米国のバイデン大統領は、日本が経済面で停滞しているのは移民を受け入れないからで、その理由を日本人は外国人嫌いだからだと言った。米国は後に釈明して「米国は移民国家」であると言うことを言いたかっただけと言い訳したが、この件で波紋を呼んでいる。

 

日本人が外国人嫌いだと言う点に反応したのは、政府サイドで日本では入管法の改正など外国人の受け入れを熱心に進めており、外国人嫌いなどではないと言う。一方で移民を受け入れないことが経済発展しないと言う点に反応したのが、高橋洋一教授でこれを統計的手法で受け入れている国が景気停滞していると反論した。

 

まず日本が外国人嫌いか否かと言えば、むしろ過剰なほど外国人に対し寛容で、外国人を差別するようなことはしてこなかったし人種的偏見もない。ただこの種の反論を言う政府の姿勢には、より外国人受け入れに寛容な施策を今後も打ち出すための手段に使おうとしているのではないかとの懸念がある。

 

既に国会では特定技能二号という制度で、一定の熟練した技能を持つ外国人労働者を受け入れるとしており、今度その範囲を2種類から大幅に増やすことを始めた。政府はこれは移民政策ではないと言いながら、従来の受け入れの職種を大幅に増やしその上家族の帯同や期間を無限に延長できるようにしている。

 

これは人手不足によって労働者人口が減少していることが困ると言う名目で、財界はその範囲を拡大することを強く求めている。政府はこの要求に応じ今般その範囲の拡大を目論んだわけであるが、これには外国人労働者を受け入れるための細かい取り扱いを十分考え抜かれたものとは言えない。

 

家族の帯同を認めることは、現実に労働者としての役割を終えても、将来の生活を支える覚悟も必要だが、福祉政策との連携が取れているとは言えない。何より移民政策の推進が本当に我が国の利益に合致しているかどうかの検討が十分に行われた形跡はなく、高橋教授によれば移民受け入れ国は経済成長には決して与してはいない。

 

移民政策に寛容なのは、労働組合をバックにしている立憲民主党なども同調しているが、財界は安い労働力を得て、当面の業績向上に貢献すると考えている。労働者の収入を増やし労働力を確保する方向に向かわないのは、日本の経済発展を真から望んでいないからで、与野党とも真の国民政党とは言えないことが露わになっている。