コペンハーゲンで王立劇場の旧舞台がある Kongens Nytorv(コンゲンス・ニュートー)広場は私がいいなあ!と思う場所の1つです。
今はメトロの工事中で、昨日も書いた通りごった返しています。
でも2019年には広場に元のKrinsen(クリンセン)が復活する予定です。
この広場が出来たのは1688年の事で、Krinsenクリンセンとは、古いデンマーク語で「丸い輪」と言う意味です。円形の広場の周りに菩提樹が輪のように植えられていたことから名前がついたそうです。
今日、新聞で「2019年に広場に植樹する80本の菩提樹が順調に育っている」と言う記事を読みました。
お借りした写真です。木の幼稚園ですくすく育つ菩提樹達。(「Berlingske」20/05/17)
2003年にハンブルグに植えられて、2014年にコペンハーゲン北郊外に移され、美しい形を保つよう手を加えられながら、大切に育てられているそうです。
菩提樹と言うと、その下でお釈迦様が悟りを開いた事を頭に浮かべ、とても東洋的に感じると思います。
でも菩提樹と言っても色々と種類があるそうで、ヨーロッパでも街路樹としてとても良く見かけます。広場に植えられる菩提樹は「Kejserlinde」(皇帝のリンデ)と言う種類だそうです。
リンデと言えば、フランツ・シューベルトの「リンデンバウム」を思い浮かべる人も日本では多いでしょう。
『冬の旅』(Winterreise)から「菩提樹」(Der Lindenbaum)
ドイツ語って歌われると本当になんて美しいのでしょう!惚れ惚れします。ちなみに歌詞はヴィルヘルム・ミュラーです。
下に日本語で歌われているものも貼り付けます。菩提樹が描かれた絵画付きで良いですよ!日本語の詞は明治時代の訳詞家近藤朔風によるものです。
菩提樹はデンマーク語とドイツ語ではLinde(リンデ)で同じ言葉ですが、フランス語ではTilleul(ティヨル)と全く違います。
フランスでもお馴染みの樹木で、乾燥した菩提樹の花(Tilleulティヨル茶)はゆったりと眠りをさそうハーブティーとしても親しまれています。
これを読んで、「紅茶に浸してやわらかくなった一切れのマドレーヌを口に持っていったその瞬間に、不思議な幸福感に浸される」フランスの作家、マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』に出てくる、有名な一節を思い出す方も多いと思います。
その香りは、幼年時代に叔母さんの家で出された「お茶かティヨル茶」に浸されたマドレーヌの思い出につながり、幼年時代の記憶が次々に蘇ります。
プルーストが書いている菩提樹の花のお茶って、一体どんな風味なのだろう?と、その味を求めて、無性に飲みたくなるのは私だけではないのではないかなぁ〜……?
Kongens Nytorv広場の菩提樹の記事を読んで頭に浮かんだ事を、なんとなく書いてみました。