熱海の土石流惨事に思う | 風に吹かれて マイ・ヴォイス

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なりゆきまかせに出会った話題とイメージで、「世の中コンナモンダ」の生態系をのんびり探検しています。これはそのときどきの、ささやかな標本箱。

 神奈川県はこのところの雨に、大いに警戒がうながされた。 ぼくの住んでいる市でも、3日に避難指示が早朝5:30に出され、スマホの大きな音に未明に起こされた。その3日に熱海市で甚大な土石流災害が起こってしまった。

 今日(6日)のテレビニュースなどでも、熱海・伊豆山地区の救出活動が画像や解説などで盛んに報じられている。 生々しい画像には胸が揺さぶられる。 

 被害に遭われた方、ご家族の方、近隣・親戚・知人の方など、皆さんに心からのお見舞いを申し上げます。  同時に、救出活動をされている自衛隊、消防、警察、その他の団体、ご近所の皆様には連日大変ご苦労様です、と感謝申し上げます。

 

 むかしのことになるが、ぼくも学生の時、富士山麓西側の湖と山との間で土砂災害が起こって、友人のご家族の救出にと、学友と一緒に非力ながら駆けつけ、スコップを持って重い泥土を、体力がつづく限り掘った憶えがある。 このときの泥土は、身体にも心にも冷たく重たかった。 今度の伊豆の泥土もきっと同じようだろうと ぼくなりに思った。

 そしてここ10年の記憶をたどってみても、痛ましい自然関連の災害が、ぼくのちっぽけな脳ミソの記憶容量では何ともならないほど起こっている。 つい最近のカナダなどの50℃に近いおそるべき高温禍など、わが国だけでなく、世界中で自然の様子が変わってきている。

 

 この梅雨の季節の雨も、昨年の熊本の災害が記憶に新しい。 気象関係の図を見ると、たしかに、海面上の水蒸気の量の動きや、大雨や長雨の原因となる梅雨前線の活動動線が、列島の西から東へと広く移っているように感じられる。 今まで西側で多発していた線状降水帯などによる雨が、今後は関東など東側でも確実アタリマエに起こるということだろう。 ほんとうに大変なことである。

 

 今後のこともあるので、たかが茶の間からのシロウト意見で失礼であることは重々承知で、この際 2つだけ申し上げたいと思う。

 

 【一つ】 は、今回のこと、〈人の営みも含む、都市や町の自然〉 と〈山の自然〉 がうまく均衡して〈その地域の自然〉 ができていたところに、―― 原因の軽重はまだはっきりしていない中ではあるが――盛り土造成という〈人為の自然〉 が加わって、そもそも全体の平衡が危うくなっていた矢先の出来事のようだ。

 盛り土造成の土質あるいは地盤工学的な云々などは別にして・・・先ずはそういう背景だと思う。 

 国交省が全国の盛り土工事物件の調査・点検を指示するというが、形式的でなく、実際に使える結果を出してもらうよう本気でお願いしたい。

 

 自然全体のバランスは、学術分野横断的な考察対象であることや、そこに政治や地元行政が実際・現実策をもって地域住人に身近に皮膚感覚でかかわる、という図式が一丁目一番地。  

 それらを是非うまく統御し機能させてもらいたいとお願いしたい。 簡単であるはずもないが、やればきっとできると思う。 今やはり渦中にある、新型コロナ禍へのいろいろな対応から学べる実際的な教訓も、

山ほどあると思う。

 

 【もう一つ】 は、今回は「雨」 だが、同じような盛り土の脆弱さ、地盤のすべり、さらにはいろんなものの崩壊は、「地震」 でも同じように、いや多分もっと大規模に起こるということ。 大変なことだと思う。

 

 以上、気になったことをとり急ぎ書かせてもらったが、「雨」 にしろ「地震」 にしろ、観測、予防措置、警報発令、避難行動、その他もろもろの最適な整備やその周知は、担当の方々はさぞ大変だろうとお察しするが、コトは急を要すると思う。

 

 新たなかたちの災害にも、先ずは基本を大事にしつつ、できるだけその地域に合った実行しやすい工夫を加える、という原則通りのことがやはりいちばん望まれているように思う。        (2021.7.6)