以前紹介した「妙佛」(みゃおほう)と石平氏の「中国週刊ニュース解説」というサイトで、上記の事件を同じ時期に扱っていたので、双方を興味深く見てみた。「妙佛」ではこの事件が偶発的に起きたもので、特に日本人を襲ったものではないというふうに中国当局が持っていこうとしていると言っている。

 

日本のニュースの伝え方も、スクールバスの襲撃と言ったことは一応伝えているものの、犯人を阻止しようとして刺された中国人の惨禍を中心にしている。駐中日本大使はこの犯人を阻止した中国人を称え、日本人を襲ったことが防止されなかったことへの非難は聞こえてこない。

 

中国では江沢民政権のときから意図的に反日教育を奨めており、中国人の日本人への感情は相当悪く、日本人を害することが英雄視されたりする。しかし対外的に中国が危険な国という評価は避けたいという当局は、この事件を偶発的なものとして、矮小化しようとしているというのである。

 

しかし「妙物」は日本人はそのような反日が当たり前の中国の国民性を認識して振る舞うことが必要だと、対中国への接し方に警鐘を鳴らしている。一方石平氏のサイトでは、この事件を報道した中国の報道官が日本人への襲撃に対し、一片の謝罪もないまま中国が世界でも安全な国と強弁したことを強く非難している。

 

石平氏は中国の公式に発表した統計数字を用い、老衰や病などの自然死に比べて非正常死が極めて高く、23年度1110万人の死亡者中350万人が非正常死だという。350万人の内訳では60万人が過労死、38.5万人が大気汚染、自殺が28.7万人、医療事故が20万人そして労災事故が13万人と続き、また内装汚染死亡者も13万人である。

 

大気汚染や住宅の内装材によって死亡したなどというのは、日本には統計数字さえないもので中国では死亡しており、これらは人口比で見ても突出している。つまり報道官が安全な国と平然といいてのける実態は、ひとえに外国投資をして欲しいというもっぱら政治的なプロパガンダに過ぎないというのである。

 

「妙佛」は日本人を襲撃する中国人の対日感情に重きを置き、石平氏は中国に潜む本質的な危険度に注目すべきと指摘するのである。そして両氏に共通するのは、中国は日本人は嫌いだが、中国への投資や技術移転はしてほしいからそれを損なう事件報道は極力矮小化しようとすると言ったところであろうか、ご用心。

 

https://www.youtube.com/watch?v=Ajhe4kiIbkY&t=617s