって「こちらです」とふすまを開けた瞬間!!
お店の中の光がいっきに土間へとあふれて、お座敷が顔を出すという仕組みなのでした!
これにはかなりの大感動です!
このお座敷も変わっていて、正方形に近いお座敷の2辺を取り囲むように
カウンターが設けられ、板前さんが腕をふるっています。
祇園だけあって、お客さんは同伴の方や舞子さんを連れた方など、
常連さんとおぼしき京都の旦那衆が数名いらっしゃいました。
見事なお椀が登場し、ドキドキしながらふたを開けてみると・・・!
素晴らしき霞がかったみどり色の世界!
「蕪のすり流し 蟹と牛蒡のつみれ揚げ」です。
このつみれ、結構な大きさなんですよ!
蟹と牛蒡という、あまりなじみない取り合わせのつくねで面白い風味。
蕪のすり流しは京都らしいはんなりした舌触りでするすると・・・
そこに、やっぱり牛蒡の食感がいいんですよね。
そしてただのつくねに終わらせないのが八咫さんで、
これ、中におモチが入っているんですよ~!!
やわらかななもちもち感がまたサイコー!!
うーん、日本酒が欲しいぞ・・・いやいや、今日は焼酎で。
続いては「季節のお造り」です。
こんな風にステキな器で登場すると改めて姿勢を正したくなりますね。
この日のお刺身は鰆の焼き霜。焼き霜っていわゆるタタキですね。
鰆というのは皮と身の間に一番油がのっていて美味しいのだそうです。
だからこうして皮ごといただけるように焼き霜にしてくださるのですね。
ボクのメモには鯛の昆布締めも書いてあるのですが・・・はて。。
そして来ましたね~!!京都とくればのランキング上位常連「鰆西京焼き」!
つけあわされた銀杏がまた美しい彩を添えて見事な一品に。
西京味噌独特の甘みとコクのある風味が鰆の甘みをさらに引き出しています。
あぁ、日本酒が飲みたくなる~!
じゃーんっ!!!この霜月コースの内容を見てから一番に目に付いたのがこちら!
「海老芋唐揚げと旬菜の金時人参みぞれ和え」
海老芋って大好きなんですよね~!!
海老のような縞模様と反りかえった形状から「海老芋」と名付けられた京野菜。
海老芋の粘りのある食感を、唐揚げにすることで表面を固くして閉じ込めています。
金時人参の赤と花弁の黄色と敷かれた緑の葉のコントラストがホントに美しい。
前にも話した話題ですが、ボクがつくるパワーポイントの資料はこの3色が主なんです。
赤といってもオレンジですけどね。オレンジ~クリーム色にかけてのグラデーションと薄い緑の資料。
最近では、ご覧になっただけで、「○○(本名)が作った資料だな」とわかってしまう程。
基本的に暖色系で。対立軸ではなく協調路線で奮い立たせようという魂胆なワケ(笑)
まぁそんな話は別として、予想以上に美味しい海老芋に感動です。
お連れいただいた方ともこのあたりで熱い男の夢物語で大盛り上がり!
海老芋のように、アタリはやわらかだけれど芯のしっかりした方です。
そして、メインとなるもう一品が登場!!
「聖護院大根風呂吹き 九条葱とお揚げさんの炒め煮 海老と豆乳のあんかけ」
うっそーー!!これが風呂吹き大根!?
こんなゴージャスな大根は見たことがありません!!
さっぱりいただけてしまいそうな風呂吹き大根ですが、
まずは豆乳のなめらかなコクが奥行きを与えます。そして海老によるアクセント!
九条葱と油揚げは合わないはずもない程のマッチングで、
食感・舌触りと各々が得意とする甘みをじわっと広げてくれるのです。
かといってやっぱり全体は豆乳による、はんなりとしたやわらかさに包まれていて、
あぁ、こういうのってやっぱり京都だなぁ、と感覚的な美味しさの中で理屈で納得してしまう。
当初は海老芋ばかりに目がいっておりましたが、やはりメインは違う。
というよりもボクにはメインが2品も楽しめた気分で、すっかりご機嫌です♪
最後は「八咫謹製 ちりめん山椒」のご飯と赤だし。
このちょこっとだけご飯っていいですよね。
ボクにはもっとも京都を感じさせるアイテムの一つ「ちりめん山椒」。
赤だしもいただいてほっこり・・・。
ただ、熱い男同士の夢物語はもっともっと広がっていました。
「ボク、いつも自分に問いただすんです。だれかを幸せにできているかって。」
「ボクの仕事でだれかを幸せにできているか、そこが大事なんです!」
それって、すごくシンパシーを感じます。そしてリスペクト。
ボクも負けませんよ。まだまだこれからですから!
最後のデザートは京都の名産「代白柿」です。
最近、少しだけ甘いものが食べられるようになった酒リーマンです。
熱いトークも冷めやらぬまま、お時間となって表に出てみると、
来たころとはまた違った表情の新橋通りが出迎えてくれました。
人も減って気温も下がった歴史あるこの小路は、まるで父親のように
若さにたぎるボクたちに、無言で微笑んでくれているのです。
いやぁ、八咫さん、堪能させていただきました。
ごちそうさまです~!
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祇をん 八咫(やた)
京都市東山区大和大路通新橋東入ル
075-525-5511
http://www.kaland.co.jp/yata_honten/