久しぶりの映画「ラストマイル」を観たが、宅配便に仕込まれた「爆弾」が次々と爆発するという衝撃的な場面から映画は始まる。巨大な倉庫から直接個人や法人に配送する事業モデルのインターネット販売会社がその舞台で、舞台は米国法人の日本法人の子会社である。

 

最先端(末端?)の宅配業者が一日何件の配送をこなすかが収入に直結し、そのレジェンドとなっているかの人の話題が短い昼食の間に差し込まれ、仕事の厳しさにさり気なく触れる。誰が何のために爆発物を宅配便に忍び込ませ、これからまたどこまで爆発するのかという恐怖とそれを阻止しようとする警察が会社に乗り込んでくる。

 

捜査のためとはいえすべての荷物を止めることなど、膨大な損失につながるという販売モデルから、いかに荷物を止めずに捜査もするかが最初の会社と警察の駆け引きとなる。そして下請けを使って倉庫から荷物を引き取り、零細な宅配業者の下請けを使う物流会社とネット販売会社の駆け引きが始まる。

 

大量の物流を一手に任せられる物流会社はネット販売会社が巨大な大口顧客だが、他面量によって単価は抑えられ、低価格で物流業務を賄っている。値上げを言おうものなら「他の業者に当たる」と脅しをかけられ、そもそもそのようなことを言い出すことすら出来ない。

 

そこに主人公(満島ひかり)の前任者で、5年前巨大倉庫の上層階から荷物が流れるラインに飛び降り以後植物人間になった責任者(中村倫也)のメモがみつかる。そのメモはロッカーの扉の裏に書かれているが、それが今度の爆発事件とどうつながるかが最初の山になる。

 

そして犯人が特定された後、最後まで回収したと思った爆発物が最後の一つがあることで、その爆発を止めることが最後の事件としての山になる。しかしこの映画「あす楽」などともてはやす即時配達する販売モデルで多くの人が利用するネット販売の裏側を見せ、そこに従事する人のとてつもないプレッシャーを感じさせる。

 

そして本質を示されないまま主人公がなぜ日本法人に転属され、米国の会社の上司の企みを知ってどうするかの主人公の決断がドラマである。これってそれと思えるモデルとなった販売外会社がネット広告などを見ればすぐ察することができるが、日常何気なく触れ合うものにも多くのドラマが潜むことを知らせてくれる。