ハイキングの後、Cliff Walkという、断崖に付けられた板の上、もとい、遊歩道を歩いた。
なんというか、工事現場の足場みたい。いや、もちろんとてもしっかりとした造りなのだけれど、鉄板の隙間から下が見えて怖い。

 

写真中央に見える足場がCliff Walk。

 

拡大するとこれ。

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途中にいくつか看板があり、この辺りの土地についての説明板があった。

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「バッハアルプ湖の湿原地帯」


英語でも書かれているので、これは大体の意味がわかる。
なになに。ふむふむ、バッハアルプ湖の湿原はかつての氷河の後退のあとに出現した。不浸透性の窪みに集まった水と、氷に覆われていない部分に生まれた植物群が景観を形作った。中世までは湿原には魔物が住んでいると恐れられた。そして魔物の魂を鎮めるために、罪人が生贄として捧げられた、と。要約するとこんな感じかな。
ひぇ~~。残酷物語だね。この説明板を読んでますます、足元がおぼつかなくなった。

滔々と水が流れているのが見える。

白い筋は雪解け水が滝のように流れているのだった。



Cliff Walkにはアジア系の若いカップルがたくさんいて、特に韓国からの観光客と思しき人たちが多いと思ったら、ここは『愛の不時着』というドラマの舞台のひとつだったらしい。
若い人たちは楽しそうにセルフィーしていた。微笑ましい。
中世と比べ、よい時代になったなぁと思う。


ところで、氷河という言葉は中国語にもあるのだろうか。それとも、明治になってからglacierを翻訳して、日本で作った言葉なのだろうか。
氷河は「氷の河」という意味だよね。それがこの雄大な景色とすごくマッチしている気がした。それに、Hyo-gaっていう音の響きもいい。他を寄せ付けない孤高の強さが感じられる。(個人の感想です。)

英語のglacierの語源を調べてみたら、フランス語の glace(氷)+-ier(場所>-arium)で、「氷で覆われた場所」という意味のようだ。日本語の「氷河」の持つ孤高の強さや空間的な広がりは、「河」という漢字が当てられてこそ、と思う。

これも調べたら中国語で氷河は冰川、冰河と表記するらしい。
「川」より「河」のほうが雄大なイメージがある。

そんなことを思いながら、さらに調べたら、日本雪氷学会誌『雪氷』に掲載された『「氷河」という訳語の由来』という論文を見つけた。それによると、氷河という訳語ができたのは明治に入ってからで、江戸時代は「氷野」とか「宿氷」と訳されていたらしい。谷を下流に向かって移動する性質を表す言葉として、川との類似性から、氷の河と表現されるようになったと。
なるほど、その態を正確に表した言葉には美しさがあるということか。などと勝手に解釈して、悦に入っていたのだった。

閑話休題。次回は3日目のハイキングで出会ったお花たちの紹介をすることとする。



シュレックホルン 4078m