大学の最終試験日 | 大好きな日々の覚え書き

大好きな日々の覚え書き

デンマークの暮らし、教育、天然酵母、麹、発酵の話、旅行の話、子どもたちを通して知ったバレエのことなどなど、ふと頭に浮かんだこと、思ったこと、感じたことをそのまま綴るブログです。

今私は花束を抱えて、家から少し離れたところにある大学病院へ向かっています。

 

最寄り駅のベンチで撮った写真。

病院?花束?また出産祝いですか?って思われますよね?

 

いえいえ、今回は違うんです。

 

今日は長女の大学最終試験の日で、合格する予定の長女へのお祝いに駆けつけているところなのです。

 

高校の卒業試験の最終口頭試験の日も、試験会場に家族が出向いてお祝いをする習慣がデンマークにはありますが、大学でも、同じです。

 

医学部の試験は大学病院内に試験会場があります。

 

なんて、知ったような顔で平然と書いていますが、実は、大学の最終試験に出向いていくのは、長男も、次男も卒業しているにも関わらず、これが初めてなんです。

 

では、なんで3番目の子なのにこれが初めてか?と言いますと……長男と次男は、何を遠慮したか?試験会場や日時をはっきり教えてくれなかったからです。

 

2人とも家を出て独立していたので、気付いた時には試験は終わってました!

 

それは、不合格の可能性のある最後の大切な試験に集中したかったからかもしれないし、本人たちもデンマークの習慣をよくわかっていなかったからかもしれません。また、仕事でいつも忙しい主人や、下の子たちの世話で忙しかった私にわざわざ来てもらうものではないと、本当に遠慮したのかもしれません。

 

とにかく、私に知らせるものでもないと判断したらしいです。

 

デンマークの大学の他の学部の伝統は知りませんが、医学部を卒業すると、「医師の誓い」を立てる儀式があります。そしてその儀式の後、1人の医師として正式に認められます。1815年から行われている医学部の伝統です。

 

次男が卒業した時にブログにも書いたのでもしかしたら覚えてくださっている方もいるかもしれません。

 

 

それは簡単に書くと医学部の卒業式のようなものなのですが、1人の学生につき家族などが3人招待されて行くことができます。歴史的な建物で行われるとても厳かな儀式です。その儀式の日にちは私たちが忘れないように、前々から念を押して知らせられていたので、それに行けばいいものだと、長男の時も、次男の時も、私は信じ込んでいました。

 

でも、同じ医学部を卒業した嫁から、最終試験日には家族が花束を持って駆けつけて嬉しかった……などなどの話などを聞いたりして、なんだか母としてお兄ちゃんたちに申し訳ない気持ちがずっとしていました。

 

だから「3度目の正直」、今回ばかりは後悔しまい!と、出かけることにした次第です。

 

仕事が忙しかったり、デンマークに不在だったりで、最後の最後まで、誰が来れるのか知りませんでした。

 

取り敢えず、スパークリングワインや海苔巻きなどの食べ物も用意しました。

 

……とここまで書いて、その後、次女からのメッセージが入り、結局、次女も会場に向かっていることがわかりました。そして、元々来るとわかっていた次男と次男の娘の孫のAちゃんも向かっているとわかり、途中で合流し、一緒に病院に向かいました。

 

4人で試験会場に到着すると、家族が待機出来る場所がしっかり準備されていて、既に試験が終わって乾杯している人たちなどでごった返していました。

 

親戚一同で集まっているのか?と思われるほど大人数の家族もありました。

 

皆さん、シャンパンなどをテーブルに並べていました。

 

次男曰く、次男の時も、そんな感じだったそうで、(誰もいなくてどんなに寂しかっただろう!)と思うと、長男、次男の時に行けなかったことを、改めて後悔してしまいました。

 

次男も秘密主義を通してしまったことをちょっと後悔したからこそ、妹の時に遠くからわざわざ小さな娘を連れて来てくれたのかもしれません。それに、優しい次男のことだから、長男の経験もあってその慣習がわかっていたけれど、誰も来なかった長男と同じように自分の時も誰も来ないようにワザと仕向けたのかも知れません……。

 

そして、会場には娘の彼氏も来ていて、5人で娘が試験を終えて出てくるのを待ちました。

 

娘の最終試験は「救急科」の口頭試験で、3つの別々の部屋に、救急車で搬送されてくる患者の例がそれぞれ用意されていて、この場合あなたはどうしますか?と言う答えを、15人の審査員の医師たちの前で即座に20分間で答えなければならない、と言うものでした。

 

どんなに家族が押しかけても、いや、家族が押しかけるからこそ、緊張でブラックアウトして不合格になってしまう……そう言うことはあるだろうし……。

 

試験会場と家族の待機室は4階と3階にあって、階は違っていてもガラスの壁で繋がっていて、学生が一つの部屋から次の部屋へと出たり入ったりするのが見えました。

 

私は緊張していたので気付かなかったのですが、自分が祝う予定の学生を見つけて、がんばれ〜っと歓声を上げる家族もいたそうで、そのデンマーク人の感覚、未だに慣れない私です。

 

実は、万が一不合格だったらどうしようか?と胃がキリキリ痛かったくらいです。

 

もっとも、そんな全てのプレッシャーに耐えられなかったら医師は務まらないのでしょうね……。

 

それに、最終試験まで辿り着いた学生が不合格と言うのはあり得ないことなのかも知れません。

 

娘は無事に合格して、大学を卒業できることになりました。

 

2週間後には、医師の誓いの儀式があります。

 

あの厳かながら、華やかな伝統儀式に参加できるのはこれが3度目で、最後かな?と思われるので、気を引き締めて出向いていこうと思います。