助産師の山浦直子です。
先週で今年度の学校でのいのちの話が終了しました。
あとは学校以外からの依頼の講座が残っているのみになりました。
私は助産師として仕事をしてきましたが、若いころは性の教育について興味もなく、自分の仕事と思っていませんでした。ですから、子どもたちが育つ中で、どんな風に性を伝えたらよいのか、困ってしまいました。
それをきっかけに性の教育を真剣に考えるようになり、学校などでお話しするようになって10年以上になります。
子どもたちが早い時期からスマホを持つようになり、ワンクリックで様々な情報が手に入る時代です。
自分で意図しなくても性情報に触れてしまったり、性に興味をもって検索すると、商業的な性情報、かなりゆがんだ性情報ばかりがどんどん入ってきてしまうこともあるでしょう。
子どもたちを取り巻く環境はどんどん変わっていていますが、日本の学校での性教育は変わらず、「寝た子を起こすな」という考え方です。
2003年七尾養護学校事件(知的障害を持つ生徒への性教育の必要性に向き合い、工夫を重ねて作り上げてきた教育を、都の議員が過激性教育として批判、都教委は教材を没収し、校長を降格及び停職、教員らは厳重注意処分。)の影響でかなり日本の性教育が後退しました。工夫をしてきた学校もたくさんあったのですが、取り組めなくなってしまったのです。保護者や先生が勝訴するまでに10年もかかりました。
学校は教育指導要領にそって授業を行っていきます。
「受精」は教えるけれども、どう受精するかはおしえません。
「性交」は×、ギリギリ大丈夫なのが「性的接触」という表現。
性感染症は教えなくてはならないので、教科書は「一度の性的接触でも性感染症にかかる可能性があります」なんて表現になってしまいます。
矛盾を感じながら授業されている先生方もたくさんいるのではないかと思います。
本当は、性教育が進んでいる国のように、「どこから赤ちゃん生まれるの?」、「どうやって赤ちゃんできるの?」なんて聞いてくる5歳くらいから性教育は始めたほうが良いのだと思います。でも、親自身がちゃんと性教育を受けていないので、勉強していかないと子供の質問にうまく答えることができないでしょう。
これからは、小さい乳幼児を持つお子さんを持つ保護者向けにもっと「家庭でできるいのちの話」の講座の機会を増やしていきたいと思っています。