なぜ、彼はそんなことをしたのか?
という具合に、他人の行動をいちいち考えたところで、なにひとつ解決策など見えてはこない。
ただ、不運だった、としか言いようが無い。
生い立ちから、現在に至る過程の中で、大切ななにかが崩壊してしまったのだろう。
被害者の方には申し訳ないけど、僕は加害者に同情してしまう。
自殺に失敗し、死刑になるために、二人を殺害した、というのが動機のようだ。
これだけを見れば、大した動機ではないように感じてしまうが、本当の動機はさらに根深いところに存在するのではないだろうか。
そのためにまず考えたいことは、
なぜ、殺したのか?
ではなく、
なぜ、自殺をしようとしたのか?
ということだ。
それを知るためには彼の口から話してもらうしかない。
それでも言葉というものには限りがあり、すべての感情を表現することなどできない。
つまり、全体像を把握することは困難である。
もし、彼の人生をビデオなどで再生することができ、36年間を通してみることが出来れば、彼の悲しみを少しは理解できるかもしれない。
結果とその言葉だけを追って、ただ残酷な殺人者だ、と決め付けるのではなく、その先と奥を深く想像してあげる事が大切だと思う。
とまあ、だらだら綴ってきたが、彼のしたことは許されることではないし、被害者にしてみれば、加害者の動機など知ったこっちゃないだろう。
被害者の家族は加害者に死刑を望んでいるにちがいない。
ただ、加害者も同様に死刑を望んでいることが、心苦しく、救いようのない事実である。