数日前のこと、

「今日はお母さんの命日ですね」

と妹からLINEが届きました

 

「おぉ~! すっかり忘れていた~」

と返信する情けない姉

 

母が亡くなって45年になりますが

(妹のLINEにそう書いてありました)

 

当時の私は大学受験を間近に控えながら

病院通いだの、お葬式の準備だの

とにかく必死だった記憶があるだけで

きちんと命日を覚えていませんでした

 

「たしか1月下旬だよねー」

くらいの記憶しかない姉に比べ

妹はしっかりと覚えてくれていたようです

 

妹に頭が下がると同時に

これまで姉妹の間で母の命日が

話題になることなんてなかったな~

と、不思議な気持ちになりました

 

すると翌日、

知り合いの方が写真を整理していたら

懐かしい写真が見つかったといって

 

私が生まれる前の世界から

赤ちゃんの兄を連れた父と母の

セピア色の写真が郵送されてきました

 

二人とも若い!

(当たり前ですが)

 

そんなことが重なったのは

何かのメッセージのように思えました

 

人の気持ちも考えずに

言いたい放題のことを言い放ち

無理難題を押し付けてくる母を

私はずっと嫌っていました

 

母は癌で亡くなる直前、

父が誰かと再婚するのがよほど嫌だったらしく

「あなたは家から通える大学に行って

お父さんが死ぬまであなたが面倒を見るのよ!」

と、私に向かって言い出しました

 

「私はお父さんの面倒を見るために

生まれてきたんじゃない!」

と、死を間近に控えた母と私は大喧嘩をしました

 

それ以来、「父の面倒を見なければならない」

という呪縛に私は長年苦しんできたのでした

 

そんな呪縛をかけた母を

私はずっと憎んできました

 

でも、その呪縛をかけたのは

どうやら母ではなく私自身だったようです

 

私が高校生の時に

初めて男の子と映画に行くことを

なぜか察知した母が選んでくれた

花柄のワンピース

 

あの想い出を通して母の愛に気づき

ずっと母を憎んできた私の気持ちがほどけて

「嫌い」から「好き」に変わっていったのは

去年の年末のことでした

(「なぐさめ」)

 

想い出には時空を超えた

魔法の力があるのかもしれません

 

想い出という魔法の力で

私が自分にかけた呪縛を解いて

母のことを好きになるまで

 

母は目に見えない世界で45年間

ずっと待っていたのかもしれません

 

妹から届いたLINEのメッセージ

そして

時空を旅してきたセピア色の写真

 

その二つは見えない世界から届いた

母から私へのメッセージのように思えました

 

「たまには私のことを思い出しなさいよ!」

(なぜかキレ気味のような気がするのですが…)

 

妹からの返信メールには

こう書いてありました

 

「変わらずずっとお母さんが

 見守ってくれているんですねラブラブ