松本人志論 特撮的リアリズム⑲ | センテンスサワー

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以前ブログで、松本人志がオタク第一世代であることを説明した。あまり知られていないかもしれないが、松本人志は結構なオタク気質の持ち主である。ゲーマーであることは公言しており、その他にもアニメやマンガ、そして特撮好きとして知られている。

 

彼のコントや映画などでは、特撮技術を利用したパロディーネタが多い。例えば、ごっつええ感じでは、怪獣コント、レンジャイもの、アホアホマンなどが有名である。また、映画『大日本人』では、CGを有効的に使用した特殊効果撮影技術を効果的に取り入れていた。戦闘シーンは、とても臨場感があり、終盤での展開を含めて、特撮の世界観を上手く表現していたと思う。

 

松本人志が特撮に魅了されはじめたのは、子供の頃だと語っている。特に、特撮が盛り上がりはじめた初期の特撮の影響を受けているといえる。ブームのきっかけを作った番組は、ウルトラシリーズ(1966年〜)仮面ライダーシリーズ(1971年〜)スーパー戦隊シリーズ(1975年〜)などある。その他にも、マイナーな特撮はいくつも放送されていたようだ。

 

ここで、特撮について説明しておこう。特撮とは、特殊撮影技術(Special Effects;SFX)を指す略称である。またはSFXが多用された映画やテレビ番組などの映像作品を指す総称とされている。怪獣映画、ヒーローもの、SF映画、パニック映画、戦争映画などに多用されており、現在では、エンターテイメント性の強い映画では基本的に使用されている。

 

そのため特撮という言葉は、アナログ的な手法からデジタル技術を利用したCGなどの手法までを含めて、幅広い言葉として使われているようだ。先ほども言及したが、松本人志はアナログ的な手法から最新の技法までを自らの作品に応用し、表現の幅を広げる試みを実践しているといえる。特撮に関しての感度がとても高いといえる。

 

松本人志だけではなく、オタク第一世代で特撮を愛好している人はとても多い。例えば、エヴァンゲリオンやシン・ゴジラの監督である庵野秀明は特撮マニアとして有名である。ウルトラシリーズ(空想特撮シリーズ)に熱中していたようだ。『巨神兵東京に現わる』では、短編作品にもかかわらず、斬新な特撮技術を駆使し、素晴らしい作品に仕上がっていたのを覚えている。

 

 

特撮的リアリズムについて

 

さて、そろそろタイトルである特撮的リアリズムについて触れておこう。特撮的リアリズムとは、以前説明した自然主義的リアリズムとアニメ・マンガ的リアリズムの考え方を応用した造語である。その説明をする前に、改めて自然主義的リアリズムとアニメ・マンガ的リアリズムの概念を説明しておこう。

 

自然主義的リアリズムとは、現実を拠り所として写生した作品と定義されており、まんが・アニメ的リアリズムとは、アニメやコミックという世界の中に存在する虚構を拠り所として写生した作品と定義されている。共に、日本の批評家である大塚英志が提案した概念である。

 

上記の創作技法の拠り所を応用し、提案したいのが特撮的リアリズムである。説明するまでもないかもしれないが、特撮的リアリズムとは、特撮の世界観を拠り所として、作品を創作することである。ある意味、特撮自体も虚構という捉え方もできるため、アニメ・マンガ・特撮的リアリズムとしてもいいかもしれない。

 

ただ、アニメ・マンガ的リアリズムと異なる点は、実写という自然主義により近い表現技法ということである。そのため、立ち位置としては、自然主義的リアリズム、特撮的リアリズム、アニメ・マンガ的リアリズムという並びが正確だろう。虚構ではあるが、その拠り所としているのはリアルな世界観であり、特撮的リアリズムこそ、身体を使った表現を行う上で、とても重要であるといえるだろう。

 

ごっつええ感じのコントでは、特撮的な世界観を拠り所として、それをパロディ化することで成功している。松本人志は、特撮のあるあるを抽出し、パターン化することで、それらをネタとして表現できたのである。それらの特撮のあるあるネタのパターンは、今でも若手に利用されており、特撮的な世界観のネタは、スタンダードなネタのパターンとすらなりつつあるのである。

 

 

今後、CGの技術が進化していくことで、松本人志の表現するネタの幅はさらに広がりを見せることは間違いない。それは特撮的リアリズム的な世界観であるが、よりアニメ・マンガ的リアリズムに近い世界観で表現することが可能となり、松本人志が描きたい世界観をより忠実に表現できるようになると思っている。

 

以上。

 

 

 

 

これまでのまとめ一覧。

 

笑いについて お笑い観①

笑いについて 演芸にまつわる笑いの歴史②

笑いについて お笑いブームとお笑いメディア史③

お笑い第五世代 大量供給・大量消費について④

お笑い第五世代 ネタ見せ番組ブームについて⑤

お笑い第五世代 ネタのイージー革命について⑥

お笑い第五世代 動物化するポストモダンの笑いについて⑦

お笑い第五世代 フィクションから、ノンフィクション、そしてフィクションへ⑧

お笑い第五世代 二次創作物とシミュラークルにおける消費者との関係性⑨

お笑い第五世代 笑いの消費の仕方について⑩

松本人志論 松本信者として⑪

松本人志論 松本人志とカリスマ性⑫

松本人志論 松本人志と狂気性⑬

松本人志論 松本人志とパトグラフィ⑭

松本人志論 松本人志と創造力⑮

松本人志論 松本人志と共同幻想⑯

松本人志論 松本人志とグロテスクリアリズム⑰

松本人志論 ドキュメンタル⑱