【はじめに】
アメブロで勝手に連載をしておりました、ファイティング・ファンタジーゲームブック、「魂を盗むもの」のオリジナルリプレイにつきまして、
今回三話目となる、恵那ケミカルの完全オリジナルの物語を進めていきます。
これより以降は、本来のゲームブックの最終決戦に向かう道程であり、ネタバレが多数発生してしまうため、恵那ケミカルによるアレンジ、独自解釈、そして個人的シナリオとしての扱いに切り替えて発表して参ります。
本編とは全く異なります。
それでもいいよと素人同人の物書きにお付き合いくださる方のみ、読んであげてくださいませ m(_ _)m
モルドラネス・ソウル。
アルサンダーが咄嗟にそう名付けた、黄色い蜘蛛のような化け物は規格外の強さだった。
戦いの最中、何度も恐怖の幻影を見せ、ブーたち歴戦の冒険者ですら怯ませ、わずかであれ、攻撃を躊躇させた。
また自らの幻を作り出し、本体は背後から天井からトリッキーに襲いかかり、ブーは敵の能力の一つである、出血毒を受けてしまった。
だが、アルサンダーの決死のサポートにより幻影は打ち砕かれ、毒は即座に解毒され、恐怖心に怯まない呪文を施され、モルドラネス・ソウルは動きが鈍り、攻撃の勢いも弱まり、少しづつ弱っているのがはっきりとわかった。
「ブー! とどめだ!火球の呪文を作り出し、叩き込め!!」
「わかった...!」
アルサンダーから施され、教えられた魔法は4つ。
だが、早々に1つ...恐怖払い...を使い、残りは3つだった。
「加速」「火球」そして「幻影看破」である。
「炎は全てを浄化する。 燃やし尽くしてしまえ!」
アルサンダーが叫ぶ。
そしてついに膝を折り、どう!と床に倒れる魔法使い。いかに短時間休養したとして、この戦いでずいぶん魔法を使わせてしまった。
ブーは瞬間、そう思いながらも今は広げた両腕に集まる、膨大な『力』をはっきりと感じていた。
そして集中。
辺りの音は、景色は消えた。
ブーは全身に集まる見えないマナ、魔法の力を感じ、そこから迸るエネルギーを育てていった。
「..................(魔法語)、
解き放たれよ、火精たちよ!我が目の前の敵を焼き尽くし、大地に還せ!」
ブーが可能な限り意識を集中させ、全身から炎の元素が集まり、大きな火球となって放たれるさまをイメージした。
手にした霊符が炎に包まれ燃えてゆく。それと同時に煙のような魔力がブーから湧き上がり、体がカッカカッカと熱くなり、全身が見えない熱と光に包まれる。
「行くぞモルドラネス!!」
バァァァァァァン!!!!
激しい熱と光が、そして火の玉が眼前の化け物に直撃した。
敵は一瞬で炎に包まれ、うなり声を上げるまもなく燃え上がっていった。
「アルサンダー、ここを出よう!」
「ああ、すまんが手を...」
ブーはアルサンダーの言葉が終わらないうちに、驚くほどの瞬発力で老魔法使いを抱えあげ、肩を貸した。そして共に牢番部屋から脱出した。
後ろでは炎に包まれた幻影が、そしてオーガーの屍体が蝋燭のように燃え上がり崩れていた。