ユタカに甘えて、そのくせ優希とも顔も見たことない“みどりちゃん”とも張り合う気なんかなくて
一番ズルイのはわたしだな
さよならみどりちゃん・2005年・日本/監督・古厩智之
原作は南Q太の、伝説とまで称される短編漫画
元マラソン選手のQちゃんとは
全く関係なし(たぶん)
地方出身のしがないお茶汲みOLゆうこ
友達なんかいなくても、優しい恋人がひとりいればいい、そんなふうに考えていた彼女は、片思いの相手ユタカとついに結ばれる
が、ユタカと初めてセックスをした日、彼には"みどりちゃん"という彼女がいることを告げられるのでした
いいかげんなユタカのまわりには女の影がチラチラ。電話番号さえ知らず、人に紹介するときも決して恋人とは認めてはくれない
それでもユタカから離れられないゆうこ。彼に嫌われまいと、何も言わずにユタカとの曖昧な関係を続けるのでした・・・
きっと、そんなゆうこの姿に、懐かしいなぁと感じる人もいるんじゃないかなと思う
過去にゆうこと似たような恋愛経験をし、傍から観るとキツいけれど、しかしその気持ちは痛いほど分かる人もいるのではないかな
はっきりさせたいけれど、はっきりさせたら終わるのが怖くて、曖昧でズルズルな恋。重いと思われたくないから好きなのに相手に軽さを合わせてるような、2番目でもいいから好きという気持ち。。
「ユタカの肌には磁石がついていて、だからわたしは手を振りほどくことができない」
ゆうこはユタカのどこが好きなんだろう
きっと、ゆうこ自身にも分からないのだろう
軽薄なユタカの気まぐれに翻弄され、ボロボロになり
それでも離れられない
とても良かったのは、ユタカ役の西島秀俊さん
自己中心的で破天荒な性格ながら、男も女も引きつけるカリスマ性を持つユタカの配役には、爽やかな西島さんはぴったりでした
でも黒髪verの岡田将生くんでもアリかなとは思う
どれだけ苦しい関係であったとしても「その苦しさの中に甘んじて身を投じ続ける」という形でしか表現できない愛
特に報われることのない一方的な片想いでは、傷つけられて苦しむことだけが、その人との自分との繋がりを確認する唯一の手段という場合もあるんじゃないかなぁと思う
ある日“みどりちゃん”とユタカが一緒にタクシーに乗り込むのを見た時、ゆうこの切ない“想い”が溢れ出す
彼女の中で何かが弾け、そしてゆうこは初めてユタカに自分の想いをぶちまけるのでした。。
結局、ユタカとはどんな人間だったのだろう
彼は本当に、周囲が思うほど軽薄だったのだろうか
ラスト、「私のこと、好きになってよ」と叫ぶゆうこの渾身の想いに、ユタカは振り返らない
またいつものように、ヘラヘラとしてゆうこの想いをごまかすことも出来たはずの場面で