母乳育児が節税になるとはどういうことでしょうか
まず、母乳で育てられている赤ちゃんは、免疫をたくさんもらっています
そのため、ばい菌から守られたり、病気になった時も症状は軽くすむことが多い
ということは…
母乳で育てられる赤ちゃんが増えると、病気で辛い思いをする赤ちゃんや、看病でしんどい思いをするママの数が減ります
また、外来を受診したり、入院をする赤ちゃんの数が減ります
お薬の処方も少なくてよくなります
結果的に、医療費を抑えられることになり、節税につながります
ただ、病院経営の視点から考えると・・・
赤ちゃんの外来受診や入院が少ないということは、病院の収入が減ってしまい、経営が苦しくなってしまいます
経営が苦しくなると、人員の配置を考えなければなりません
細やかなケアができるように、看護師さんを多く配置していたけれど、患者さんの入院が少ない日ばかりだと・・・
看護師さんを多く配置しておくことができなくなってしまいます
そうすると、時々やってくる、入院患者さんが多い時期には、看護師さんの数が足りない
患者さんは細やかなケアが受けられない、ということに
アメリカでは、母乳育児によって、年間の入院医療費節減効果が1兆3000億円になると、算出しています
母乳育児は、赤ちゃんの時期だけではなく、将来の様々な病気を予防してくれるという、研究の結果が出ています
そのため、第三者が質の良い病院かを評価し、認定を出す項目の中に「母乳」が入っています
母乳育児支援に力を入れていると、ここは質の良い病院である
という認定を受けることができ、その病院は国から収入を得られるという、システムになっています
また、ママの職場復帰の早いアメリカでは、働きながら母乳育児ができるように、搾乳機のレンタルは保険適応があるようです
子どもが元気で、ママが仕事を休まないということは、会社への利益にもなるという考え
国、社会、病院が一体となって「母乳」をすすめているのがアメリカです
日本でも、全ての病院で母乳育児支援を頑張ると、年間1000億円の入院医療費節減効果になるそうです
しかし・・・
日本では国の政策として母乳育児をすすめてはいるけれど、アメリカのように、母乳育児支援を頑張る病院への、経済支援システムはありません
第三者が病院の質を評価する項目の中に「母乳」は含まれていないのです
病院は母乳育児支援を頑張っても、収入につながることはありません
収入どころか、小児科への入院患者が減ることで、損失になってしまっている
今の日本のシステムでは・・・
感染症や病気で、赤ちゃんやママがしんどい思いをしてほしくない
元気にすくすく育ってほしい
ということを願い、母乳育児支援を頑張っている先生、看護師、助産師は、病院の経営を苦しめる「困った人たち」になってしまっています
一方で、
ミルク業者さんは、自社のミルクを使ってくれる、ミルクのお土産を渡す許可をくれる、「調乳指導」と言って、ママたちにミルクの作り方を指導する場を与えてくれる病院に、お金を支払っています
病院経営としては、ミルク業者さんを入れると、収入となるので嬉しい
母乳育児支援を頑張ると、病院の収入は減ってしまう
ミルク業者さんが入ると病院の収入は増える
なんだか、色々なことが矛盾してしまっている状況です
こんな中で、母乳育児を頑張ってと言われても、困るのはママと赤ちゃんですよね
妊娠中のほとんどの女性が、母乳育児を望まれているけれど、実際に母乳育児を始めてみると、難しいと感じたり、不安になったり、辛くなったりすることが多い
国、社会、病院が協力して、母乳育児支援に力を注ぐこと
病院でも、地域でも、ママと赤ちゃんが困った時には、どこでも母乳育児支援を受けられるような、システム作りをすることが必要だと思います
そしてもちろん、ミルクで育てると決めたママの意見が尊重されて、きちんとサポートが受けられるようにすることも、とても大切です
母乳育児によって節税された税金を、また違った形で、すべてのママと赤ちゃんのお役に立てるような形で、使うことができたら
そうすればもっともっと、子育てがしやすい環境になるのではないかと思います
このようなことを、しっかり考えてくれる政治家の方を、選ぶ必要があるなぁと感じています
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