七井翔子 「私を見て、ぎゅっと愛して」

この本がもう販売されていないことを心から残念に思います。

オークションでも古本でも、もし見かけたら、手に取って欲しい。

カバーだけでも見て欲しい。


紡がれる言葉の美しさ。
脆弱な心の行く先を、七井さんと一緒に見て欲しい。


アダルトチルドレンと呼ばれる人が、人を愛することについて、傷に塩を塗りながら残した一冊。


自分の弱さが露呈することを恐れ、完璧なまでに日常をこなし、だからこそ弱さを埋めるために、溺れ、とことん傷ついて、何処までも落ちて、落ちて、落ちて…

人はこんなに傷ついていいのだろうかと思います。

その過程を埋めていく、七井さんの日本語の美しさに、とんでもない儚さと、切なさを、嫌というほど感じます。

この私の説明が陳腐で味気無く申し訳ない。


全てはなるべくしてなっている。誰も悪くないとは言えないけど、起こるべくして、起こっている。

第三者だから言えるけど。


心の隙間を感じているなら、読まない方がいいかもしれない。

そんな一冊です。

５年前、書店の平積みから、この本を取った自分に感謝。

もう本屋さんでは出会えないからこそ、この本が今手元にあることに奇跡すら感じます。

ブログを書籍化したものですが、もしリアルタイムでこの七井さんのブログと向き合っていた方がいらっしゃるのなら、
どれほど心がえぐられただろう。

涙なんて陳腐だ。