山崎氏が唐突に訪朝した。政府筋は一様に批判的でわが国の対朝政策に誤解を与え、相手に付け入る隙を与えるものだとの見解である。
山崎氏はもともと国交回復先にあるべき派であり、その意味では拉致事件を声高に言い募って対話を途切れさせるべきではないと言う論者である。2度目の小泉訪朝の頃山崎氏を囲むごくインナーの会合でご本人の口から直接聴いた。それから時節は移っているので、今も同じ考えか否かは分からない。山崎氏はまた核の問題と拉致とはそもそも比較の問題ではないがどちらを先に解決すべきかと言えば核であるとこれも明確に言っていた。このような論は世間には容易に受け入れらないと思う。氏もごくインナーの会合だから素直に考えを述べたものかもしれないが、世間に公表すれば袋叩きにあうだろう。
私にも拉致は核問題と比べればなお優先度は落ちるとは言い切る勇気はない。無難な言い方はマスコミの多くが言うように「拉致も核も」なのである。しかしもしいずれかだけなら言うことを聞くという究極の選択を迫られたら、為政者としてどう考えるべきだろう。その場合は矢張り核なのだと自分は思う。