5月3日の憲法記念日に、憲法改正を進めたいと言って論陣を張る櫻井よしこ氏が、岸田総理を除いて憲法改正を進めることは出来ないと言ったとされ炎上したと言う。岸田総理は再三自分の任期中に憲法改正すると言っており意欲を示しているが、宏池会はもともと改正に消極的な姿勢であった。

 

また積極的な憲法審査会の開催もなく、岸田総理の改正の意欲はもっぱら口先だけではないかとの評判であった。憲法審査会は野党特に立憲民主党が辻本議員を前面に立てて開催を妨げ、与党公明党はもとより自民党も熱心ではなく、活発な議論と進行は難しい状況にある。

 

櫻井氏は現在の与党自民党の状況から見ると、今後選挙を経て与党が安定多数を確保する見込みは低く、今のうちに改正発議に漕ぎ着けたいという思いがあるのだろう。改正発議は内閣からも提案できると言われており、岸田総理が従来の発言通りならば自らの主導で発議を国会に求めさせたいと言うことだろう。

 

しかし櫻井氏の発言が炎上したのは、岸田総理の今までの施政そのものは非難されるべきことはなかったのではないかと言ったことにある。これに対して有本氏などが岸田総理の主導で強引に成立させたLGBT理解増進法、再エネ推進・移民政策など、岸田総理のこれまでは容認できないと主張したのである。

 

櫻井氏の発言の真意は国家基本問題研究所などで共に活動する、保守論客で名を馳せる島根県立大島田洋一名誉教授が言うには、持ち上げて行動を促す狙いだと言う。言葉は悪いが俗に「豚もおだてりゃ木に登る」と言うが、岸田総理は改正すると公言したのだからあなたならできる人ではないかと持ち上げたのだと言う。

 

櫻井氏の普段の言動を見れば、岸田総理には厳しめの評価をしていることは窺われるから、島田名誉教授の言うことは的を射ているのだと思う。保守主義を唱道する人たちにはややナーバスなところはあって、自分の思っていることと違う普段の保守陣営の言葉には神経質なのである。

 

保守主義者には言葉にこだわる人は多く意外とまとまりは弱く、一方野党の左派連中は自らの主義主張とは関係なく、平気で野合とも言うべき選挙協力をする。保守勢力も真に譲れない一部は別としても、大局で合意できればともに一つの政治勢力に糾合することも考えて良いのではとも考えさせられる。