前回の続きで後編です。
ここでは、マルセイユタロットを使った年占い、年単位のリーディングなどについて書きたいと思います。
まず、時期を基準にしたタロット占いとかリーディングでは、その時期を特定させていくカードを使うか、意識として時期を定めるかによる違いがあります。
例えば、2024年という年を、実際にタロットカードで使って表してから、改めて(別の)カードを引くのか、ただ意識で2024年を思いながらタロットカードを引くのかという相違です。
私のマルセイユタロット講座では、両方について教えています。
ただ、時期というものは数で示されますし、現実の時間(時期)は数として具体的ですから、どちらかと言えば、意識よりカードで見たい時期を象徴化させたほうがいいでしょう。
それも小アルカナで象徴させるのが望ましいです。なぜなら、小アルカナこそ、現実や具体の世界を表しているからです。(もっとも、そうとは限らない見方もできますが)
とはいえ、大アルカナで判断していく(その時期の内容を見る)というのは、小アルカナを使ったとしても、同じにはなってくるでしょう。大アルカナは言わば、各世界や次元間を自由に行き来できる万能カードでもあります。
その万能さゆえに、意識で時期を設定しても、きちんとその内容を出すことは可能なので、小アルカナで時期を特定させたほうがいいとは言いましたが、あえて、大アルカナだけでやるのもありだとは思います。そのほうが大まかな傾向がわかりやすい(抽象的だからこそ、方向性は把握できるという理由)場合もあるからです。
展開方法は、自分の好きなものでよいですが、一年というスパンがあるので、カードは多いほうが情報量もあってよく、少なくとも三枚くらい(以上)は引くのが望ましいです。また、一年を四半期(季節など)に分けるのも典型的な方法なので、四枚というのも見やすいかもしれません。
もっと詳細に、1月から12月分を一枚ずつ引いていくというのも可能です。
ただ、気を付けたいのは、大アルカナを使う場合、大アルカナは22枚しかありませんので、月毎にやってしまうと、二枚以上は出せないことになります。ですから、ひと月につき一枚ということになるのです。もちろん、小アルカナを併用する場合は、その限りではありません。
そして小アルカナは時期を特定させるだけではなく、4組に分かれていますから、例えば、「占い」として行う時は、人が知りたいとよく思う「なになに運」というのを当てはめることができます。
具体的には、金運とか仕事運みたいなものです。4組の意味がわかっていれば、運を当てはめるのは簡単です。(四つがそれぞれ何運になるのか、皆さんで考えてみてください、講座ではお話していますが)
この4組は、占いだけではなく、一年の目標設定とかその実現にも使えます。4組別に分野を決め、それぞれついて大アルカナを引いて行けば、どうすればよいかというのが読めてくるでしょう。
一年は長いと思う人もいれば、短いと感じる人もいます。ただやはり、タロットリーディングのスパンとしては長く(通常3カ月くらいのものとされています)、そのため、あえて一年をいくつかに区切ってタロットを展開して見る方法もあります。
半年ごと、4カ月ごと、3カ月ごとといった感じです。それぞれに大アルカナを展開させてみるとよいでしょう。
少し戻りますが、12ケ月分、それぞれを一枚引きしていく場合、カードの置き方にも工夫してみると面白いです。
ただ横に並べていくだけではなく、円形に並べると、循環する意識が宿り、対角線上や図形的な関連で、カード同士を見ることができ、そうなると、ある月同士が響き合っているようなことにも気づきます。
それは、原因と結果的な見方もあれば、似たような月になるとか、陰陽的な相補的関係として推し量ることもあるかもしれません。
ところで、数秘的な技術としては、自分の誕生日と特定の年を合わせて計算し、その年の自分のテーマを見るという方法もあります。いわゆるイヤーカードというようなものです。ただこれは、タロットが主というより、あくまで数秘がメインのサブ的なものと言えそうです。
タロットで年を見るには、本当に色々な技法があるのですが、最後に、とてもシンプルな方法を紹介しておきます。
まず、大アルカナの「愚者」を、その年を生きる自分自身と見立て、その年の(分野別でもよい)テーマの完成を「世界」のカードとして表すと考え、「愚者」のカードを表(絵のあるほう)にして、向かって左端に置き、同様に「世界」のカードを右端に配置します。
こうすると、マルセイユタロットならば、「愚者」が「世界」のほうへ向かっていくように見えるはずです。
次に、その年で、自分がやりたいこととか、成し遂げたいこと、あるいは何かの課題でもよいので、それを意識して心の中で定めます。
そして残りの大アルカナをシャッフルして一枚を引き、それを「愚者」と「世界」の間に置きます。ここに引く(置く)のは、一枚だけでもいいですし、三枚でも四枚でも、何枚でもOKです。ただし、一枚ずつ引くことです。何枚引くかは、自分の思っていることが「世界」に至ったと感じたところでストップして、自動的に決まります。(※カードは、すべて正立に置きます)
【イメージ図】
CBD Tarot de Marseille by Dr. Yoav Ben-Dov, www.cbdtarot.com
そうやって全体を眺めて、「愚者」が、どのようなカード(経緯)をたどって、世界に行き着くかを観察し、その過程から浮かんで来るのをメモします。何度も見ていくと、やがて「世界」に至った時のイメージとか感覚が現れて来るようになります。それを覚えておくことです。
うまく行く(実際に実現できる)かどうかは保証できませんが、タロットの絵とイメージを使った、目標達成の方法になります。
まあ、うまく行くかは、タロットとの相性とか、信頼性にもよりますが、ゲームだと思って試してみるのも面白いかと思います。
さて、今年はこれで最後の記事となります。皆さま、どうぞ、よいお年をお迎えください。