今夜の酒リーマンはハードボイルドバージョンで。
三条京阪のパブ 「ピッグ&ホイッスル」―
また来てしまった。
最近やたらとこのお店に世話になっている。
仕事上がりに軽い食事とアルコールを楽しむにはパブがいい。
居酒屋では一人になりにくいし、バーでは一人になりすぎてしまう。
かといって食事だけの店はゆっくりと過ごせない。
自分が店の内装の一部になったような感覚。
世界と関わりを保ちながらの贅沢な一人時間を過ごせるのがパブだ。
今日もドラフトギネスを1パイント。
壁際の、スプリングのきしむ古いソファの一角を陣取って
本を開けば、さぁ本日・夜の部、スタート。
BGMは古いケルトミュージック。
外国人たちのダーツに興じる歓声が心地いい。
彼らはいつも陽気だ。
ここで居合わせた者どうしも意気投合してダーツで一勝負。
欧米系もインド系もアジア系も・・・あれは英語を話す日本人か。
本来のパブというのは日本でいうところの居酒屋のようなもの。
パブリック・ハウスというだけあって、コミュニケーションの場なのだ。
そんな、まるで町を凝縮したかのような雑踏感が好き。
「今日こんなことがあってさー」
「3丁目の○○ちゃんが・・・」
「今度、オレ引っ越そうと思って・・・」
日常の夕方の会話が聞こえてきそう。
だから浮いているのは寡黙に読書に耽るこっちの方なのだが、
そんな日本人にもお構いなしなところがうれしい。
凝縮した町なら、街角にそんな人もいたっていいじゃない?
ケルトミュージック、ケルティッシュミュージックというのは不思議だ。
こんな賑やかなパブでは、ダンスを踊りたくなるくらいに陽気なのに
ふとした瞬間の音と音のスキマに深い寂しさや悲しさを宿している。
なんて陽気な音楽なんだと思う。
なんて悲しげな音楽なんだと思う。
今宵もフィドルは、いよいよ絶好調に歌い上げる。
楽しみも悲しみもごちゃまぜに、ひたすら天高く昇華していく。
まるで人生そのものだ。
今夜もシングルモルトは付き合いがいい。
古くからの男友達のようだ。
だまって、なにも言わない。
文句もアドバイスもない。
スモーキーな香りとビターなアタック、
まろやかな喉越しで、ボクを包み込んでくれる。
目を閉じれば、そこにはアイルランドの原風景が・・・。
もちろん、雑誌やCDのジャケットでみかけただけだけど。
豊かな大自然。
遠くでヴァン・モリスンが唄っているのが聞こえてきそう・・・・。
ピッグ&ホイッスル、名前の通り陽気な店なんですよ、ホントは。
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パブ ピッグ&ホイッスル
京都市東山区三条大橋東入る大橋町115 尚美ビル2F
075-761-6022
http://www.g-gyao.jp/s/0002142114/top/