正月2日に起こった海上保安機と379人の乗客と乗員を乗せたJAL機の衝突事故は前日の地震についで起こった重大事故として、大きな話題になった。地震の救援に出かけるための海上保安機が事故に会い、搭乗員が機長を除き殉職されたことは痛ましい限りだが、一方で379人もの命を救った脱出劇は多く賞賛の的となった。

 

外国でのマスコミもこのような大事故で、炎が間近に迫る機内から一人の犠牲者も出さずすべてが脱出できたことは奇跡だと報じていた。このことは乗務員の日頃の真剣な訓練の賜であるが、乗客の冷静な対応なくしてはなし得ないし、その場にいたANAの地上職も救援した点でも特筆に値することである。

 

まず元乗務員が述べるように、定期的に行われる避難訓練でどのようなことを留意して行うかを、徹底的に叩き込まれそのことがしっかり身についていることが知れる。単に日頃のルーチンとしておざなりに訓練していたのではなく、それがいざというときに発揮できるレベルであったことが乗務員の真面目さを示している。

 

最後は機長がすべて避難できたかを確かめ、それを確認してから自らも退避したことが明らかになっており、どこぞの船長のように乗客を放って逃げたのとは大違いである。一方でよく言われることに、乗客もよく乗務員の指示に従い、整然と避難していたことも避難が成功したことの理由になっている。

 

これも「自分が、自分が」といった自我を主張するのではなく、集団の中の自分を客観的に捉えられている人たちでなければ無理で、これができる国民性を誇りたい。ただこうした中でいかにもマイナス面だけを取り上げて、評論する人もいるが、それには首を傾げるものもある。

 

例えばペットを客室にまで持ち込ませるべきという主張もあり、著名人も賛同しているが、それはペットを荷物扱いで死なせたことが痛恨事だったかもしれない。しかしもしそうしていたら、乗客はペットの入ったケージをしゃにむに持ち出そうとすることになって、混乱を来たさないかが心配になる。

 

だからもし持ち込むこととなった場合でも、その扱いはよほど慎重に考えられなければならず、一時の感傷で直ちにそうすべきとは思わない。逆にペットはこういう状態で預けられることを前提に預けたはずで、そうまでして同行するべきだったかをもう一度考え直しても良いのではないか。