私には夢があります
それはいつの日か
顔にファンデーションを塗らずに
外へ出かけられるようになること
いつか膠原病の名残りの顔の紅斑が
完全に消えてくれたなら
ファンデーションをやめよう
ずっとそう思ってきました
年月とともに少しずつ
顔の紅斑は薄くなってきたけれど
最近は、紅斑が完全に消えるなんて
もうないだろうと諦めています
近所のスーパーへ買い物に行く時さえ
少しでも紅斑を隠そうと
ファンデーションを欠かしません
とくにカバー力に優れていると
知り合いが勧めてくれた
カバーマークの商品を
ずっと愛用しています
でも、そんなファンデを使っても
完全に紅斑を隠すことはできないし
能面のように厚塗りするのは
抵抗があってできません
矛盾した気持ちを抱えたまま
ノーファンデの夢を諦めていました
たとえ紅斑が消えても
今度はシミが目立ってきて
どうせ化粧はやめられないだろう・・・
そう思っていたから
先月の下旬に九州へ行ったとき
施設に入った父の面倒を見てくれている
従姉弟たちとたくさん話をしました
一緒に食事をしながら
私が顔の紅斑の悩みを話したら
従弟は私の顔をじっと見た後で
「ほとんど気にならないけどなあ」
と、言ってくれました
なぜだか根拠はないけれど
従弟が本心からそう言ってくれている
と、私は感じていました
紅斑やシミを完璧に隠すなんて
できないと分かっているのに
ファンデを使い続けるのはなぜだろう?
夏になると汗をかいて
すぐに化粧も崩れてしまうのにね
自分の欠点をさらけ出すと
人に嫌われたりバカにされる
と、思っている自分が現れてきました
自分の弱点をさらけ出す勇気がなくて
虚勢を張って生きてきた自分がなんだか
可哀想でもあり可愛くも思えてきました
人に嫌われたくなくて
バカにされたくなくて
一生懸命だったんだね・・・
先日の日曜日、
1年ぶりに箱根へ行こう
と思いました
そしてその日の朝
なぜかファンデーションを塗らずに
出かけようと思い立ちました
ふと芽生えた小さな勇気でした
昨年訪れてお気に入りになった
箱根湿生花園の湿原と
ポーラ美術館の森の散歩道を
マスクを外してゆっくりと
心ゆくまで歩いてきました
偶然に出会う人たちとすれ違いながら
風になったり
流れる川の水になったり
降り出した雨のなかに
溶け込んでいったり・・・
自然とひとつになることを
心から楽しんでいました
途中でランチに立ち寄ったお店でも
美術館のトイレで鏡をのぞき込んだときも
いつもより少し紅斑が目立って見える
ノーファンデーションの自分の顔を
卑下する気持ちは起きませんでした
たとえ起きて来ても、その気持ちに
囚われることはなかったでしょう
小さな勇気が
自分を大きく変えてくれた
のかもしれません
鏡に映るありのままの自分の顔に
「うん、善し!」って言えたから
7月3日はノーファンデ記念日
(箱根湿生花園のヤマユリ)