高校卒業に関する記事が続いています。
大きな祝い事なので、親の私も二日酔い状態なのかもしれません。
昨日、購読している「Berlingske」と言う新聞に、気になる記事を見つけたので、もう1つおまけに書くことにしました。
それは「王立劇場バレエ学校は246年の歴史で初めて高校卒業生を出した」と言う記事でした。
以前は、中学卒業後、アスピラント/研修生としてバレエに専念していました。バレエ団員と一緒にクラスを受け、公演にも出演しました。そして毎年ある研修生試験で生き残った子が、2年から3年後に入団試験を受ける事が出来ました。
2014年に学校の制度が変わり、午前中は高校へ通い、午後、研修生としてレッスンを週20時間受ける事になりました。レッスンは土曜日以外は団員とは別のクラスです。研修生独自のパフォーマンスが行われ、バレエ団の公演には3年生の時にのみ出演するようになりました。そして毎年の試験に合格し、3年生まで進む事が出来た子は、卒業時入団試験を受けると言う事になりました。
そして2017年の今年、バレエ学校の高校第1期生が卒業したのです。
正確に書くと、高校と言ってもそれは普通高校ではなくHFと言って「高等準備学校」とでも訳す、高等教育機関入学資格を取得する事の出来る学校です。何らかの理由で高校へ通えなかった成人が高校卒業資格を得るために通う学校でもあります。
普通高校との違いは、最高レベルの単位を修得できる科目が少ない、と言う事です。
だから進学を希望する高等教育機関によっては、卒業後追加の単位を取らないと入学資格を得られない場合があります。
そしてもう1つ違うのは、卒業生の帽子のバンドの色。こちらは青です。
これは、新聞からお借りしたバレエ学校の生徒達の写真です。「卒業生ツアー」に出かける前に取られた写真みたいです。トラックが後ろに写っています。
皆んな嬉しそうですね。青いバンドが似合っていて美しい!本当におめでとうございます。
でも同時に私の頭に浮かぶのは、
「帽子はたった1つ、それは赤なんだ。もし帽子が青だったら、それを取るのはあまりに簡単すぎなんだ。帽子はたった1つ、それは赤なんだ」
普通高校卒業生が、「卒業生ツアー」の時に、酔っ払った勢いで、他の色の帽子の卒業生をからかって歌う歌の歌詞です。
バレエ学校の生徒達、毎日ハードなバレエのレッスンをしながら高校へ通って、決して簡単に取った青い帽子ではなかったと思います。でも、普通高校に比べて、レベルが低い事は否定できません。
そして、私にはもう1つ気になる事があります。
それは、今年バレエ学校を卒業した6人のうち、通常通りに1年間の契約をデンマーク王立バレエ団と結べたのは、そのうちのたった1人だったと言う事です。
2人は半期の契約を取れたようですが、何だか不安定です。そして残りの3人は契約を結べませんでした。
その子達は、別のカンパニーと契約を結ぶ事が出来たのかなぁ〜?もしバレエを断念するならHFでとった単位を利用して、どうやって希望の高等教育機関に進むのかなぁ〜?とか、凄く考えてしまいます。
中学校を卒業した時、デンマーク王立バレエ団入団を目標に、自分のハートに従って彼女達が選んで進んだこの道、苦い結果に終わってしまったのが、とても残念です。
16、17、18歳。青春の3年間をバレエに捧げた彼女達、人間として成長した、実り豊かな、後悔のない3年間だった、とだけは何としても信じたい気持ちです。