3月になって漸く春めいてきたが、この冬米、欧、中国で電気自動車(EV)の惨状が伝えられることが増えてきたように見える。特に欧州は事さらに寒かったようで、EVはバッテリーが低温では早く消耗し、また充電も極寒状態だと機能低下を来して満足にできないそうである。

 

中国ではいわゆるガス欠ならぬ「電欠」で大量の放置車が出て、車の墓場のようにすらなっているとの情報も伝えられている。欧州各国は意識高い人たちの環境重視の風潮と、これを奇貨として内燃機関やハイブリット技術で太刀打ち出来ない日本車を駆逐しようと、EV普及を目指した不純な動機もある。

 

欧州各国はこの急速な「EVシフト」によって、自国産自動車の優位性を確保しようとしたが、なんのことはなくその市場を中国に奪われる始末となった。それを国家として補助金まで出して援助したものだから、まさに泣きっ面に蜂の様相となっているが、これは他人事ではなく我が国でもその愚ははびこっている。

 

日本人はそれでも賢く中国のEV車に補助金がついて売られてもおいそれと普及はしなかったが、国や地方自治体はあいも変わらず補助金でEV普及を推進している。かくいう私も自家には太陽光発電(国産)をしているし、オール電化なので夜間電力は安いので、EV車を真剣に考えた時期はあった。

 

ただスタンドの普及や充電時間の長さ、それとバッテリーの耐久性やEV車の中古車市場などを考えるとまだ時期尚早な気がしてハイブリッド車に載っている。我が国の誇る自動車メーカートヨタはEVに遅れを取っていると言われるが、その特許件数はテスラについで二位のシェアを持っており、新たな電池技術も開発している。

 

そして同じ内燃機関を使う水素自動車も開発しており、全方位に目配りをした戦略を展開しているのはさすが世界のリーディングカンパニーだと思う。それをEVの遅れをあたかも時代遅れと評するような評論家もいたが、その視野の狭さと先を見通せない知見の貧弱さに目を覆いたくなる。

 

国も多くの裾野産業を持ち我が国の雇用を生み出し、納税も多額に行ってきた我が国の自動車産業をまずはきちんと見、そしてその意見を正しく受け止めるべきである。地球温暖化そのものへの疑いもあるが、温暖化が正しいとしても多方面からその解決を行おうとする姿勢を評価せずに国内産業の振興はありえない。